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沖縄からバスケットボールコーチとして世界に挑戦 又吉 佑さん

沖縄からバスケットボールコーチとして世界に挑戦する若者がいる。

沖縄生まれの又吉 佑(またよし ゆう)さんは、現在スペインの名門バスケットボールクラブ、FCバルセロナでコーチ留学中だ。

彼は現在、今後バスケットボール留学する若者を支援する前例を作るためにも、自身の活動へのクラウドファンディングを実施している。

クラウドファンディング:日本のバスケを世界の頂点へ! 元BリーグコーチがFC Barcelonaに留学! - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)

バスケットボールが盛んな沖縄県でも、バスケットボールコーチとして海外へ留学するのは珍しいケースだ。又吉さんがどんな道を歩んできたのか、話を聞いてみた。

又吉 佑(またよし ゆう):1996年生まれ 26歳 沖縄県出身 沖縄東中学校〜普天間高校〜鹿屋体育大学〜筑波大学大学院〜広島ドラゴンフライズAC〜FC Barcelona U16 AC

FCバルセロナのエンブレムと又吉さん(本人提供)

 

隠れた『バスケコーチ養成大学』鹿屋体育大学でコーチ人生をスタート

又吉さんは中学、高校と沖縄県で選手としてバスケットボールに打ち込み、進学した鹿屋体育大学(鹿児島県)でバスケットボールコーチとしての道を歩み始めた。

「鹿屋体育大学へは教員になるつもりで進学しましたが、学生コーチとしてバスケに関わるようになり、バスケの奥深さを知り、バスケットボールコーチとしての道を志すようになりました」

又吉さんは大学1年生の1月から学生コーチとしてチームに関わるようになる。コーチ人生のスタートだ。

 

鹿屋体育大学バスケットボール部は、伝統的に学生がコーチを務めており、同大学出身者にはプロバスケットボールコーチも多く存在する。現在のB1リーグでも以下のコーチが鹿屋体育大学OBだ。

琉球ゴールデンキングス 森重 貴裕アシスタントコーチ
島根スサノオマジック 野村 慧介アシスタントコーチ
川崎ブレイブサンダース 穂坂 健祐アシスタントコーチ
茨城ロボッツ 福田 将吾アシスタントコーチ

地方大学にも関わらずこれだけのプロコーチを輩出している。鹿屋体育大はいわば隠れた「プロバスケットボールコーチ養成大学」だ。

なぜ鹿屋体育大学出身者にここまで多くのプロバスケットボールコーチが存在するのか。又吉さん曰く「鹿屋体育大学はプロチームも活用しているバスケットボールのデータ分析ソフトを導入しており、学生コーチ時代からそれを活用していたのは大きい」との事だった。学生時代からプロと似た環境で日夜バスケの研究を重ねた事は、又吉さんにとっても大きな刺激となった。

 

そして、又吉さんはプロバスケットボールコーチになる夢を叶えるために、自分から行動して道を切り開いていった。大学在学時にU22日本代表合宿に自主参加して、当時日本代表のアシスタントコーチだった佐々 宜央さん(現 宇都宮ブレックスHC)とも交流を持ち、さらに大学の先輩であり琉球ゴールデンキングスでACを務める森重 貴裕ACとも繋がっていった。

「自分からどんどん行動できたのは、鹿屋体育大学の学生コーチの先輩方の影響もあると思います。鹿屋体育大学は地方大学なので、先輩方も自分から当時のNBLチームにボランティアでスカウティングで協力するなど、自分から外に出て経験を積む伝統・文化のようなものがありました。鹿屋の先輩方には本当に助けられています」

又吉さんのコーチキャリアの原点となった鹿屋体育大学での学生生活だったが、その集大成となるヘッドコーチ時代には挫折を味わったという。

「九州1部をずっと守り続けてきた鹿屋ですが、僕がヘッドコーチだった時は成績が振るわず入替戦まで経験しました。『バスケを知っている』と天狗になっていた自分の鼻を折られた気持ちでした」

鹿屋体育大学時代(本人提供)

 

コーチとして更なる成長をするために、又吉さんは筑波大学大学院へ進学する。そこで筑波大学バスケットボール部で学生コーチとして全日本大学選手権(インカレ)で優勝。当時は牧隼利(現 琉球ゴールデンキングス所属)も筑波大学の主将として活躍していた頃だ。

『人の縁』が繋いでくれたスペインへのコーチ留学

筑波大学大学院の卒業を控えた頃、又吉さんは『Bリーグに進むか、海外へ留学するか』で悩んだという。

海外への留学先として又吉さんの頭には『スペイン』が頭に浮かんだ。

「大学時代に短期間ながらスペインに行ってバスケットボール指導の現場も見させてもらいました。そこで感じたのは『言葉で教えこむのではなく、環境を作ってあげる』指導方法でした。指導方法のバリエーションも豊富で『やりたい動きが自然と出るような環境を整えてあげる』ことで、選手たちも楽しそうにプレイしていたのが印象的でした」

「その頃ちょうど欧州バスケットボールにハマっていて、スペインのチームのバスケットボールに惹かれていました。当時のお気に入り選手はレアル・マドリード所属だったファクンド・カンパッソ(アルゼンチン代表)でした」

「バスケの世界では『米国で修行』と皆が考えると思うのですが、僕はあえて『スペインのバスケを学ぶ』事で今後のコーチ人生において自分の希少価値が生まれるんじゃないかという思いもありました」

 

ただ当時はコロナ禍という状況もあり、すぐに海外留学ではなくBリーグのコーチの道を探った。当時広島ドラゴンフライズのアシスタントコーチだった田方 慎哉さんの紹介もあり、広島のアナリストとして入団、2年目はアシスタントコーチとして経験を積んだ。

広島ドラゴンフライズAC時代(本人提供)

 

広島でのコーチ生活2年間を終え、いよいよスペインへのコーチ留学を志した又吉さんは、ここでも『人の縁』に助けられる。筑波大学大学院で共に学んだ同期の中に、女子バスケットボール界のレジェンド大神 雄子さん(現 トヨタ自動車アンテロープスHC)がいた。又吉さんは大神さんが所属するトヨタ自動車アンテロープスの練習も見学するようになり、アンテロープスACでありスペイン出身のイヴァン・トリノスさんの紹介でスペインのバスケットボールクラブでコーチ留学が決まった。

2022年7月にスペインに留学した又吉さんだったが、紆余曲折あったものの、名門クラブであるFCバルセロナに受け入れてもらうことが出来た。現在はFCバルセロナU16のコーチングスタッフとして日々奮闘している。「バルセロナのユースチームはその本拠地があるカタルーニャ州の優秀な選手が集まっておりレベルも高い」と語る又吉さん。ちなみにバスケの世界においてもバルセロナの永遠のライバルはレアル・マドリードだそうだ。

FCバルセロナU16でACとして奮闘する又吉さん(本人提供)

 

バスケコーチ留学の前例を作りたい

又吉さんの留学期間は1年間。その間に多くを学んで日本のバスケ界に還元したいと語る又吉さん。しかし留学先での苦労も多く、特に金銭面は大変だという。

「バスケットボールプレイヤーとしての海外留学はかなりメジャーになってきたが、コーチとしての海外留学はまだまだ環境も整っていない。僕が発信をすることで、今後同じようにコーチ留学を考える人の環境が少しでも整って欲しい。今回クラウドファンディングを行ったのも、そうやって支援する前例が作れればいいと思って始めました」

彼のクラウドファンディングでは、リターンとして現在所属するFCバルセロナのインタビュー動画なども準備している。日本とスペイン、バルセロナとの架け橋となれるよう、又吉さんの活躍に期待したい。

 

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