秋田のベテラン古川の気迫
3クォーター、後のない秋田はスタートから奮起。古川が緩急をつけたペネトレーションで得点を奪うと、秋田ディフェンスの要である中山がフリッピンの不用意なパスをスティールして得点。さらに古川がプルアップで3ポイントシュートを決めて、秋田は7 – 0のラン。スコア45 – 34と11点差にする。
キングス桶谷HCも試合後「(秋田ディフェンスが)ゾーンからマンツーマンになった時に自分たちが棒立ちになり、ボールムーブも無く変なシュートで終わってしまった」と反省を口にしたように、キングスの悪癖であるクォーター出だしの甘さが出てしまった。そこを百戦錬磨の古川は見逃さなかった。
古川はこのクォーターを7得点、フリースロー含め放ったシュートを全て決めてみせた。
試合後に古川は「個人としては久しぶりのCSで、かなり気持ちは入ってました。このチームで何としても勝ちたいという気持ちで全力でぶつかりました」と語った通り、気持ちの入ったプレイをみせチームを引っ張った。
秋田はその後もディフェンスの強度を落とさず、点差は一時は4点差まで迫った。
3クォーター終了時のスコアは59 – 50。秋田が素晴らしい気迫をみせた10分間だった。
自分たちの『堅い』ディフェンスで勝利
キングスがリーグ制覇するためには、どんな状況でも勝負への甘さは許されない。キングスは自分たちのディフェンスでもう一度試合の流れを取り戻す。
試合後に今村が「堅さを意識してディフェンスすることが鍵」と語ったように、ギャンブルをせず足を動かし最後までボールにプレッシャーをかけ続け、ディフェンスリバウンドを確実に自分たちのものにする『堅い』ディフェンスを続ける。キングスは4クォーターの秋田シュート成功率をわずか27.3%に抑えた。
良いディフェンスから再びシュートのリズムを取り戻したキングス。この日絶好調の小野寺が4本目となる3ポイントを決める。小野寺はこの日チームトップとなる14得点の大活躍。
さらに残り4:05、岸本のスティールからエバンスがスラムダンクを叩き込み、スコア72 – 54と秋田を18点差に突き放す。
最終スコアは77 – 56。21点差で粘る秋田を振り切りキングスが勝利。2連勝でCSセミファイナルへコマを進めた。
秋田ノーザンハピネッツと琉球ゴールデンキングス。ともに地域に愛され、そして支えられてbjリーグ時代から鎬を削り成長してきた。その2チームがBリーグチャンピオンシップを戦った事は、日本バスケットボールにとって大きな意味がある。
bjリーグ時代にキングスの一員として秋田とファイナルを戦った並里は、試合後のマイクパフォーマンスでは秋田ブースターに向かって「秋田のファンの皆さん、良いゲームになりました。ありがとうございます!」と力強く語った。日本バスケ冬の時代を盛り上げた2つのチームによる素晴らしいシリーズだった。