日本代表 vs ベルギー代表 日本生命CUP2021 in沖縄アリーナ

写真提供:日本バスケットボール協会

2021年7月9日 バスケットボール男子日本代表は、FIBAランキング37位のベルギー代表と強化試合を戦った。

7月7日のハンガリー代表は21点差の大勝だったが、渡邊雄太以外の選手の奮起が求められる場面も多かった。

チームとして世界の強豪にどう立ち向かっていくか。沖縄アリーナでの注目の一戦。

日本代表 ベルギー代表
9 1Q 25
22 2Q 14
21 3Q 13
18 4Q 21
70 TOTAL 73

ボックススコア | 日本生命カップ2021 バスケットボール男子日本代表国際強化試合 特設サイト

 

目次

1Q 縦へのアタック

日本の初得点は今日も渡邊雄太。ギャビンエドワーズとのピックアンドロールから自らペイントにアタック。ベルギーのディフェンスに接触しながらタフショットをねじ込む。

ベルギーはディフェンス、オフェンス共に強度高くプレイしてくる。7/7(水)のハンガリー代表とは明らかにコンディションが違う。五輪本番前に素晴らしい対戦相手だった。

ベルギーは序盤から日本のピックアンドロールにハードショーでボールマンへプレッシャーをかける。日本はベルギーの圧力に縦にドライブする事が出来ずにパスコースを限定され連続でターンオーバーを犯してしまう。

ベルギーはオフェンスでもチームとしての完成度の高さをみせる。#32のリエタン・オバソハンを中心に力強いゴールアタックからデザインされたプレイで確実に得点。

1Q 5:26 4−11と7点差の場面で日本がタイムアウト。

タイムアウト明けから日本はベルギーのハードショーに屈する事なくゴールへアタックする姿勢を見せ始め、2:30には渡邊がドライブからエンドワン獲得。

ディフェンスでも残り3:55から出場した富樫勇樹が高い位置からプレッシャーをかけて相手に仕事をさせない。富樫は前戦ハンガリー戦では無得点。五輪でプレイタイムを獲得するにはアピールし続けるしかない。BリーグトップPGが泥臭くチームのために戦う。

1Qは9−25で日本は16点のビハインドを背負う。ゲーム開始直後のベルギーの強度に圧されてしまった結果だった。

 

 

2Q  もっと戦え!

「もっと戦えよ!」

1Qと2Q間のインターバル中に渡邊雄太が力強い言葉でチームメイトに檄を飛ばす。ラマスHCの指示が終わってもコートに戻るチームメイトにハドルを組ませ、鬼気迫る顔で鼓舞する。

日本は2−3ゾーン。しかしベルギーのアタックを待つのではなく高い位置からボールプレッシャーをかける。インサイドでも諦めずにヘルプに足を動かす。

オフェンスでも各選手が積極的にゴールへアタック。横にスライドする動きではなく縦にドライブする姿勢が増え始める。

2Q残り40秒、田中大貴がトップからドライブ。倒れながらゴールをねじ込みエンドワン。

渡邊雄太の檄に日本がチームとしてファイトする姿勢を取り戻した。

そして最後は渡邊がタフショットをねじ込むブザービーター。

2Qは31−39と日本は8点差まで押し戻す。チーム全員の戦う姿勢で掴んだ8点差だった。

 

3Q 自分たちのカタチ

3Q冒頭、日本はパスカットされていきなりターンオーバーから始まる。そのままセットオフェンスからベルギー#13 ジレ・ピエール・アントワンの3Pを許してしまう。

しかし自信を取り戻した日本は下を向かずに戦い続ける。渡邊のドライブからゴール下のシェーファーアヴィ幸樹にディッシュパスで得点。

残り6:06 ファストブレイクから田中のリターンパスで渡邊のダンク!反撃のリズムを掴む。

渡邊のダンクの場面で光っていたのはディフェンスリバウンド獲得直後の日本の切り替えの早さ。リバウンドからのアウトレットパスも素早く、ベルギーが後ろ向きの状態で戻るのを尻目にアウトナンバーの状態を作り出していた。この攻守の切り替えはその後日本の追い上げのキーになっていく。

ゾーンディフェンスを多用するのであれば、ディフェンスリバウンドからのファストブレイクこそが勝利への鍵を握る。日本が自分たちの追い求める勝利へのカタチが見えてきた瞬間だった。

勢いに乗る日本は残り4:42 ギャビンのドライブから合わせた渡邊がダブルクラッチでエンドワン!

NBAプレイヤーが見せたボードの裏からねじ込むプレイは、この日のPLAY OF THE GAMEとなるハイライトの瞬間だった。

琉球ゴールデンキングス期待のルーキー渡邉飛勇もゴール下の強さを見せ、残り40秒に代表初得点をダンクで決めてみせた。

最後は前戦から好調を維持するベンドラメ礼生が魅せる。ベルギーの守備のスキを突きゴール下の田中へブザービーターをアシスト。

3Qは52−52とついにベルギーを捉える。クォーター得点は21−13とベルギーを圧倒した。

 

4Q 勝利を掴むための宿題

残り9:24 金丸がデザインされたセットプレイで3Pを成功させてスコア55-52。日本ついにリードを奪う。シェーファーもゴール下で身体を張りディフェンスリバウントを死守。

残り7:41 渡邊がピックアンドロールからそのままドライブしてファウル獲得。そのプレイで渡邊は足が攣ってしまう。大事を取りベンチに下がる。言葉だけではなく自らのプレイでも戦う姿勢を出し続けた。

ベンチに戻る渡邊は笑顔でチームを鼓舞し続け、コートの選手はディフェンスで足を動かし続ける。

戦う姿勢を見せ続けた日本だったが、最後はベルギーの底力が上回る。

残り2秒9 70−70と同点の場面。ベルギーはセットオフェンスでこの日好調の#13 ジレが左コーナーから3Pを沈めてきた。

#32オバソハンが真ん中からドライブして収縮させてからコーナーへキックアウト。#9ムエマ・ジャンマルクのバックスクリーンも素晴らしく、ウィークサイドでは#3のコーナーだけではなく#4ルコント・エマヌエルも45度でキックアウト先としてポジショニングしていた。デザインされた素晴らしいプレイだった。

残り2秒6 3点差を追う日本はフロントコートからスローインを選択。金丸のためのデザインされたプレイだったがベルギーのスイッチディフェンスでターンオーバーで終了。

 

最後の最後の場面で遂行力の差が勝敗を分けた。

 

しかし前戦ベルギー戦で渡邊雄太だけが目立っていたチームとは違う、全員でファイトする姿勢を最後まで見せ続けた。

五輪本番前にチームの自信に繋がるゲームであり、そして最後に勝利を掴むために何が必要なのか、大事なレッスンとなる価値ある試合だった。

沖縄アリーナでの次戦フィンランド戦が楽しみになる、そんな熱い敗戦だった。

 

 

 

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この記事を書いた人

地元で開催されるFIBAバスケットボールワールドカップ2023に貢献するべく奮闘中!
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