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【ウインターカップ2022沖縄県予選】豊見城、鍛え上げたチーム力で2年ぶりに全国出場を決める

(文:多和田ちえみ、写真:tomo)

令和4年10月23日(日)、第65回全沖縄バスケットボール選手権大会の男女決勝戦が沖縄アリーナで行われた。今大会は男子54チーム女子44チームがエントリー、9月10日(土)を初日としてウインターカップの切符を目指し戦ってきた。

男女準決勝戦は9月24日に行われ、男子は豊見城・美来工科、女子は西原・小禄がそれぞれ勝ちあがり1カ月後に開催される決勝戦のカードが決定していた。

男子決勝は昨年の選手権沖縄県予選決勝で豊見城との激戦を制し古豪復活を遂げた第1シードの美来工科と、2年ぶりのウインターカップ全国大会出場を目指し気合十分の豊見城の対決。ライバル校として何度も顔を合わせてきた両チームが、今大会は三年間の集大成として真っ向から挑んだ。

準決勝から決勝まで1カ月の期間があり、さらに舞台が沖縄アリーナに移されるとあって選手同様にバスケファンの期待はいやが上にも高まりを見せていた。駆けつけた観客はどちらが勝つのか最後まで分からない白熱した試合を固唾を呑んで見守りながら、選手達のはつらつとしたプレーに大きな拍手を何度も送っていた。

優勝した男女各優勝校は12月23日(金)から東京体育館をメイン会場として開催される「SoftBank ウインターカップ2022」に沖縄県代表として出場する。

 

 男子決勝 美来工科 対 豊見城

沖縄アリーナ初開催となる記念すべき全沖縄高校選手権男子決勝戦。トップチームさながらの華やかな演出に彩られた両チームの選手の表情は勝利への気迫に満ちており、満を持して決勝戦の幕が開いた。

 

初めの攻撃は美来工科。トップでボールをもらった#34宇地原佑仁がフィジカルを使ったドライブで力強く初得点。続いてチームの司令塔#5伊禮翔也が鋭いドライブで得点した後、今度はオフボールスクリーンを使ってできたスペースへアシストパス、#58比嘉一竣がアリウープを成功させると、美来工科の誇る高い攻撃力で流れを掴む。

 

一方、豊見城は#12真境名隼翔が積極的に攻める。ペイントエリアへ走り込みパスをもらうとそのまま打ちきってファウルをもらうと、フリースロー1本を決めて豊見城の初得点。守りはオールコートゾーンプレスやマンツーマンディフェンスを敷き美来工科の攻撃に対応。

残り6分で#14松田悠之介がドライブで切りこみ美来工科7-3豊見城、エースの得点でようやく勢いづくと、#6中村仙汰、#12真境名、#11大宮健右が積極的な攻撃とリバウンドで得点を重ねて流れを引き寄せ17-17の同点に追いつく。

 

豊見城#14松田は自ら落としたシュートを拾いタップシュートで逆転するも美来工科も#13新島陽が3スリーポイントやジャンパーで勝負強さを見せ、1Q美来工科22-21豊見城で終了。

 

ライバル校として幾度も対戦してきて、プレースタイルや選手の特徴も把握している両チーム、ゾーンやマンツーの変則的な守りで激しいディフェンスプレッシャーをかけて相手のミスを誘うが、豊見城は2Q開始序盤で主力メンバーの3年生#9名城健生に三つ目のファウルがつきベンチへ下がる。

 

美来工科は豊見城のゾーンディフェンスに対して#66佐渡山楓、#58比嘉、#5伊禮のスリーポイントなどで得点を重ね引き離したいが、豊見城は交代で出た#11大宮がリバウンドで粘り、リング下では#14松田との合わせの1本を決めるなど踏ん張りをみせ、役割を存分に果たして美来工科の大量リードを防いだ。

 

3Q美来工科43-37豊見城、6点ビハインドで追う豊見城が3Qで猛追をみせる。またも#12真境名がクォーター初得点のレイアップシュートを決めて駆けだすと#15真境名星のスリーポイント、#6中村のファストブレイクも飛び出し、一気に逆転。

歓声の中、美来工科#66佐渡山はディフェンス2人をかわしてレイアップを決め再逆転するも直後豊見城#14松田がレイアップを決め、エースの意地がぶつかり合う。

 

シーソーゲームの大事な場面で、この試合初得点の#9名城がミドルレンジのシュートを決め美来工科47-48豊見城。美来工科は#11山城颯のコーナースリーなどで得点するも豊見城の徹底した守りにシュートがなかなか決まらず3Qの得点は8点。対する豊見城はエース#14松田の得点が突破口となり、呼応するように攻守で全員が勢いに乗ると3Qで20点を稼いだ。

 

3Qで6点ビハインドから6点リードに押し返した豊見城は4Qも集中を切らさず厳しい守りとリバウンドでボールを奪い守り抜いた。美来工科は4Q序盤で#5伊禮がターンしながらレイアップを打ちきりバスカン。フリースローを決め3点プレーを成功させ、#13新島へアシストパスを送り得点で2点差に詰めるなど追いかけるが、逆転には及ばず悔しい敗戦となった。

 

優勝した豊見城のキャプテン#14松田はここまでの一か月、『自立』をテーマに掲げ取り組んできたという。個々が自立して自分のプレーに責任を持つ。精神面での自立を目標に日常生活から見直し、練習では基礎練習から励んできた。決勝戦では選手それぞれが自分の役割を全うし勝利を掴んだ。積み重ねた努力はチーム力となって見事に花開いた。

 

角田俊成HC(豊見城) 試合後コメント

 

—今日の試合を振りかえっていかがでしたか?

今年は小橋川杯で優勝してインターハイ予選で負けて、地道なことから練習を積み重ねて、それが今日この大舞台で彼らのパフォーマンスとして出てきたのかなと思います。

やっぱり美来工科さんはすごくオフェンス力があるチームだと思うので、出来るだけ失点を抑えようとディフェンス練習からやってきた。それを選手が遂行してくれました。

マンツーマンディフェンスばかりでは相手も慣れるし対策が入るので、いくつか用意してるゾーンディフェンスをちょっとずつでも使いながらやろうと、もう少しゾーンプレスやろうかと思ったんですけどマンツーマンがけっこう出来ていたので、ゾーンはポイントポイントで使いました。うちは小さいのでリバウンドも課題として取り組んでいました。前はそこで負けたのもあったので。

#9名城くんが早めにファウルが多くなっちゃったんですけどでもそのあと入れた2年生大宮君や3年生仲村君が献身的につないでくれたのでそれが大きかった。ベンチメンバーがしっかり穴埋めをしてくれました。

決勝戦らしいバスケットボールだったんじゃないかなと思います。

—3Qからの追い上げについて

美来工科さんは前半強いのでイーブンか、少し負けくらいでついていけば後半は僕らのディフェンスが効いてくるはずだから慌てずにやるべき事をやりながら、ゾーンディフェンスという変化もちょっとだけ入れながらやろうと思っていました。

―決勝までの1か月間、どう過ごしてきましたか?

決勝までの間が長くて三年生は進路活動もやらないといけなくてモチベーションを保つのが難しかったんですけど、でも普段通り1対1とか基本的な所を重点的に、一人でもしっかり守れるように取り組んできた。今日はクォーターを重ねるごとに守りが良くなってピック&ロールの対応もしてくれた。それからやっぱり体力は必要なので走る練習はやりました。

—キャプテン#14松田悠之介選手について

チームの絶対的エースです。彼がいないとこのチームは成り立たない。監督の僕より厳しいし、一目置いています。チームに何かあったらすぐ相談に持ってくるので、その度によく考えてやってくれています。

—3年間みてきた選手達の成長について

今までいろいろあったんですけど、前任の嘉陽先生(今年度から沖縄水産高校へ赴任)が、できるだけ自分達で話をしたりお互いで解決するように作ってきたのを継続してやってもらっていて、私はそんなに大した事していなくて。彼らが今までひとつずつやってきた結果であり、本当に成長したなと試合中に泣きそうでした。監督が泣く訳にいかないのでがんばってこらえてました。

—選手に対してなんと声をかけますか?

コロナ禍の中で彼らは初めてこんなにたくさんのお客さんの前でバスケットボールをやったんです。これだけ自分達がやってきた事を信じて出来たという事をほめてあげたいです。

—角田先生御自身も海邦国体の頃から沖縄の第一戦で活躍してきて、今日こうして沖縄アリーナで試合をしてみて、沖縄バスケットボールの歴史についてどうかんじますか?

僕も高校生の頃、ここでやりたかったなと昨日の練習の時から思っていました。こういった場所があるのは沖縄バスケットボール界にとってすごく良い事で、観にきた子供達にすごく夢があると思います。

 

豊見城 CAP#14 松田悠之介

 

—今日の試合について

決勝戦に向けて準備をしっかりしてきたので余裕も生まれていたから全然緊張はしていなかったけど、でもやっぱり地に足をつけていこうと思っていました。前半負けていたけど絶対自分達の流れが来ると分かっていました。ハーフタイムにはやるべき事をひとつずつ整理して、シューターに最後までチェックするとか、ピック&ロールとかボールが絡む所で声を出したりしようと声掛けをしました。

—決勝までの一か月間、どう過ごしてきましたか?

美来工科さんの対策と、『自立』にフォーカスをおいてきました。自分のやるべき仕事を他人に任せてしまったりそういった部分で負けている実感があったので、精神面でもプレーの面でも自立した上で助け合うのを目標にしました。自分としてはインターハイ予選で負けてから学校内のゴミ拾いから始めました。学校があって部活動をさせてもらっている、また沖縄アリーナっていう舞台も当たり前ではないですし、そういった根本的な所を見つめなおしながら過ごしてきました。練習前、早めに学校に行ってゴミ拾いをして最初は一人でしてたらチームメイトが気付いて一緒にしてくれた。そういった部分で変わったのが大きいかなと思います。うちはディフェンスのチームで、今日もいろんな選手がコートに出て層の厚さも前回にはない一つの武器になったと思います。

—沖縄アリーナで試合をした感想

観にきてくれたお客さんの歓声が力になりました。高校生活のうち最初で最後だったんですけど、特別な空間でした。

—全国大会に向けての抱負をお願いします

優勝したからといっておごらずにもう一回、自分達のスタイルを見つめなおしその強度を上げてより良いチームにしていけたらなと思っています。2年ぶりの全国大会への挑戦が楽しみです。

 

豊見城 #15 真境名星

 

—沖縄県少年男子の国体メンバーでキャプテンとして10月の国体本選へ出場しましたが、どのような経験になりましたか?

自分自身に足りない物が分かったから、全国から戻ってきて自分のチームで活躍できるようにたくさん練習して頑張りました。

—今日は得意の3ポイントをシューターとしてマークされながらも9本中5本成功させました。

自分が決めると自信を持って打つことが出来ました。

—沖縄アリーナで試合をした感想

観客が多くてめっちゃ緊張したんですけど、先輩が声をかけてくれて、1Qの終わり位から緊張がほぐれて自分のプレーがだんだんできるようになったので良かったです。また必ず沖縄アリーナで試合をしたいです。

—全国大会に向けての抱負をお願いします

まずは一勝して次に進んでいけるように頑張りたいと思います。

 

 

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