長崎でBリーグ優勝を成し遂げたい 長崎ヴェルカ #4 狩俣昌也インタビュー [2023.10.06]

宮古島出身のポイントガード、狩俣昌也が長崎ヴェルカのキャプテンとしてB1の舞台に帰ってきた。

長崎ヴェルカは、通販大手のジャパネットホールディングスが母体となり2020年に創設。新規参入の2021-22シーズンにいきなりB3を制覇。続く2022-23シーズンは、B2プレーオフセミファイナルでアルティ―リ千葉との死闘を制し、チーム創設から最短でB1昇格を果たした。

さらにB1挑戦となる2023-24シーズンは、日本代表の主力である馬場雄大も加入。10月7、8日の開幕節は、昨季B1準優勝の強豪 千葉ジェッツとホームで対戦して開幕2連勝を飾り、Bリーグ全体に大きなインパクトを与えた。

チーム創設時から在籍してB1への最短昇格に導いたプロ13年目のベテラン狩俣昌也は、今季もキャプテンとしてチームの核を担う。

キャリアを通じて自らに課した挑戦を達成させてきた狩俣は、35歳になった今こそ選手として最高の状態にあると言っていいだろう。

大事な開幕戦を翌日に控えた10月6日、狩俣はOUTNUMBERの取材に応じてくれた。長崎をB1昇格に導いた奮闘と、県外で戦うからこその沖縄への思い、そして今季からの新たな挑戦について語った。

【#4 狩俣昌也(長崎ヴェルカ)プロフィール】
1988年4月28日生まれ。興南→国際武道大学
bj 2011-12 千葉ジェッツのサテライト、エクスドリームス(トライアウトからプロ1年目)
bj 2012-13 千葉ジェッツ
bj 2013-14 琉球ゴールデンキングス(キングス bj3度目の優勝)
bj 2014-15 福島ファイヤーボンズ(bj新規参入、MIP獲得など大ブレーク、平均15.1p、4.4ast)
bj 2015-16 福島ファイヤーボンズ(平均13.7p、4.7ast)
B 2016-17 シーホース三河(CSセミファイナル進出)
B 2017-18 シーホース三河(CSセミファイナル進出)
B 2018-19 シーホース三河
B 2019-20 滋賀レイクスターズ
B 2020-21 滋賀レイクスターズ
B 2021-22 長崎ヴェルカ(B3優勝、B2昇格)
B 2022-23 長崎ヴェルカ(B2準優勝、B1昇格)
B 2023-24 長崎ヴェルカ(B1参戦)
目次

2年前に決意した「長崎を最速でB1へ」

—— 最速でのB1昇格おめでとうございます。長崎ヴェルカ創設メンバーとして加入した頃の思いを教えて下さい

当時は葛藤もありました。僕はプロ選手になった時から「日本一になりたい」という気持ちを強く持っています。それはトップカテゴリーであるB1でないと叶えられないものですし、B3のチームに移籍することは「日本一」という自分が信じて戦ってきた目標を、ある意味否定する葛藤もありました。

でも長崎ヴェルカというチームを、B3からB2そしてB1へと最速で昇格させることが出来れば、それは多くの人が達成したことがないものです。そこへトライする価値はすごく感じましたし、最速昇格を達成出来れば自分自身のプレーヤーとして価値も上がると考えました。

——過去2年間、B1昇格に向けてキャプテンとしてチームを作り上げてきました

細かい部分では大変だった点もありますが、良い環境と良いメンバーに恵まれて、すごく充実した2シーズンを過ごせました。

僕だけではなくて、他にもベテラン選手もいますし、外国籍選手もそうです。全員で作ってきたことに対して全員が誇りを持っていい、胸を張れることだと思います。

過去にヴェルカに関わった選手たちがいるからこそ今のヴェルカがあるし、全員でB1昇格を達成したと思っています。

色々な環境が変わり、周囲からの見られ方も変化するなかで、自分たちは常に正しいことをやってきた。(馬場選手のような)日本代表選手がヴェルカに入りたいと思ってくれたことは、そういう積み重ねがあったからだと思いますし、そういう部分では自分自身のやってきたことに誇りを持っていますし、良かったなと思っています。

——B1に昇格したことで長崎の街も盛り上がっているのでは?

最初に長崎に来た頃よりも長崎ヴェルカの認知度も大きくなってきましたし、街中歩いていても声をかけてもらえることもあります。この2年間ですごく変わったと思います。

僕自身、沖縄と長崎はとても似ていると感じています。人々の温かさもありますし、沖縄では「わったーチーム」みたいな精神が強いですが、長崎にもそういうものが少しずつ出来つつあるのかなと感じています。(試合を)ただ観るものから、長崎の皆さんが「自分たちのヴェルカ」として捉えて、生活の一部に変わろうとしている。

昨季プレーオフのときに変わっていく瞬間を感じられたんです。(クォーターファイナルで対戦した)熊本のブースターがものすごく熱くて、それに負けないくらい、ヴェルカのファンもすごく声を出すようになりました。それが(セミファイナルのアウェー会場である)千葉でも引き継がれていましたし、ファンの皆さんも一皮剥けたような感じがありました。

地元 沖縄を離れてプレーする思い

——12月20日(水)には沖縄アリーナでの琉球ゴールデンキングス戦があります。地元沖縄への凱旋ですね

コロナ禍もあって、僕はまだ沖縄アリーナが完成してから訪れていなくて、外観を直接見たこともないんです。

B3やB2の頃は実際に沖縄アリーナでプレー出来るかも分からなかったですが、今季は同じB1西地区ですし、B1の選手として沖縄アリーナのコートに立てることに喜びを感じていますし、とても楽しみにしています。

——狩俣選手はキングスにも(2013-14シーズンに)在籍していましたが、沖縄を離れて多くのチームに在籍して活躍してきました

今回OUTNUMBERさんが取材にきてくれたこともそうですが、自分が宮古島から出て高校や大学に進学して、そしてプロになってからも多くの方々に取材をして頂き、沖縄から離れていても常に見てくれていて、応援をしてくれていることを感じています。

沖縄出身のバスケットボール選手であればもちろん誰しもが「地元でプレーしたい」という思いはあると思いますが、全員がそれを出来るわけではありません。

僕もそうですが、沖縄県外で、山内盛久選手や(引退されましたが)宮古島出身の友利健哉さんなどの沖縄県出身プレーヤーが頑張ってきた姿から、沖縄の子どもたちへより広い選択肢を与えることが出来ると思います。それは地元チームである琉球では出来ないことですし、自分たちがしっかりとプレー面で活躍して、沖縄の子どもたちに夢を与えることができれば、選手として良いことなのかなと思っています。

——狩俣選手がキングスに在籍した頃は、岸本隆一選手や並里成選手、山内盛久選手など今もB1で活躍している選手がチームメイトでした

彼ら沖縄県出身の選手は、刺激にもなりますし、負けたくないという気持ちもありながら、沖縄の仲間として活躍して欲しいという気持ちもあります。バスケットボール選手として沖縄を背負っている者としても、みんなが良い結果を残してくれることが地元沖縄への還元になると思うので、僕も彼らに負けないようにしたいです。

——宮古島の先輩である友利健哉さんとは、過去に福島ファイヤーボンズで一緒にプレーされました

友利さんのことは僕が中学生の頃から知っていましたし、友利さんの活躍も知っていました。(2015-16シーズン、bjリーグで)福島で一緒にプレーさせてもらって、友利さんが長く現役を続けていくことができた理由がわかりました。それは本当に今の自分に活かされています。彼から学んだことを、今は僕が長崎でベテランとして若手に伝えています。

——今年は沖縄でバスケワールドカップも開催されて、沖縄が注目されました

ひとりのウチナーンチュしても、これだけバスケットボールで沖縄が注目されてとても嬉しいです。そして今の沖縄の子どもたちが、そんな素晴らしい環境でNBA選手のような世界中のトッププレーヤー達のプレーを見られることはとても羨ましいです。

沖縄の子ども達がキングスの試合でBリーグを観て、ワールドカップを観ることで、彼らが大人になった時に沖縄からすごい選手が出てくるかもしれない。それはすごく楽しみですよね。

長崎でBリーグ優勝を成し遂げたい

——狩俣選手のプロバスケットボール選手としてのキャリアは今季で13年目となりました

僕自身ありがたいことにいろいろな経験をさせていただきましたし、あまり他の選手には無いようなキャリアを過ごしてきました。それは自分の武器となっていると思います。

——これまでに在籍したチームでは求められている結果を必ず出しています。35歳になりこれまでの道のりに充実感や達成感はあるのでは?

自分自身誇りに思ってもいい部分はたくさんありますし、あとはそこにもう一つ、二つと積み重ねることができれば完璧なんじゃないかなと思っています。

それは、Bリーグで優勝するということです。去年の琉球のファイナルを見ていて、すごくチャンスがあると感じました。長崎もあと数年で(優勝を)出来るなと感じたので、琉球から力を貰いました。長崎でBリーグ優勝を成し遂げて、もうひとつ自分のストーリーをつくりたいと思います。

——今季の長崎ヴェルカの具体的な目標は?

チームの目標としては、ターゲットという呼び方をしているんですけど、『30勝』つまり勝率5割ということが目標です。B2からB1に昇格したチームが未だに達成したことがないんです。

ターゲットという位置付けでシーズンの早い段階で30勝を達成して、そこからどれだけ(勝ち星を)積み上げていけるのかというのが僕たちの本当の戦いだと思うので、今季はその目標を持って戦っていきます。

——沖縄のバスケファンに向けて、長崎ヴェルカのどういう部分を見てほしいですか?

長崎ヴェルカはスピーディーなチームです。ハードにアグレッシブにプレーすることが持ち味で、それを40分間継続することができるチームです。そこをぜひ見て欲しいです。

琉球は優勝もして経験値も高いチームですが、僕たちは若さとアグレッシブさで琉球を破っていきたいと思っています。ガチガチのフィジカルな試合を見てほしいです。

——狩俣選手ご自身のプレーはどんな部分を見せたいですか?

B3、B2と2年間カテゴリーは下がったんですが、僕自身は選手としてすごく成長出来ていると感じているし、2年前の自分より今の自分の方がより良い選手だと思っています。シュートの部分やオフェンスをクリエイトする部分をぜひ見てほしいです。

——キングスとの対戦時には、ファンは岸本選手との県勢同士のマッチアップも期待すると思いますが?

ヴェルカにはディフェンスのスペシャルな選手が何人もいますので、僕じゃなくてその選手たちに任せて、僕は試合に勝つことを優先したいですね(笑)。頑張ります。

——今季は沖縄アリーナでBリーグオールスターも開催されます

沖縄でのオールスターは僕自身どうしても出場したいので、ぜひ沖縄の皆さんにも僕へ投票してもらいたいです!オールスター本戦でもコンテストでも構わないので出場したいですね(笑)

(構成:金谷康平、文・写真:湧川太陽)

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この記事を書いた人

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