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(文:湧川太陽、写真:Hamataro)

琉球ゴールデンキングスは、Bリーグ2023-24シーズン開幕戦を2連勝。10月5日のGAME1は63-80、10月7日のGAME2は79-80で佐賀バルーナーズに勝利した。

この開幕戦で大きな輝きを見せたのは、琉球ゴールデンキングスのカール・タマヨ。

 

タマヨは、GAME1は放った3ポイント4本含む15得点 5リバウンド、GAME2は5得点 10リバウンド。攻守に活躍した。

 

 

特筆すべきはタマヨの出場時間で、GAME1はチームトップの30分12秒、GAME2は31分6秒。昨季のタマヨはリーグ戦1試合平均8分13秒、最長でも26分39秒と満足なプレータイムを得られなかったが、開幕戦は大きくプレータイムを伸ばしてきた。

 

202cmの長身ながらコートを素早く動けるスピードと、美しいフォームから3ポイントを決めるシュート力。もしタマヨが開幕戦の活躍をコンスタントに続けるなら、「フィリピンの至宝」の名にふさわしく、琉球ゴールデンキングスの目指す連覇に大きく貢献するはずだ。

 

なぜカール・タマヨはここまでの輝きを見せることが出来たのか。タマヨの昨季のプレーと開幕戦のプレーを比較することで見えた "3つの理由"を紹介する。

 

1. ディフェンスでの貢献

タマヨがGAME1で決めた3ポイントシュートが大きく印象に残るだろうが、本当に素晴らしかったのは彼のディフェンスだ。

タマヨがマッチアップした相手は、203cmの外国籍選手チェイス・フィーラーや、208cmの帰化選手ジョシュ・ハレルソンという佐賀バルーナーズの屈強なインサイドプレーヤー達だった。

タマヨは、執拗にポストアップしてくる彼らに押し負けず、決してポジションを譲らなかった。

 

佐賀バルーナーズというチームは、帰化選手のジョシュ・ハレルソンと外国籍選手2人をコートに置いた、いわゆる「オンザコート3」の状態からミスマッチを突いてくる。タマヨは佐賀のインサイドプレーヤーを一人で守り切ることで、キングスのディフェンスに安定感をもたらした。

 

それだけではなく、タマヨはディフェンスリバウンドを確保するためのボックスアウトを怠らず、ペイントエリアで身体を張り続けた。タマヨがボックスアウトしたことでマイボールになったリバウンドも多く、スタッツ以上にキングスのリバウンド確保に貢献した。

 

昨季までのキングスではジョシュ・ダンカンがインサイドのディフェンスやリバウンドを担っていたが、タマヨにもダンカンと同じ役割を任せられることが証明された。

 

2. ターンオーバーの減少

オフェンス面で特筆したいのは、ターンオーバーの減少だ。

GAME1、GAME2ともにターンオーバーは0だった。チームトップクラスの出場時間ながら、ターンオーバーが無かったことはもっと評価されるべきだろう。

参考:Bリーグ 2023-24 B1リーグ戦 2023/10/05 佐賀 VS 琉球 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト

参考:Bリーグ 2023-24 B1リーグ戦 2023/10/07 佐賀 VS 琉球 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト

 

昨季のタマヨの1試合平均0.7個のターンオーバーがあった。出場時間が約8分と短く、ボールハンドリングを担当しない選手にしては若干多い。そして昨季は中途半端なドライブから確率の低いミドルジャンパーを選択して外す「実質的なターンオーバー」も目立ち、チームオフェンスのリズムに乗れていなかった。

 

今季はここが大きく改善された。キングスのオフェンスでタマヨの役割は、一瞬でも早くフロントコートにダッシュしてコーナーに陣取ること、適切なスペーシングを保ちつつ3ポイントシュートの機会を伺うこと、隙をみてゴール下へドライブすること、そしてオフェンスリバウンドに絡むことだ。開幕戦の2試合で、タマヨはこれらの役割をほぼ完璧に遂行した。プレーに迷いが無くなり、ターンオーバーも減少した。

 

タマヨは元々素晴らしいシュートタッチを持っている。チームオフェンスの流れでシュートを放つことが出来れば、40%近くの3ポイント確率は期待できるだろう。

 

タマヨは母国フィリピンでは、名門フィリピン大学を優勝に導いた大エースだ。今までエースとして自分のタイミングでシュートを放っていた彼が、昨季途中で加入したキングスのチームオフェンスに自分を合わせることは難しかったはずだ。初めてのプロの舞台で迷いながらのプレーはターンオーバーが多くなり、長くコートに立つことは出来なかった。

 

この開幕2連戦で、タマヨがチームオフェンスの流れに合わせつつ自分のプレーを見せた事は、彼自身がチームでの役割を受け入れ、チームの約束事の中で自分の良さを活かそうとするプロバスケットボールプレーヤーとしての成長を感じさせた。

 

 

3. マクヘンリーACの存在

今季からキングスのアシスタントコーチに就任したアンソニー・マクヘンリーの存在は大きい。

試合開始前からタマヨとマクヘンリーは何度も言葉を交わし、試合に向けて準備を怠らない。試合中も少しでも時間が止まればマクヘンリーはタマヨに声をかける。

 

キングスのbjリーグ黄金時代を選手として活躍したマクヘンリーは、今はコーチとしてタマヨと師弟関係を築いている。

キングスの桶谷大ヘッドコーチも「カールの先生はマックだからね」と全幅の信頼を置く。彼ら二人の師弟関係を間近で見ている岸本隆一は、GAME1のタマヨの大活躍に「マックはタマヨにとってのMr. ミヤギさんだね」と声をかけたそうだ。

 

アメリカプロバスケリーグNBAのロサンゼルス・レイカーズに所属する八村塁選手は、この夏チームメイトでスタープレーヤーのレブロン・ジェームズと共にワークアウトに励んた。レブロンは八村との師弟関係を表すように、自身のSNSに80年代の映画「ベスト・キッド」の空手の師匠「Mr. ミヤギ」と自分を重ね合わせるような投稿をして話題となった。

 

マクヘンリーは昨季限りで選手を引退したが、彼の堅実なディフェンスやリバウンド、試合の流れを読むオフェンスムーブ、何より勝利を掴む冷静さは、引退直前の昨季も全く衰えていなかった。

 

師匠マクヘンリーが持つ「勝利を掴み取る技」の数々を、弟子であるタマヨがどれだけ習得するのか。まだ二人の師弟関係は始まったばかりだ。

 

 

これからカール・タマヨはキングスの主力となり、チームを勝利に導く存在になるのか。

いや、彼はたった2試合で活躍したに過ぎない。カール・タマヨが本当に輝きを放つためには、乗り越えるべき壁が2つある。

 
 

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