【九州王者への軌跡】松島小学校男子ミニバスケットボール部

宮城昊河

写真・文:大井 聖路

令和4年度第42回九州ブロックスポーツ少年団ミニバスケットボール交流大会(九州大会)が8月26日~28日に長崎県で開催され、沖縄県代表として出場した那覇市立松島小学校男子ミニバスケットボール部が優勝した。

近年の沖縄ミニバス界の戦術は多様化し、ビッグマンのゴール下を主体とするチームや、ボールハンドラーのアイソレーションを起点にするチームなど様々だが、松島小は全員がオールコートで走り回って速攻からシュートにつなげるスタイルだ。その姿は昭和53年の山形インターハイで全国3位となった辺士名高校、あるいは平成26年の千葉インターハイで全国8強入りした小禄高校を彷彿とさせ、オールコートのプレースタイルを貫いて九州を制したことは、オールド沖縄バスケファンのハートを“ちむどんどん”させるニュースであった。松島小のこれまでの取り組みと、九州大会の勝ち上がりを振り返る。

 

九州大会の勝ち上がり

九州大会の勝ち上がり

 

揺るがぬ伝統。松島小の走るチームバスケット

松島小は、ゆいレール市立病院前駅近くの市街地にある。男子ミニバス部を率いるのは須藤純一監督で、部員数は25人。OBに琉球ゴールデンキングスU18キャプテンの須藤春輝がおり、須藤監督は春輝の実父である。

松島小のチームスタイルを選手に質問すると、異口同音にこう返ってくる。

「ディフェンスをしっかり頑張って、リバウンドを取って速攻につなげるバスケット」

学生チームは毎年選手が入れ替わるが、オールコートディフェンスからの速攻というスタイルは伝統として受け継がれている。走り回るバスケットながら、練習でいわゆる“走り込み”は行わず、普段の体育館での練習に時間制限やドリブル制限を設けることで走力アップを図っている。たとえば、ワンマン速攻でドリブルからレイアップシュートを打つ練習であれば、エンドラインでボールを持ってから反対側のリングへシュートを打つまでに目標タイムが設定されており、5~6年生が3秒以内、2~4年生は4秒以内である。

今年度の成績が那覇地区2位、県大会3位の松島小がなぜ九州大会に派遣されることになったのか、経緯の説明が必要だろう。

スポーツ少年団主催の九州大会には、国頭・中頭・那覇・島尻・宮古・八重山の6地区から持ち回りで成績優秀チームが派遣される。つまり、各地区6年に1度チャンスが巡ってくる仕組みになっており、今年度は那覇地区から1チームが選出される番だった。

派遣推薦をかけた6月の那覇地区夏季大会で松島小は順調に勝ち上がったものの、決勝戦で古蔵小に50対56で競り負けた。ただし、古蔵小は既にドリームカップ(北九州市開催)への派遣が決まっていたため、準優勝校である松島小に九州大会への出場権が巡ってきた。

続く8月の沖縄県夏季大会では、準決勝で津嘉山小に36対37の僅差で敗れて3位で大会を終えた(津嘉山小は同大会で優勝)。県大会の結果は九州大会には影響しないものの、好成績を収めながら頂点にあと一歩届かない悔しさがチーム内に充満していた。この状況を打破すべく、九州大会の目標に「優勝」を掲げて開催地である長崎県へと乗り込んだ。

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宮城昊河

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