9年ぶりにキングスへ復帰した桶谷大HCのチームビルディング「組織が成功を収めない限り、個は成功じゃない」

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3季連続のセミファイナル敗退、その壁を超えるために

桶谷大

bjリーグ2011-12シーズンを制し、選手に胴上げされる桶谷HC(撮影・大井聖路)

 

――2021-22シーズンの目標は?

優勝です。

――直近の4シーズンで、キングスはセミファイナル敗退が3回続いています。桶谷さんから見て、あと一歩足りないものは何でしょうか?

まず、カンファレンスを勝つ(4年連続で西地区1位)ということ自体がすごいこと。今までの4年間のチームと比較するというよりも、今までのチームの良いところを踏襲した上で、プラスアルファ、チャンピオンシップで勝つためにどういう風に練習だったり毎試合毎試合を続けていくかというところが一番大事かなと思っていて、レギュラーシーズンの戦い方がチャンピオンシップに行った時に重要になる。たとえ20点差で勝ったところで、そこに中身だったり、自分たちのケミストリーがプラスアルファになってなかったらチームとして成長していない。

もちろん優勝するためにはホームコートアドバンテージが絶対必要です。ホームコートアドバンテージを取るためにはレギュラーシーズンの戦い方が大切で、レギュラーシーズンを勝率1位で勝ち上がることが目標になる。その中で、一つひとつの勝った負けたも必要ですけど、自分たちが次の試合のため、チャンピオンシップのためにちゃんと準備できるかというところが今シーズン一番重要になると思っています。

――今オフのキングスは強力な補強をしました。コーチとしてはプレッシャーではないでしょうか?

はい。そもそもキングスに来たこと自体がすごいプレッシャーです。やるべきことは僕の中で明確になっていて、前半戦、正直厳しい戦いになると思っています。いろんな選手が入ってきて、個性のある選手がたくさんいて、使い方によって、組み合わせによってはすごく力が出たり、出なかったりということが前半戦はあると思う。それを怖がらずに、沢山の組み合わせをやっていきたいですし、チャレンジをしていきたい。その中で良い部分をどんどん積み上げて、失敗して良いと思うんですよ。(ファンには)申し訳ないが、最初はある程度、負けを覚悟している。そこでどれだけ土台を作れるかということが重要で、それができた上で積み重ねていって、チャンピオンシップの戦いに備えていけば、良いプレイヤーが多いので、おのずと勝つチャンスはどんどん広がる。組み合わせを怖がらずに、勇気を出してチャレンジしていきたい。

――2009年にキングスがbjリーグで初優勝した年に、桶谷さんは『似たり寄ったりの選手を集めるのではなく、突出したものを持っている選手を集めて、個性を組み合わせることで、こちらがメンバー交代をするたびに相手はマッチアップを変えたり戦術を変えたりしないといけなくなる』とおっしゃっていました。あえてギャップを作る選手構成で、それを生かす起用をされていたと思いますが、そんな選手起用を今シーズンも観られると思って良いでしょうか?

チャンピオンシップはお互いの良いところの潰し合いですよね。お互いのやりたいことの潰し合いをして、最後に何をやるかといったら、個性を持っていてゲームチェンジャーになれる選手がゲームを作っていくのがチャンピオンシップなので、その数が多い方が間違いなく強い。それを見つけるために、見出すために、ハラハラすることはいっぱいあると思うんですけど、楽しみにして観てほしいなと思います。

――新型コロナの影響で、秋田ノーザンハピネッツとの練習試合が無観客になりました。コロナの影響はチーム作りにも出ているでしょうか?

一緒にいる時間が今までのシーズンよりも取れていないので、時間を共有することが難しいんですけど、その中でもなるべくコミュニケーションをしっかり取ること、そのための時間を作る努力をしています。コロナ対策をしながらも、時間を作って、チームメイト同士が話をして、考えていることを共有することがケミストリーを上げていくためのキーなので、シーズン前にできるように努力しています。

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