3Q 『魔境』西地区の代表として
3クォーター、キングスはクーリーのオフェンスリバウンドからの得点で先制するも、残り7:57に富樫、残り7:06にスミスと、千葉に連続3ポイントが決められてスコア40-43と3点差に迫られる。
しかし、キングスはまたもセカンドユニットで状況を打開する。
残り5:30、フリッピンがインサイドへのドライブからクーリーへ頭越しのパスでアシストで、スコア40-45。
残り3:03には、ムーニーのフリースローで48-47と千葉に逆転されるも、直後の残り2:47、 フリッピンがトップから3ポイントを決めて48-50とキングスはすぐに再逆転。
千葉に点差を詰められても、キングスに焦る様子は無かった。積み上げてきた自分たちのバスケットに自信があった。その自信が最高の形で現れる。残り1:33の場面、牧が左コーナーから3ポイントを決めた場面だ。
ダンカンがローポストからアタックを仕掛けると、スミスとエドワーズがダブルチームで挟み込む。天皇杯決勝で、キングス相手に千葉が何度も使ったパターンだ。フリッピンが中央へカットすると、原はキックアウトパスをカットするべくフリッピンをマーク。
フリッピンはゴールまでダイブせず、急ストップでフリースローサークルまでステップバック。そこでダンカンからのパスを受けて、ワンドリブルで千葉の5人全員の視線を集めると、右コーナーに移動した牧へパスアウト。
コーナーでパスを受けた牧は、躊躇する事なく3ポイントを撃ち抜いた。
天皇杯決勝で千葉ディフェンスに阻まれてパスを狙われたパターン。キングスは何度も何度も練習を重ねて準備してきたに違いない。このファイナルズ、千葉がローポストへのダブルチームトラップを仕掛けたのはこの瞬間が初めてであり、キングスはその最初の対応で完璧に崩してみせた。
付け加えるなら、キングスはこのオフェンスの形を、4月12日(水)のアウェー島根戦でも完璧に遂行していた。3月の天皇杯での悔しい敗戦のあと、西地区の強豪と激しく首位争いを続ける中で、キングスは着実に成長していた。成長の手応えを感じさせるチームに、ベンチ全員がガッツポーズを見せる。
3クォーター終了時のスコアは、54-57でキングスのリードは3点。しかし『魔境』西地区の激戦を制して、西地区代表として勝ち上がってきたキングスの成長を、横浜アリーナに詰めかけた多くのキングスファンも信じていた。