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『ポジションレス』バスケの完成度

この日の試合は、キングスにとって2022-23レギュラーシーズンのホーム最終戦であり、8113人の観客が沖縄アリーナに詰めかけた。そしてこのホーム最終戦で、キングスはBリーグ史上初のシーズン来場者数20万人を達成した。

 

キングスの試合終了後には、沖縄アリーナのメガビジョンで島根vs広島を急きょ放送。西地区優勝の瞬間を見届けようと、半分以上の観客が残って試合の行方を見守った。

この日は島根が広島に勝利して、沖縄アリーナでのキングス西地区優勝決定はならなかったが、キングスが沖縄で愛されて続けている象徴的な光景だった。

 

今季のキングスはホーム沖縄アリーナでの試合は、26勝4敗。B1リーグ首位を走る千葉ジェッツと同じホーム勝率だ。そのホームコートでの強さを、キングス桶谷HCはこう表現した。

「最高のハード(沖縄アリーナ)があって、ブースターの皆さんがいて、メディアの皆さんも僕達に注目していただいて、それを見た沖縄県民の皆さんがキングスを応援してくれる。その総合力だと思っている。僕は、沖縄県民のために戦う責任がキングスにはあると思っている。(次戦のアウェー広島戦で)なんとしても2つ勝って、チャンピオンシップ(CS)準決勝のホーム開催権をしっかり取りたい」

 

レギュラーシーズンのホーム最終戦ということもあり、今季の総括的な質問も多かった記者会見。指揮官は、1年をかけて積み上げてきたチームへの手応えを語った。

 

「チームのケミストリーが、前半戦に比べてすごく大きくなってきている。結局チームは、勝ちながらそれぞれのチームメイトをリスペクトし合い信用して、統一感、総合力が生まれる」

「(チーム結成して)最初から皆でチームバスケットをしましょう、と言っても無理なんです。積み重ねていく中で、それぞれがそれぞれの長所をリスペクトし合い、チームとして大きなものになる」

「今シーズンはすごくその雰囲気を感じている。シーズン当初はセカンドユニットがハマらないというのは多分あったと思いますし、スタートを誰と誰を組ませた方がいいかなとか、色々な事がある中で、牧が良くなってくる、松脇が、フリッピンが良くなってくる。今日なら田代が良くなってくる。誰が出てもキングスとしての生産性の高いバスケット、僕は『Productivity』と呼んでいるんですが、『Productivity』の高いバスケットが出来る。これが僕がやりたい事であり、これが出来るからキングスが西地区でずっと勝ち続けられている」

「そういう意味では、本当に誰が来ても、こういう風なバスケットの概念を持ってキングスが進んでいけるようにしたい。あと2試合プラスCSがあるんですが、最後までこれを作り続けて、その次、またその次のシーズンと繋いでいけるように、今のメンバーで頑張っていきたい」

 

また、シーズン冒頭に今季のテーマとして掲げていた『ポジションレス』についても言及した。

「(相手のシュートが決まった後に)バックコートからボールを運ぶ選手というのは、ある程度プレッシャーに強い選手がボールを運ぶが、リバウンドを取ったりターンオーバーの後は、誰がボールを運んだとしても、誰がハンドラーになっても同じ流れに入れる。そのようなアドバンテージを作っていける、というのが理想」

「このチームはハンドラーになれる選手が何人もいて、(相手の)プレッシャーさえ無ければというのはあるが、ちょっとプレッシャーが出てくると、(ハンドラーに直接オンボールスクリーンを仕掛ける)ボールピックではなく『Get Action』と言いますが、ビッグマンがフラッシュして(パスを受けて)その後に(ハンドラーが)オフボールで動いていく、という動きがあります。誰が出てもその形に入れる、というところがやりたかったバスケット」

「今日は小野寺がプレッシャーをかけられて何度かターンオーバーした場面があったものの、それ以外の場面はボールがスムーズに流れて、誰が出てもアドバンテージを作れたんじゃないかなと思います。どのチームが相手でも、どんな戦術が来たとしても、それをやり切るのがキングス。それを目指したいと思っています」

「(ポジションレスの完成度という点では)完成度って上を見たらなんぼでもあるとは思うんですよね。個の能力や状況判断を良くするだったり、上を見たらもっともっと、となってしまう。ただボールムーブメントという意味では、Bリーグでも完成されているというか、どのチームが見てもキングスのボールムーブメントを守るのは難しいよね、とはなっていると思うので、そういった意味で良いところにはいるんじゃないかなと思います」

 

沖縄とハワイに感じる『Island Vibes』

記者会見場に、充実感を感じさせる笑顔で入ってきた渡邉飛勇。この日の出場時間は12分34秒で、2月6日のデビュー戦での12分16秒を超えて今季最長だった。長い時間コートに立てたこの試合の感触をこう振り返った。

「前半からエナジーを持ってプレイできた。リバウンド、ボールムーブメント、プレイメイクと自分の役割を徹底出来たことは良かったことだと思います」

 

2クォーター残り6:20の場面で、渡邉の見事なキックアウトパスから、左コーナーのフリッピンが3ポイントを決めた場面の感触を聞くと、「練習でも試合でも、コーから僕へのパスで80%くらいは決めているので、今日は彼に1つお返しが出来て良かったよ」と、悪戯っぽい笑顔で答えてくれた。

 

キングスの強力な外国籍トリオの中で、渡邉がプレイタイムを確保するのは容易ではない。渡邉本人は自身のストロングポイントを「mobile (機動力)。コートの適切な位置に素早く移動出来ます。私の役割は動いて走って、出来るだけ速く走ることです」と語った。

 

桶谷HCも渡邉の貢献を高く評価した。

「思っている以上にすごく良い仕事をしてくれた。最後の最後で飛勇がシュートブロックに飛んでくるというのは、今まで僕らのチームに無かったものだし、今日も最後に飛んできてシュートを落とさせる場面が何度もあった。ディフェンス面ですごくプラスになった」

 

沖縄の大観衆のファンの盛り上がりに、ハワイと同じような『Island Vibes』を感じると語った渡邉。

「故郷であるハワイの人々もスポーツをこよなく愛し、大好きなバレーボールやバスケットボールをサポートしている。沖縄のファンも同じように、僕らチームを精一杯サポートしてくれて、それが僕らの力になっている」

 

島国に生まれ育ったものたちが持つ『Island Vibes』を感じつつ、渡邉飛勇は初めてのチャンピオンシップを迎えようとしている。

 

 

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