見え隠れするキングスのウィークポイント
3クォーター、島根は2クォーターと同じく1−3−1ゾーンとマンツーマンを織り混ぜながら、キングスのオフェンスリズムを狂わせようとする。
島根はリバウンドからの速攻で徐々にペースを掴みかけるが、キングスは前日勝利のポイントとなったダーラム、エバンス、小寺のスリービッグで流れを押し戻そうとする。しかし島根はニック・ケイの3ポイント、安藤のドライビングレイアップで54 – 51と3点差に迫る。
今季のキングスオフェンスは、インサイドとアウトサイドのボールの出し入れで相手を揺さぶり、確率の良いシュートをチーム全員で見つけるスタイルだ。だが独力でジャンプシュートを確率良く決められる選手は少なく、中間距離からのシュートが増えると苦戦する傾向がある。
この試合、島根ディフェンスは特に並里とフリッピンを敢えてアウトサイドでフリーにする事で、彼らに外からのシュートを打たせるように仕向けていた。
キングスは外からの『打たされた』シュートが落ち始め、島根のリバウンドからの速攻が続く。
3クォーターはスコア57−53、キングス4点リードで終了。この試合だけではなく、CSにも大きな課題となるであろうキングスのウィークポイントが見え隠れする展開だった。
どんな内容でも勝利する。それがプレーオフ
4クォーター、キングスは並里、岸本、フリッピンの3ガードを再びコートに立たせる。
島根はゾーンディフェンスでフリッピンを敢えてフリーにするが、それでもフリッピンは臆する事なく3ポイントを放ってみせた。勝負どころで決して逃げる事の無い、彼らしいメンタリティだ。
さらに集中力の高まるフリッピンは島根のディフェンスリバウンドのボールをスティール、岸本のディープスリーにつなげる。
残り8:04 60−53 となり島根はタイムアウト。だがキングスのリズムは続く。
フリッピン、並里はボールを左右にふって揺さぶり、しっかりゴール下でポジションをとるクーリーにパス。ファウルを奪う。自分達のストロングポイントで島根ディフェンスにプレッシャーをかける。
キングスは守備でも全員が集中力高くボールにプレッシャーをかけ続け、ビュフォードを中心とした島根の攻撃を防いだ。
この日のキングスの4クォーターのディフェンスは、まさに『勝つための』ディフェンスだった。
4クォーター、キングスはチームファウルを4つに抑えた。4月17日(日)の名古屋戦では4クォーターの早い時間帯でファウルを重ね、名古屋にフリースローを献上した事が敗因となった。この日はギャンブルをせず無駄なファウルを減らし、島根オフェンスにプレッシャーをかけ続けた。
そして島根のオフェンスリバウンドは4クォーターわずかに1つ。どんなに良い守備でも最後にディフェンスリバウンドを死守しなければ、いつまで経っても自分達に攻撃権は移らない。『リバウンドを制する者は試合を制す』とはよく言ったものだ。
試合終盤、キングスのディフェンスエナジーを体現するコー・フリッピンがこの日3つ目となるスティールを奪い、勝負は決した。
最終スコアは71−68。華麗な勝ち方では無かったかもしれないが、点差以上に『勝利』したゲームだった。
もうすぐ始まるプレーオフ、チャンピオンシップは結果こそが全てだ。キングスはそのチャンピオンシップを駆け上がるために戦ってきた。頂を駆け上がる時はもうすぐだ。