4月24日(日)、B1リーグ第33節。琉球ゴールデンキングスは、ホームで島根スサノオマジックとGame2を戦った。
前日のGame1を93 – 82で勝利して5年連続となる西地区優勝を決めたキングス。
島根は今季ここまで同一カード連敗が無いチーム。キングス桶谷HCも「チャンピオンシップ(CS)に出場するチームにバックトゥバック(2連戦)で2連勝することが大事」と語るように、リーグ制覇に向けて内容も結果も問われる大事な試合だ。
CSに向けた駆け引き
キングスのスターティング5は、#4 コー・フリッピン、#13 ドウェイン・エバンス、#14 岸本 隆一、#30 今村 佳太、#45 ジャック・クーリー。
島根のスターティング5は、#2 ペリン・ビュフォード、#3 安藤 誓哉、#4 ニック・ケイ、#15 白濱 僚祐、#28 ウィリアムス ニカ。

最初の得点は島根ニック・ケイの3ポイント。Game1では3ポイントシュート0/8だったニック・ケイだが、躊躇せず撃ち抜いた。
対するキングスは、島根の外国籍選手のローポストアタックにはクーリーがヘルプポジションからのダブルチームで対応。CSに向けて様々な戦い方を試しているのが分かる。
CSに向けて戦っているのは島根も同じ。1クォーター残り6:35、島根ディフェンスヘルプがエラーを起こして、その間を割って今村がドライブで得点すると、島根は早くもタイムアウト。チームの完成度を上げてCSに臨むために僅かなミスも許さない。
レギュラーシーズン順位が決まりかけたこの時期の戦い方は、目の前の勝利と同時にCSに向けてチームをピークに持っていく、ある意味難しい舵取りが必要になる。
1クォーターは20 – 20の同点で終了。互いの思惑と駆け引きがせめぎ合う時間帯だった。
互いを称え合う岸本と安藤のマッチアップ
2クォーターのキングスは、並里、岸本、フリッピンの3ガードを揃ってコートに立たせる。この3ガードがチームに勢いをもたらす。
残り5:50、この日はベンチスタートの並里が、島根の得点源である安藤をクリーンブロック。5857人が詰めかけた沖縄アリーナを沸かせる。

さらにフリッピンのドライビングレイアップ、岸本が右コーナーから3ポイントを沈めて、スコアは37 – 26と一気にキングス11点リードとなる。
島根は1−3−1ゾーンを敷く。キングスのアウトサイドシュートをあえて捨てて、ボールムーブメントのリズムを狂わせる作戦だ。
残り4:27、フリッピンは右45度でフリーになると躊躇せず3ポイントを放つ。相手に『打たされた』3ポイントシュートだがフリッピンは決めてみせた。
2クォーター最後の攻防、岸本と安藤。互いの意地がぶつかり合うマッチアップ。
岸本は強烈なディフェンスで安藤をハーフラインまで追い詰める。ファンからも一際大きな拍手。

真っ向勝負を挑む安藤は、岸本のプレッシャーの上から3ポイントをヒット!ブザービーターを決めた安藤に、アリーナからは賞賛ともとれる感嘆の声があがる。

熱いマッチアップを見せた二人は、互いを称え合う小さなタッチをしてロッカールームに戻っていった。

2クォーターは47 – 33、キングス14点リードで終了。
見え隠れするキングスのウィークポイント
3クォーター、島根は2クォーターと同じく1−3−1ゾーンとマンツーマンを織り混ぜながら、キングスのオフェンスリズムを狂わせようとする。
島根はリバウンドからの速攻で徐々にペースを掴みかけるが、キングスは前日勝利のポイントとなったダーラム、エバンス、小寺のスリービッグで流れを押し戻そうとする。しかし島根はニック・ケイの3ポイント、安藤のドライビングレイアップで54 – 51と3点差に迫る。
今季のキングスオフェンスは、インサイドとアウトサイドのボールの出し入れで相手を揺さぶり、確率の良いシュートをチーム全員で見つけるスタイルだ。だが独力でジャンプシュートを確率良く決められる選手は少なく、中間距離からのシュートが増えると苦戦する傾向がある。
この試合、島根ディフェンスは特に並里とフリッピンを敢えてアウトサイドでフリーにする事で、彼らに外からのシュートを打たせるように仕向けていた。
キングスは外からの『打たされた』シュートが落ち始め、島根のリバウンドからの速攻が続く。
3クォーターはスコア57−53、キングス4点リードで終了。この試合だけではなく、CSにも大きな課題となるであろうキングスのウィークポイントが見え隠れする展開だった。

どんな内容でも勝利する。それがプレーオフ
4クォーター、キングスは並里、岸本、フリッピンの3ガードを再びコートに立たせる。
島根はゾーンディフェンスでフリッピンを敢えてフリーにするが、それでもフリッピンは臆する事なく3ポイントを放ってみせた。勝負どころで決して逃げる事の無い、彼らしいメンタリティだ。
さらに集中力の高まるフリッピンは島根のディフェンスリバウンドのボールをスティール、岸本のディープスリーにつなげる。
残り8:04 60−53 となり島根はタイムアウト。だがキングスのリズムは続く。
フリッピン、並里はボールを左右にふって揺さぶり、しっかりゴール下でポジションをとるクーリーにパス。ファウルを奪う。自分達のストロングポイントで島根ディフェンスにプレッシャーをかける。
キングスは守備でも全員が集中力高くボールにプレッシャーをかけ続け、ビュフォードを中心とした島根の攻撃を防いだ。
この日のキングスの4クォーターのディフェンスは、まさに『勝つための』ディフェンスだった。
4クォーター、キングスはチームファウルを4つに抑えた。4月17日(日)の名古屋戦では4クォーターの早い時間帯でファウルを重ね、名古屋にフリースローを献上した事が敗因となった。この日はギャンブルをせず無駄なファウルを減らし、島根オフェンスにプレッシャーをかけ続けた。
そして島根のオフェンスリバウンドは4クォーターわずかに1つ。どんなに良い守備でも最後にディフェンスリバウンドを死守しなければ、いつまで経っても自分達に攻撃権は移らない。『リバウンドを制する者は試合を制す』とはよく言ったものだ。
試合終盤、キングスのディフェンスエナジーを体現するコー・フリッピンがこの日3つ目となるスティールを奪い、勝負は決した。
最終スコアは71−68。華麗な勝ち方では無かったかもしれないが、点差以上に『勝利』したゲームだった。

もうすぐ始まるプレーオフ、チャンピオンシップは結果こそが全てだ。キングスはそのチャンピオンシップを駆け上がるために戦ってきた。頂を駆け上がる時はもうすぐだ。

試合後の記者会見
島根スサノオマジック ポール・ヘナレHC

——試合の総括
このチームを誇りに思います。琉球は素晴らしいチーム。後半に点差を開けられた時もしっかり食いついていった。パーフェクトなゲームではなかったが、琉球という素晴らしいチームの立ち向かっていったチームを誇りに思います。
——リバウンドについて
今日も琉球にオフェンスリバウンドで19個取られていて、この部分はもっとステップアップしなけれいけない。
——3ポイントの確率が落ちていた
琉球のディフェンスを破るのは難しい。後半はそのディフェンスを掻い潜って打ち破ることも出来た。さらにステップアップしたい。
——リード・トラビス選手不在で琉球と競った事はCSに向けて自信につながった?
トラビスが2ヶ月不在で少ない人数で戦っている事に自信は持てている。CSより目の前のレギュラーシーズンを1戦1戦しっかり戦いたい。
——今シーズン最も力を入れた部分は?
チームアイデンティティが最も大事になる。シーズンが続いていく中で変わっていくと思っているし、それを見つけていきたいと思います。
——CSで再び沖縄アリーナで戦う可能性もあるが沖縄のファンの印象は?
I love it!琉球のファンはアメージングだよ(笑)素晴らしい雰囲気の中で試合が出来た事を嬉しく思うし、組織としても完成されている。島根スサノオマジックはまだ若いチームなので、これから琉球のようになれるように一歩一歩頑張っていきたい。
琉球ゴールデンキングス 桶谷HC

——試合の総括
今日の最後に勝ち切れたのは我慢できたところ。チームの成長を感じた。オフェンスが調子良くなくても、トランジションディンフェス、シューターへのハードなディフェンス、リバウンド、それらが多く見受けられた。泥臭い仕事をしながら我慢して連勝できた。
島根に連勝したのは僕たちにとって重要。同一カード連敗がない島根に連勝したのはすごく良かった。
雰囲気もプレーオフライクというか、CSに近い戦いができた。僕たちも試合前に仮想CSとしてバックトゥバックの試合に連勝しようとトライして、チームとして我慢して結果が出せたのは本当に素晴らしいと思う。
これからもゲームが続くし、まだ自分達に足りない部分がある。今日もゾーンとマンツーのチェンジングされた部分でボールムーブメント、ペイントアタックが出来なかった。そういう部分を見つめ直して、相手にとって本当に嫌なオフェンスの終わり方が出来るチームになる。40分間ハードにディフェンスを続ける。それをバックトゥバックでもやり切れる。CSに向けてそんなチームにしていきたい。
——桶谷HCからよく『気持ち』という言葉が出るが、今シーズンは5敗のみと高い『気持ち』を維持されてきたがその秘訣は?
一番はどんな時も冷静に戦うという部分。自分のシュートが入らない時、ファウルが吹かれない時、相手にタフショットを決められた時。そんな中でどれだけ冷静で居続けられるか。それは一人一人がやらないといけない。勝負どころで冷静でいられるからこそ、最後に自分たちのやるべき事をこなせている。最後は運もあるが、冷静でいるという事が今シーズンは出来ていると思う。
——試合前からその冷静さは意識している?
いや試合前はロッカールームでわちゃわちゃしていますけど(笑)ただコートに入って入場した時に皆スイッチが入る。あとは4クォーターでコートに出ていく選手がすごく冷静。特に岸本がすごく成長している。以前私がHCだった時と岸本は入れ違いで、外から見ていた岸本はやんちゃなイメージだったが(笑)、今季は頼り甲斐のあるリーダーに変貌している。最後に彼がコート内で冷静にプレイしている。それが他の選手にも連動して、周りの選手も冷静にプレイできているのかなと思う。
——リーグ制覇にあと何が必要か?
強い意志。優勝するためにはそれが大前提で、ゲームの中で正しい判断をするために冷静で居続けられる事だと思っている。毎試合毎試合、僕らはそれを訓練だと思ってやっている。もちろん戦術戦略、個人の能力も重要だが、それを使っていくためには何があっても冷静にプレイし続ける強い意志が一番重要。ここからCS入る前にもタフなゲームが続くので、そこをCSライクに戦っていく事が重要。
——勝利し続ける今の強さの要因は?
もともとキングスのポテンシャルはあった。今までも西地区4年連続優勝している素晴らしいチームで、過去も佐々HC、藤田HC、その前も伊佐HCとすごく素晴らしいコーチがこのチームを成長させてきて、それがチームの土台になっている。
そのチームカルチャーを球団もすごく大事にしているし、ファンの人達や、キングスに関わる人全てがそのチームカルチャーを大事にしている球団。僕が入ったからという訳ではなく、なるべくしてそうなっている。
今季は選手層も厚くなって、怪我人がいても勝ち切れているのはその厚みがあるから。それにプラスアルファで、今季だけではなく今までずっと築き上げたチームカルチャーがあるからこそ今の成績になっていると思っている。
——連勝を目指すのはCSも想定していた?
バックトゥバックで強いチームにどうやって連勝するか。今日良かったのはシュートが入らない展開、後半こちらのシュートが入らず、ペイントのスコアも伸びない。その中でどう勝つか。リバウンド、ディフェンスを頑張る。泥臭くそれをやり続けて連勝に繋がった。どのチーム相手でもそういう事は起こり得る。シュートが外れてもどうやって勝つかが体現できた。これは今までの勝ちゲームよりも価値があると思っている。

