連続得点で『流れ』をつかむキングス
3クォーターのキングスは今村の3ポイント成功でスタート。クーリーのスクリーンを使いチームで作った得点だった。
キングスは名古屋の積極的なディフェンスをいなすように3ポイントライン上でボールを回し、最後はクーリーのゴール下にパスを入れる。
クーリーのゴール下での連続得点でキングスに流れが傾くと思われたが、名古屋も自分達のディフェンスをやり切り流れを渡さない。
3クォーター中盤まで一進一退の攻防が続く。
ゲームが動き出したのは3クォーター残り5分。岸本の3ポイント、フリッピンのドライブインと連続得点でキングスが56 – 55と逆転。
さらにエバンスが名古屋のターンオーバーから連続得点。今季のキングス勝ちパターン、ディフェンスからの速い攻撃で試合の『流れ』をつかんだ。
残り2:51で62 – 55と7点差になり、名古屋はタイムアウトで流れを止めようとする。
しかしタイムアウト明け、名古屋のシュートが落ちると今度はダーラムがリバウンドから一気にコースト・トゥ・コースト。65 – 55とキングスは点差を10点に拡げる。
並里からのパスで岸本がディープスリーを決めると、会場はこの日一番の熱気を帯びる。
3Qはスコア68 – 60とキングス8点リードで終了。『流れ』はキングスに傾いたかに見えた。
ディフェンスとフリースローで『勢い』をつかむ名古屋
4クォーター開始から名古屋は2-3ゾーンを仕掛けるものの、キングスは小野寺がゾーンの弱点であるコーナーから3ポイントを射抜く。
さらに小野寺は、同じコーナーからもう一度3ポイントを決めてみせる。小野寺の3ポイントは確実にチームの武器になりつつある。
キングスはスコア76 – 64と、この日最大の12点差にリードを拡げる。
両チームとも勝利に向けてヒートアップ。まるでプレーオフのようなエナジー。
スコアでは劣勢な名古屋だが、集中力は途切れていない。エサトンのインサイドからの得点、ゴール下のディフェンスと確実なリバウンドで、自分達の『流れ』をじっと待つ。
残り4:38 エバンスがルーズボールファウルをした時点でオフィシャルタイムアウト。スコアは78 – 68とまだ10点差だったが、静かに静かに試合の『流れ』が変わり始める。
この時点でチームファウルはキングス5つ。名古屋は0。このファウル数が勝敗を分ける。
名古屋は集中力を持続させ、タイムアウト明けのフリースローを2本確実に決める。その直後、この日名古屋がターゲットにしている小野寺がボールを持つと、意表を突くトラップディフェンスでターンオーバーを誘発。
さらに斉藤がエバンスの死角からスティールしてボールを奪う。
連続ターンオーバーが続き、残り3:51、78 – 72でキングス桶谷HCはタイムアウト。
しかしタイムアウト明け名古屋はオールコートプレスを仕掛け、キングスに落ち着きを許さない。名古屋の変幻自在のディフェンスに、キングスは流れをつかめずファウルを重ねてしまう。
クーリーの4つ目のファウルで得たフリースローを、エサトンは2本沈めて78 – 74。名古屋は4点差まで迫ってきた。
さらに残り2:21、今村のファウルで得たフリースローを、張本が3本すべて決めてみせる。ここで78 – 77とついに1点差。
オフィシャルタイムアウトからの約2分で、名古屋はフリースローだけで9得点。我慢のディフェンスで引き寄せたかすかな『流れ』を、フリースローを全て決めきる事で自分たちの『勢い』に変えてみせた。
勢いに圧されたキングスは、名古屋の3-2ゾーンに不用意なパス。それを見逃さず斉藤がスティール、そして自らのジャンプシュートで逆転。耐え続けた名古屋がついに前に出た。
残り27秒、78 – 79と1点を追うキングスがタイムアウト。ホーム敗戦なら11月13日以来155日ぶり。会場のファンも固唾をのんで勝利を願う。
キングスはエンドラインからのスローイン、クーリーが苦しめられたエサトンの上からバスケットカウント!再逆転のシュートを決める。
しかし、クーリーは大事なエンドワンフリースローを外してしまう。
スコア 80 – 79と1点差で残り8.7秒、名古屋は斉藤─エサトンのホットラインでファウルを獲得。名古屋はまたしてもフリースローだ。
ファンの大きな手拍子が鳴り響く中、エサトンは2本ともフリースローを決めてみせる。エサトンは4クォーターだけで12得点、フリースローは6本すべて決めた。
これが決勝点となり、最終スコアは80 – 81。キングスの連勝は13でストップ。
名古屋は劣勢な場面が何度もあったが、チーム全員で集中力を持続させて前日の大敗からバウンスバックしてみせた。
逆にキングスは、連続得点で流れを掴んだものの自分達のミスも重なり、最後は掴みかけた勝利の『流れ』が掌から零れ落ちていった。