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キングス、大きな課題の残る敗戦 琉球ゴールデンキングス vs 大阪エヴェッサ

(文:湧川太陽、写真:Hamataro)

4月5日(水)、琉球ゴールデンキングスはホームで大阪エヴェッサと対戦した。

前節のアウェー千葉ジェッツ戦を1勝1敗で乗り切ったキングス。西地区の逆転優勝のためには負けられない戦いが続く。

週末の千葉戦から移動日を挟み、休息する間も無い厳しいスケジュール。しかしそれは相手も同じ。ホームでもう一度波に乗れるか。

 

キングスの弱点を突く大阪の攻撃

キングスのスターティングメンバーは、#1 ジョシュ・ダンカン、#14 岸本 隆一、#30 今村 佳太、#34 小野寺 祥太、#45 ジャック・クーリー。

大阪のスターティングメンバーは、#20 合田 怜、#25 ディージェイ・ニュービル、#33 アイラ・ブラウン、#35 鈴木 達也、#54 ショーン・オマラ。

 

先手を取ったのはアウェーの大阪。外国籍ビッグマンのオマラが連続6得点をあげる。

この連続得点、キングスの弱点をしっかりスカウティングしてきた大阪の用意周到なオフェンスだった。キングスの弱点とは、帰化選手とのサイズのミスマッチと、重量級ビッグマンのスピード不足だ。

オマラの連続6得点の得点パターンは、ブラウンのオフボールスクリーンを使ってからのローポストアタック、ファストブレイク、鈴木とオマラのピック・アンド・ロール(PnR)から広いスペースを作り1on1。

全て異なるパターンだが、全てがキングスの弱点を突いている。

3番ポジションでサイズに勝るブラウンのスクリーン、ビッグマンのハリーバック(守備時に急いで戻る)の遅れ、PnRでボールマンがドライブしてきた時にカバーするビッグマンのフットワーク。

 

さらにオマラのオフェンスリバウンドからブラウンが3ポイントを決めてスコア2-9。ここでキングスはタイムアウトを取る。

この場面も、鈴木とオマラのPnRから鈴木がそのままドライブしてクーリーがヘルプに飛んだため、オマラにオフェンスリバウンドを奪われている。

 

タイムアウト後、キングスは岸本の3ポイント、今村のドライビングレイアップで得点。スコア11-15と少し流れを押し戻す。

 

だがキングスはディフェンスを修正することが出来ない。

残り3:21、クーリーと#15 松脇 圭志のコミュニケーションミスでニュービルにゴール下に飛び込まれて失点。

さらに残り3:12には、#31 木下 誠とオマラのPnRから、クーリーの中途半端なポジションの隙を突いてオマラのダンクを許す。

 

1クォーター終了時のスコアは19-22と大阪3点リード。ディフェンスこそが自分たちのプライドであるキングス。そのプライドが揺らぎ始めていた。

 

ディフェンスのコミュニケーションミスが目立つ前半

2クォーター最初の得点も大阪。残り9:34、#14 橋本 拓哉が左コーナーから3ポイントを決める。この場面もニュービルとブラウンのPnRで崩されて、直後のダーラムのローテーションミスからコーナーをフリーにしてしまった。

 

しかし、キングスは次のディフェンスでは良い対応をする。残り9:10、ニュービルとオマラのPnRに対して、田代はアンダー(スクリーンを下から避ける)を選択してニュービルの直線的なドライブを許さず、機動力に優れる#9 渡邉 飛勇がドライブコースとパスコースの両方を消すポジショニングを取る。結果、ニュービルのパスが渡邉の手にかかりターンオーバー。フリッピンのダンクに繋がる。

 

ディフェンスで改善の兆しを見せるキングス。残り5:38、ディフェンスリバウンドから素早くボールをフロントコートに運び、#33 カール・タマヨが左コーナーから3ポイントを決めて、スコア28-27と逆転。

 

残り2:30には、クーリーがオフェンスリバウンドを奪ってゴールにねじ込み得点。

だが直後に鈴木とオマラのPnRから、またもオマラに広いスペースを与えてしまい、オマラのフックシュートで失点。自分たちの強みと弱みが交互にくるキングス。

 

残り1:07、ニュービルへのオフボールスクリーンの対応でコミュニケーションミスを起こしたキングス。結果ニュービルをフリーにして3ポイントを許す。残り25秒には、同じようなシチュエーションから#15 竹内 譲次をフリーにしてしまい、またしても3ポイントを許す。

 

2クォーター終了時のスコアは、38-44で大阪6点リード。オフボールスクリーンの多い大阪オフェンスに対して、キングスはディフェンスでのコミュニケーションミスが目立つ前半だった。

 

止まらない失点

3クォーター最初の得点も大阪。ニュービルがブラウンにオフボールスクリーンを仕掛け、ブラウンがゴールにダイブするのを許してしまう。キングスは、スクリーンに引っかかった時のマークの受け渡しが曖昧のままだ。

 

大阪の2-3ゾーンに対し、キングスは小野寺で得点を重ねる。左コーナーからの3ポイント、ゴール下でボールを受けてレイアップなど、大阪ディフェンスの隙を突いて得点する。

 

残り5:43、#4 コー・フリッピンのパスからダンカンが右コーナーより3ポイント成功。

ダンカンは残り3:39、さらに残り3:07にもフリッピンのパスから3ポイントを決めて、スコア60-58とキングスが逆転に成功。

 

キングスの3ポイント攻勢は続く。残り2:47、岸本がドライブでペイントタッチから今村にキックアウトすると、今村はトップから3ポイント成功。

 

派手な3ポイント攻勢に湧く沖縄アリーナだったが、キングスはその直後に失点。木下とオマラが高い位置からPnRを仕掛け、木下がダンカンをスピードで振り切りレイアップを決める。同じ失点パターンが何度も続く。

 

3クォーターのフィールドゴール確率は、キングスが62.5%、大阪が66.7%と、両チームとも高確率で得点を重ねる。いや、互いに失点が止まらないという表現が正しい。

派手な得点シーンは見栄えがいいが、キングスは決して「殴り勝つ」チームではない。

 

3クォーター終了時のスコアは、70-68とキングス2点リード。自分たちのプライドであるディフェンスを立て直せないまま、アリーナの雰囲気だけが盛り上がってしまった。

 

狙われた大黒柱

4クォーター、攻守ともにクーリーが大きな鍵を握る。

クーリーは4クォーターをフル出場して、8得点6リバウンド。4本のフィールゴールを全て決めてキングスのオフェンスを引っ張った。

 

しかし、クーリーはディフェンスで大阪オフェンスの標的にされ続けた。

4クォーターの大阪のフィールドゴール試投数は15本。その内8本は、シュートを放った瞬間に最も近い場所にいたディフェンダーがクーリーだった。

 

ディフェンスが改善しないキングス。終盤にニュービルと木下の活躍を許して、大阪にクロスゲームに持ち込まれる。

 

クラッチタイムを岸本に託すキングスだったが、マッチアップする木下が岸本の3ポイントを完璧なブロックで止める。ディフェンスで自分たちの勝ちパターンに持ち込めなかったキングスに、勝利の女神は微笑んではくれなかった。

 

最終スコアは、88-89とキングスは1点差で敗れた。西地区の逆転優勝が大きく遠のく敗戦に、奮闘した今村は肩を落として悔しがった。

試合スタッツ:Bリーグ 2022-23 B1リーグ戦 2023/04/05 琉球 VS 大阪 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト

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