ついにBリーグファイナルの舞台までたどり着いた琉球ゴールデンキングス。5月28日(土)、BリーグファイナルGame1が東京体育館で行われた。
快晴の東京体育館には、キングスを応援しようと多くのホワイト&ゴールドの観客が詰めかけた。bjリーグ時代の有明コロシアムのように、東京体育館も沖縄の風を吹かせようと熱気を感じさせるファン。
試合前日、Bリーグより新型コロナウイルスPCR検査にてキングス・宇都宮ともに選手に陽性者が発生したと発表があり、試合当日には、キングス #3 並里 成、宇都宮 #31 喜多川 修平のコンディション不良による欠場が発表された。
初のBリーグファイナルを戦う琉球ゴールデンキングスは、ファンの声援を受けて勝利なるか。大事な大事な初戦が始まる。
セカンドチャンスポイントとピック・アンド・ポップ
キングスのスターティング5は、#14 岸本 隆一、#30 今村 佳太、#4 コー・フリッピン、#13 ドウェイン・エバンス、#45 ジャック・クーリー。
宇都宮のスターティング5は、#6 比江島 慎、#18 鵤 誠司、#9 遠藤 祐亮、#40 ジョシュ・スコット、#42 アイザック・フォトゥ。
互いにファーストシュートを硬いディフェンスで防ぐ。ディフェンスが持ち味の両チームらしい立ち上がり。
先制点はキングス、エバンスのドラインビングレイアップ。しかし宇都宮もすぐさま比江島のドライブからの合わせにフォトゥが得点。
ここからキングスは、ジャック・クーリーがリバウンドの鬼と化す。宇都宮のゴール下に割り込み、オフェンスリバウンドを奪取。クーリーは1クォーターだけで8リウバウンド、そのうちオフェンスリバウンドは4つも獲得した。
そして残り6:53 クーリーのセカンドチャンスシュートにスコットが2つ目のファウル。宇都宮は早くもファウルトラブルに注意警報だ。
だかここから宇都宮は#20 チェイス・フィーラーが連続得点。#7 テーブス 海にスクリーンをかけて自分は3ポイントラインより外に開く『ピック・アンド・ポップ』で連続3ポイントを成功させる。
セカンドチャンスポイントとピック・アンド・ポップ。両チームの外国籍選手が対照的な仕事をする。
1クォーターは、19 – 18でキングス1点リードで終了。
宇都宮の賭けと変幻自在ディフェンス
2クォーター開始直後、岸本がステップバック3ポイントを決めてチームを勢いづける。さらにキングスは、今村とクーリーのピックアンドロールから今村のピンポイントのロブパス。外れたシュートをクーリーが自ら拾ってバスケットカウントワンスローを獲得。
2クォーター残り8:18 27−20でキングスが7点リードに広げる。ここから一気にキングスに流れは傾くかと思われた。
だが、オフェンスリバウンドで奮闘するクーリーをベンチに下げた場面から流れが変わってきた。
宇都宮はテーブスが難しいロングジャンパーを立て続けに成功。さらに残り7:36、リバウンドからファストブレイクでスコットが先頭を走り得点、27 – 24と宇都宮が3点差に縮めてきた。
実はこの場面、宇都宮は早くも勝負の『賭け』に出ていた。1クォーターでファウル2つのスコットを長時間コートに置いて、3つ目のファウルをコールされた場合、大きくプレイタイムを制限され、勝敗に大きく直結する。
だが、スコットにはインサイド選手ながらファストブレイクの先頭を走る推進力がある。それはキングスブースターが一番よく知っているはずだ。
キングスはセカンドチャンスでリズムを掴んでいたものの、それは裏を返すとオフェンス時にチームが『前のめり』になっている状況だ。そんな場面で宇都宮がディフェンスリバウンドを死守すれば、キングスのディフェンスバックがほんの半歩遅くなり、スコットの推進力が大きなアドバンテージとなる。
宇都宮はディフェンスでも仕掛けてくる。2−3ゾーンを敷いてキングスオフェンスのリズムを狂わせようとする。
さらに百戦錬磨の宇都宮コーチ陣がディフェンスで攻める。単純にゾーンを継続させるだけではなく、2−3ゾーンの形をしながら、ボールがペイントエリアまで落ちた瞬間にマンツーマンに切り替えるチェンジングゾーン。さらに2−2−1オールコートプレスから2−3ゾーンなど、1ポゼッションごとに変幻自在のディフェンスでキングスの得点を停滞させる。宇都宮がゾーンディフェンスを敷いた2クォーター後半5分間、キングスの得点はわずか6得点に抑えられた。
宇都宮の安齋竜三HCも、試合後の記者会見で「ディフェンスの部分は佐々と町田のアシスタントコーチ陣がしっかりスカウティングしてくれていた」とコーチ陣の貢献を評価した。
宇都宮は早めの『賭け』と、コーチ陣による変幻自在のディフェンスでペースを握った。さらにテーブスや遠藤というファーストオプションではない選手が得点をつなぎ、エース比江島のプレイタイムを前半13分弱に抑えられたのが大きい。
対するキングスは、セカンドチャンスでペースを掴むもののバックコート陣のローテーションのやりくりが厳しい。桶谷HCも試合後「外の選手のプレイタイムの部分で、良くなくても3ビッグを使わざるを得なかった」と語った通り、今村・岸本のプレイタイムは前半約18分と長くコートに出続けた。
キングスは2クォーター最後のプレイ、フリッピンがドライビングレイアップでブザービーターを決めるものの、2クォーター終了時は35−38で宇都宮3点リード。外の快晴とは裏腹に、キングスに暗雲が漂う。