2020年12月9日、琉球ゴールデンキングスvs信州ブレイブウォリアーズ@沖縄市体育館。この試合にOUTNUMBERの記者として初めてホームゲーム取材に入りました。
コロナ禍の現状で色々な制限をかけながら開催されるホームゲームはどんな様子なのか。
今季は会場で応援出来ないファンも多いはずなので、ゲームレポートだけではない会場の様子も伝えられたらと思います。
試合開始前の静寂
水曜日の平日ナイトゲームで客足はゆっくり。試合開始は19時半でしたが1階席が埋まったのは19時をちょっと過ぎてから。2階席はまだ半分くらいの入りでしょうか。
試合前の場内アナウンスも「いつも熱い声援で盛り上げてくれるファンの皆様に我慢して頂くのは大変心苦しいのですが」とマスク着用と無言での観戦を呼び掛けます。
ただ試合開始の時間が近づくにつれ、少しずつ照明が薄暗くなり、BGMが徐々に大きくなり、もうすぐ楽しいゲームが始まるんだという空気が会場内に広がっていきます。
そして試合開始を告げるミラーボールとスポットライト。声が出せないから逆に会場中の視線がコートに集まり、ワクワクした多くの瞳が一点を見つめています。
チームもファンも同じ方向を見ている
声が出せない会場で、鳴り物が無いキングスファンは拍手でホームチームを応援します。
BGMと拍手しか聞こえないこの会場では、拍手の音はファンの気持ちをとても強く表現していました。
前の試合ではこのホームでアルバルク東京に30点差をつけて完敗したキングス。
そんなチームを後押しするように、ファンは拍手で応援します。
キングスのディフェンスに対して大きな拍手。
気迫あるディフェンスリバウンドやルーズボールに対してより大きな拍手。
前の試合では何がいけなかったのか、チームもファンも理解している事を感じさせるプレイであり大きな拍手でした。
#88 牧 隼利と#41 キム・ティリへの声なき声援
そして、この試合一番印象的な拍手を受けた選手は、#88 牧 隼利と#41 キム・ティリでした。
シューティングスランプに苦しむ牧が、体格に勝る信州#34 小野 龍猛に対して力強いディフェンスを見せ、結果的にディフェンスファウルを与えてしまいます。そんな牧のファイトに対して会場からひときわ大きな拍手。
チームメイトのコンビネーションに苦悩しているキム・ティリが、ディフェンスリバウンドをもぎ取り、ルーズボールに必死に飛びつく姿に沸き起こる拍手。
本来の力を発揮出来ていない二人の選手の、それでも何とかチームに貢献しようとする姿。
それをしっかり感じ取り、拍手で背中を押すファン。
大丈夫。ナイスファイト。前を向け。
表情豊かなあの拍手は、明らかにそう声援を投げかけていました。
第3クォーター残り2:29 ドライブインしたキム・ティリからコーナーで待つ牧へ鋭いキックアウトパス。そして牧の3ポイントが決まった時、会場にはこの日1番大きな拍手が鳴り響きました。
キングスが勝った事より、もっともっと素敵な空気が、無言の会場に鳴り響いていました。