第9節 GAME2 粘る富山を振り切りキングスが連勝

(文:湧川太陽、写真:照屋勇人)

12月5日(日)、B1リーグ第9節Game2。琉球ゴールデンキングスはホーム沖縄アリーナで富山グラウジーズと対戦。

前日のGame1は91−66とキングスが25点差をつける快勝。岸本が12得点のスタッツ以上に印象的なプレイを魅せた。

富山の策士、浜口炎HCがこのままで終わるとは思えない。キングスは12月数少ないホームで連勝なるか。

目次

1Q 我慢を続けた富山グラウジーズ

キングスのスターティング5は、並里、今村、牧、エバンス、ダーラム

対する富山のスターティング5は、#5 ブライス・ジョンソン、#11 宇都 直輝、#16 松井 啓十郎、#24 ドワイト・ラモス、#32ジュリアン・マブンガ

両チームともGame1と同じスタメンでスタート。

 

ファーストショットは富山のマブンガ。じっくり相手を見て冷静にジャンパーを決めた。

キングスは、隙あれば常にボールをスティールするような、間を詰めたディフェンス。そこからエバンスがマブンガからスティールすると、そのまま自らダンクで決める。

1Q残り6:30、富山はオールコート2−2−1を仕掛けて、キングスのリズムを少しでも狂わせようとする。

ここでキングスは、並里に代わり岸本がコートに入る。昨日のヒーローに対して、富山は宇都が高い位置からマークにつく。二日続けて活躍はさせないよというメッセージだ。

1Q残り5分を切っても点差はつかない。キングスは富山からターンオーバーを奪っているものの、その後のポゼッションをシュートで終われず足踏みが続く。

1Q残り3:55、マブンガが緩急をつけたペネトレイトから、コーナーの晴山ケビンの3Pで12−14と逆転。

マブンガは、その後も個人技でペネトレイトを仕掛けて、キングスディフェンスのファウルを誘発。

そして富山は前日の反省を活かし、ディンフェスでもポストで簡単に押し込まれず、リバウンドにも執着を見せる。

1Q残り1:57 スコア14−18で富山がリード。徐々にリズムを失うチームに、キングス桶谷HCがタイムアウトで打開を図る。

富山を引っ張るマブンガだが、レフリーの微妙な判定に対してフラストレーションを溜めてしまい、1Q残り1:08の場面でテクニカルファウルを取られてしまう。マブンガはその後も、プレイ再開までレフリーに対しコミュニケーションを求めるも聞き入れられず。

 

1Qは19−21と富山が2点リードで終了。富山がじっくり我慢した結果の2点差だった。

 

2Q ディフェンスで輝くシューター今村佳太

2Q初得点はキングス今村のジャンパー。軽やかなドライブから綺麗に決めてみせた。

2Q残り8:07、キングスは小寺を入れてスリービッグを選択。マブンガに対してフィジカルで勝るダーラムをマッチアップさせて、自由に仕事をさせない作戦だ。

しかしマブンガはそれを逆手に取り、積極的にダーラムを攻め立て、数分でファウルを2つ奪いコートから追い出してしまう。

このまま富山に流れが傾くかと思われた2Q残り6:11、今村が大きな仕事をする。

富山のファストブレイクチャンスに対して、今村は態勢を崩しながらボールに手をかけてマイボールにする。

さらに今村はその直後の攻撃で、左45度から3Pを成功。チームに流れを呼び込む大きなディフェンスであり、価値ある一発だった。

2Q残り4:43、30−24でキングスが逆に6点リードを奪い、オフィシャルタイムアウト。

富山は何度もキングスに離されそうになるが、マブンガを中心に攻守に粘り強くプレイ。マブンガは、クーリーにもこの日2つ目のファウルをさせる。

キングスも集中力を切らさない。クーリー、今村と流れるようにパスをつなぎ、最後はフリッピンがコーナー3Pを決める。

2Q残り2:02、36−29となって富山がタイムアウト。

もう一度気持ちを引き締めたい富山だったが、負担が大きいのか、マブンガはボールをファンブルしてしまい、エバンスにダンクを献上してしまう。

 

前半は、41−31とキングスが10点リードで終了。

 

3Q 岸本から並里へのワンツーパンチ

3Q立ち上がり、互いにターンオーバーやオフェンスファウルを続けてしまい、両チーム共になかなかリズムに乗れない。

富山は頼みのマブンガが、3Q残り7:58、3回目のファウルを犯してしまう。

ここからキングスはディフェンスのギアを上げ始める。

フリッピンがハーフライン付近でボールを奪い、クーリーが激しいポジション争いからターンオーバーを誘い、牧が富山のパスミスの隙を突き一気にショットまで持ち込む。

さらに3Q残り4:12、ゴール下の争いから富山#5 ジョンソンが痛恨の4回目のファウルをしてしまう。

苦しむ富山は、ゾーンディフェンスで外国籍選手のファウルトラブルを耐えようとするが、自らのターンオーバーから、クーリーにバスケットカウントを許してしまう。

3Q最後は、岸本がドライブからキックアウト、並里のブザービーター3Pが決まる。

前日の記者会見で桶谷HCが「岸本・並里のワンツーパンチは、相手チームにとっても脅威になっている」と語るとおり、二人のキングスを代表する選手のコンビプレイが決まった。

 

いつもとは立場が逆のプレイに、沖縄アリーナも大盛り上がり。65−46とキングス19点リードで3Q終了。

 

難しいゲームを勝ち切る力

4Q残り8:37、今度は並里のパスから岸本が3P成功。ディフェンスも集中力を増し、富山から24秒バイオレーションを奪う。

富山も最後に仕掛ける。オールコートプレスを仕掛けてフリッピンのパスミスを誘い、4Q残り2:01で77−64と13点差まで詰め寄る。

だが粘る富山を振り切り、最終スコアは、キングスが80−69で勝利。

 

2Q以降は終始キングスが富山を圧倒。ドウェイン・エバンスは、ファウルトラブルに苦しんだGame1の借りを返す、31分出場、22得点、7リバウンドの活躍だった。

しかし、両チームともレフリーの笛にフラストレーションを溜めている場面が目立ち、決して後味が良いとはいえないゲームだった。

試合後のコート上でも、キングス桶谷HCはこう語った。

桶谷HC

「ラフでアグリーな、観ていてもなかなか良くないゲームにしてしまった。それでもこういうゲームで勝つ事が学びになる。だれが出ても強いキングス、それができればプレイオフコンテンダーになれると思う。これからも応援して下さい。」

 

ドウェイン・エバンス

ご覧の通りアグリーな内容だったが、皆さんの声援のおかげで今日勝利する事が出来た。これからも応援よろしくお願いします。

 

岸本 隆一

今日も応援ありがとうございました。簡単な試合はひとつもなくて、それぞれが思う事はあると思うが、それをしっかりと糧として、来週以降につなげていきたい。ありがとうございました。

 

 

試合後の記者会見

試合後の記者会見には、今節から復帰したジャック・クーリー、そしてドウェイン・エバンスが語ってくれた。試合中の真剣な表情から一転、二人とも笑顔で色んな話をしてくれた。

ジャック・クーリー選手

──復帰してからさっそく身体のキレが見えるが?
まずはコーチングスタッフ、メディカルスタッフに感謝します。病気だった期間に10kgほど体重が落ちたが、そのおかげで動きが軽くなったのかな(笑)

──富山のゾーンディフェンスに対してどのように対応している?
幸運なことに我々にはリーグ屈指のガード陣がいる。僕はいつもインサイドアウトでガード陣を探すようにしている。さまざまなチームがゾーンを敷いてくるが、上手く対応できていると思っている。

──シーズン1/4が終わってチームへの感触は?
個人的には長期的な目標を持たず、目の前の相手に一戦一戦集中したい。今年僕らは特別なことが出来ると思っている。

──10kgほど落ちた体重は、今後戻す?
徐々に体重は戻していきたい、無理をせずに筋肉として戻し、よいコンディションで戻す。

──クーリー選手が離脱中もチームは勝利、特に三河戦は欠場者続出の中勝利した。
僕がいない5試合の間のチームを誇りに思う。僕らは特別な選手の集まりだ。三河戦での僕の欠場は、遠征前日に知らされたが、皆がファイトしてくれた。選手たちを誇りに思うよ。

──次のゲーム、ジョシュ・スコット選手もいる宇都宮に向けて抱負を
宇都宮はとても良いチームだし、楽しみにしている。スコット選手も素晴らしいプレイヤー。開幕戦のA東京戦、そして川崎戦とも良い戦いができた。今回の宇都宮戦、自分達の良いテストになる。

──今日のゲームは第1Qから少し荒れ気味だった。荒れたゲームで気をつけたことがあれば教えて下さい
とてもフィジカルで、荒れてラフなゲームだった。ジョンソン選手も故意にファウルしたわけではない。審判も我々に自由にプレイさせようとしたのか、それはそれで楽しいゲームだったよ。

身体を張ってペイント内でチームのために戦うのが自分の役割。対戦相手が琉球のホームにきたときは「ペイント内は簡単に支配できないぞ」と思わせる。AD(アレン・ダーラム)やゲイリー(小寺 ハミルトンゲイリー)もタフに戦うので、琉球のインサイドはタフだと相手に植え付けたい。

 

ドウェイン・エバンス選手

──今日は相手のマブンガ、ジョンソンがファウル4つ。エバンス選手自身で7つのファウルドローン、意識したことは?
我々のゲームプランとしては、富山の外国籍選手2人に積極的に攻撃して、ファウルを誘うのが作戦だった。僕らインサイド陣もそれを意識して動けた。

──マブンガはドライブ力もある、何を意識して守る?
マブンガは多彩で止めるのは難しい選手、タフなマッチアップをして守備をすることが自分の仕事。自分の役割を全うして、自分の存在感を示したいと思っている。

──アレン・ダーラムが加入して、感触や連携は?
ADの加入は我々を強くした。身体を張って存在感も示してくれる。僕らにはクーリーや小寺選手もいるし頼もしいよ。

──ファンも気になっていると思うが、髪型が試合ごとに変化があるが、何かゲン担ぎしている?
これといったゲン担ぎやルーティンがあるわけではないが、毎試合会場に行く前に鏡を見ながら、その日の気分で決めているんだ(笑)

パターンがいくつあるかは自分でも分からないが、最近自分もアイデアが切れているので、もしファンからの提案があれば教えてほしいな(笑)

 

 

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この記事を書いた人

地元で開催されるFIBAバスケットボールワールドカップ2023に貢献するべく奮闘中!
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