4クォーター
4クォーターの先制点はSR渋谷、左45度から田中が3ポイントを決めて64-64の同点にした。
キングスは松脇が積極的に得点を取りに行く。ベースラインジャンパーを決めると、さらに左ドライブから田中を振り切りペイントに侵入。田中の4つ目のファウルを誘った。
残り7:48、SR渋谷は田中とベンドラメという主力がともに4ファウルと大きなピンチだったが、逆に小島に代えてベンドラメがコートイン。まだ試合時間がかなり残っている段階で、4ファウルの田中とベンドラメを共にコートに立たせるSR渋谷。名将ルカ・パヴィチェヴィッチHCが勝負に出た。
ローが田中とマッチアップする状況になるが、なかなかローにパスを入れられないキングス。オフェンスは失敗に終わり、逆にクレモンズのドライブを止められず失点。クレモンズはディフェンスでもダブルチームへ機敏に動き、キングスがローポストに入れるパスを阻止する。
キングスのオフェンスリズムは良くなかったが、ダーラムが1on1でローポストから得点。68-74とキングス6点リードとなり、残り4:35でオフィシャルタイムアウト。
キングスはターンオーバーが止まらない。ダーラムがクレモンズとの1on1でスティールされてSR渋谷がファストブレイクを繰り出す。だが必死で戻ったカークがホーキンソンのシュートをブロックショットで阻止する。
SR渋谷は全く諦めない。田中もベンドラメも4ファウルとは思えないほど冷静で厳しいディフェンスでキングスを苦しめる。残り3分、SR渋谷はホーキンソンのパスからベンドラメ、田中と繋いで右コーナーから3ポイントを決める。これで73-76と3点差だ。
さらにSR渋谷はベンドラメが今村のパスをスティール。そのままファストブレイクに走る。ホーキンソンがシュートファウルを受けてフリースローを1本決めて74-76と2点差に迫る。
流れはSR渋谷だったが、キングスはローと岸本が高い位置での2メンゲームから、左サイドに開いた岸本が3ポイントを決めて74-79と5点差に押し戻す。SR渋谷が最後のタイムアウト。
ローと岸本が高い位置でゴールに平行に行う2メンゲームは、今季のキングスの大きな武器であることを勝負所で証明してみせた。
しかしSR渋谷はホームの意地にかけて負けを許さない。クレモンズが時間をかけずレイアップを沈めて76-79。ローがしっかり時間を使ってミッドレンジジャンパーを決めて76-81。残り30秒。
キングスはSR渋谷に一瞬の隙を見せてしまった。クレモンズがドリブルでフロントコートに入った瞬間ギアを上げてペイントエリアに侵入。右コーナーで待つ田中へパスを飛ばすと、田中はノーマークでこの日4本目の3ポイントを決める。残り27秒で79-81と2点差。
ショットクロックを使い切りたいキングスだったが、ドリブルする岸本の後ろからクレモンズがスティール。キングスはこの試合16個目のターンオーバーが試合を決める時間帯で出てしまう。
スティールしたボールをベンドラメがゴール下のホーキンソンへパス。今村が何とかファウルで阻止。ホーキンソンに2本のフリースローを与える。
ホーキンソンはフリースローを1本しか決められず80-81とキングス1点リードで残り14.9秒。ここからはファウルゲームかと思われたが、岸本のインバウンズパスが乱れてこの試合17個目のターンオーバーが出てしまう。SR渋谷はファストブレイクでケリーが得点して82-81とついに逆転。キングスはタイムアウトを請求。
残り9.2秒、今村からインバウンズパスを受け取ったローがケリーに1on1を挑み、トップオブザキーでミッドレンジジャンパーを放つと、シュートも決まりさらにバスケットカウントワンスローも獲得。ワンスローも確実に決めて82-84とキングスが土壇場で再逆転した。
再逆転を狙ったケリーのシュートは外れ、82-84でキングスが激戦を勝利した。
試合スタッツ:Bリーグ 2023-24 B1リーグ戦 2023/10/15 SR渋谷 VS 琉球 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト
試合後の記者会見では、キングス桶谷大HCが何とか勝利した激戦を反省と共に振り返った。
「反省はかなり多い試合でした。特に前半のディフェンス、SR渋谷さんのピックアンドポップのディフェンスコミュニケーションが悪くて、そこからやられた場面が何回かあった。あとエルボートラップにいった時の最後のローテーションがちょっと遅い。そしてクロージングの時間帯。(残り30秒で)5点リードで、2点、2点(の失点)ならOKなポゼッションを3点あげてしまう。勝ちはしたが反省です」
「オフェンスの部分でも今日はターンオーバーが非常に多かった。前半7個のターンオーバ−から10失点、後半10個のターンオーバーから15失点で合計25失点。それも反省しないといけない」
「ただチームとしては、ターンオーバー以外の部分はどこがアタックポイントなのか、どこにアドバンテージがあるかを見つけるのは上手くなってきている。ただフォース(無理やり)する部分はターンオーバーになっているので、そこを工夫してターンオーバーを減らしながら効率良いオフェンスを出来るようにしたい」
桶谷HCはヴィック・ローの活躍をこんな言葉で評価した。
「ヴィックがこのチームに入ってナーバスになっている部分があった。昨季チャンピオンのキングスに入ってきて、自分自身がどれだけ活躍すれば評価されるのか不安だった。点数を取ることが本人は全てだと思ってしまっていた節があった。昨日のGAME1はヴィックはプラスマイナスで+13だったけれど、小野寺が得点0だったけど+17だった。ヴィックにはそれを見せて『僕らが欲しいのはこれ。得点じゃなくてプラスマイナスが高い選手がこのチームでは一番評価される』という話をした。それでヴィックも吹っ切れて、今日はディフェンスも得点も、オフェンスをクリエイトする部分でもアドバンテージを大きくして他の選手をプレーさせていた。スタッツに残らない影のプレーをしっかり頑張ってくれて、この2試合でだいぶ良くなったと思っています」
この試合22得点で最後の決勝シュートを決めたヴィック・ロー。桶谷HCの話題にもなったプラスマイナスもチームトップの+12を記録。スタッツだけではなくクラッチタイムでも大きな仕事をしたローは誇らしげに語った。
「このタフな試合を最終的にチームを勝たせることが出来て嬉しい。(決勝シュートはショットクロックが残る状態でミドルジャンパーを放ったことについては)僕はミドルレンジが得意だし、ライアンが僕の腕に触れた感触があったのでショットにいった。結果的にシュートも入って幸運だったよ。」
「(チームでの役割について)昨季と同様にキングスでも1番から5番までコーチダイに求められることは全力で取り組んでいく。あのようなラストショットを託されれば打ちたいし、チームが勝つために全力を尽くしたい」