琉球ゴールデンキングス 小野寺祥太。ディフェンス職人の小野寺には、桶谷大ヘッドコーチもエースキラーとして絶大な信頼をよせる。富樫勇樹や河村勇輝という日本を代表するガードを何度も苦しめてきたそのディフェンスは、キングスを支える大きな武器になっている。
そしてチーム在籍6年目となる今季、小野寺は琉球ゴールデンキングスのキャプテンに就任した。
優しい笑顔と人懐っこい性格でいつもチームの笑顔の中心にいる小野寺。高校生から直接プロ選手となり、今やチームをまとめる立場になった小野寺。EASL2024-25開幕に向けて実施されたメディアデーにて、OUTNUMBERはキャプテン小野寺に単独インタビューを実施した。
(取材日:2024年9月27日)
——今シーズンはキャプテンで新たなシーズンを迎えます。心境はいかがですか?
今季のキャプテンが決まる前、誰がやるんだろうとチームメイトと話していて、(岸本)隆一さんかジャック(・クーリー)がやると思っていたんですが、皆の投票で決めようということになり、投票後の練習で僕がキャプテンだと発表されて「僕でいいのかな」と思いました。
もう一人キャプテンとしてヴィック・ロー選手が就任すると言われたので、ヴィック選手と一緒だったら、お互いの足りない部分を補いながらやっていけるかな、と感じました。
——チーム在籍も6年目と岸本隆一選手を除けばジャック・クーリー選手とともに最長で、小野寺選手自身は11月6日には30歳にもなり、いよいよ時が来たなという感覚はあったんでしょうか?
時が来た(笑) 確かに年齢もチームで上の方なので、いつかは来るのかな、今がその時だったのかなと思いますし、隆一さんや、ジャック選手のような素晴らしい選手がいる中で、ヴィック選手と一緒にキャプテンを務めるのは本当に光栄なことなんだと感じています。
——EASLで海外に遠征する機会もあり、沖縄を広く知ってもらう機会が増えてきました。そもそも小野寺選手が沖縄に初めて来たのはいつでしたか?
学生時代の修学旅行で初めて沖縄に来ました。その次はプロバスケットボール選手になってから沖縄に来ていますね。
——そして琉球ゴールデンキングスのスローガン『沖縄を世界へ』のように沖縄から世界を見据える感覚は出てきましたでしょうか?
はい、沖縄を広く知ってもらうこと。プラス僕らのチャレンジになっているのかなと思います。
昨シーズンのEASLは予選リーグで敗退してしまいました。沖縄をもっと知ってもらうためには、アウェーの海外でも勝ちつつEASLチャンピオンになる。そうすればもっと沖縄を知ってもらえるのかなと思います。
——小野寺選手のプロキャリアでははキングス在籍期間が最長になりましたが、例えばご両親や故郷の友人が沖縄に応援に来たり、活躍を喜んでもらえている実感はありますか?
かなりありますね。SNSや地元岩手の新聞にも掲載していただき、僕の周囲の方々も喜んでくれています。僕自身もっと頑張って、もっと高みを目指せたらと思います。
——ヴィック・ロー選手も一緒にキャプテンということで、EASLを戦っていく上で具体的に何か会話を交わしましたか?
多くは話していないですが、チームで雰囲気が落ちた時などは積極的に声を出したりして、しっかりキャプテンから掛け声でチームの雰囲気を変えていきたいです。
——キングスは今年9月にイタリア遠征なども経験しましたし、EASLも含めて国際的な交流が増えてきていますが、個人的にはどのように感じていますか?
国際的な関わりが増えてきて過密スケジュールを懸念する声もあるんですが、僕自身はそんな懸念は無くて、本当に楽しみながらやっています。ニュー・タイペイ・キングスのジェレミー・リン選手のような国際的な選手とマッチアップする機会もあり、楽しみながらプレー出来ています。
——その楽しみの中には、バスケットだけではなく海外の雰囲気を楽しんだりそこでしか食べられないものを食べたりとかそういう要素もあるんですか?
そういう要素もありますね。オンオフの部分で練習前だったり後とかご当地の美味しい食事を食べたり、宿泊先のホテルで郷土料理なども食べる機会もあり、チームとしても楽しめていると思います。
——観客も海外は独特というか良い意味での違和感があると思いますが、ここが驚いた、ここは違うという点はありましたか?
本当に沖縄アリーナのキングスの応援が素晴らしすぎて、どこの国へ行ってもあまり驚くことはありませんでした。イタリア遠征では最前列で音楽に合わせてダンスしながら会場を盛り上げている人がいましたね。盛り上がり方は海外それぞれのアレンジがあるんだと実感しました。
——小野寺選手のプレー面では、EASLにおいてもエースキラー、エースストッパーとして相手チームのエースにマッチアップしますが、その役割の面白み、醍醐味はどこにありますか?
マッチアップした選手の腰が一歩引くというか、嫌な顔をしたりボールを後ろに構えてしまう部分を見ていると、僕のプレッシャーが効いているんだなと感じます。ファウルをしないギリギリの部分で戦っているので、相手が自由にプレーできないフラストレーションを溜めさせつつ、時にはファウルを上手く使いながら守るようにしています。
——激しいディフェンスする時のメンタル面の準備は、相手を100%抑えつけてやるという気持ちで臨んでるのか、それともいつも通りの平常心で臨んでいるんですか?
平常心ですね。僕はキリッとしているよりはフワッとしている方だと思うので、そんな雰囲気の選手からディフェンスでバチコンいかれたら相手は嫌だと思うので。ディフェンスは相手がボールを貰う前の過程が大事で、相手にどうボールを持たせるのかを大切にしてプレーしています。
——昨季のEASLではマカオでのアウェー戦では終了間際の4点プレーで追いつかれたり、結果グループリーグでは3勝3敗でアウェー未勝利でした。アウェーの海外で勝利することの難しさは感じていますか?
環境面も含めて僕ら自身がいかに平常心でいつも通りに戦えるかが大事になってきます。いかにタフに戦えるか、今季の新しいチームには、そんな昨季の経験を還元できたらと思っています。
——小野寺選手は大学を経ずに2013年に高校から直接プロ選手への道を進みましたが、当時は大学進学してバスケットやるっていう選択肢は無かったんですか?
大学進学の選択肢もほんの少しはありましたが、でも外国籍選手がいるようなより高いレベルの中でバスケットボールをしたいという強い気持ちがあったので、大学進学ではなくプロを目指していこうと考えました。
——プロキャリアのスタートとなった岩手ビッグブルズ(当時bjリーグ)には、最初は練習生として参加したんですか?
練習生でもないです。本当に練習に参加しに来ている人、みたいな立ち位置からスタートです。そこから練習生を6ヶ月間やらせていただいて、そこからプロ契約に進みました。
——そのプロセスのなかで桶谷大ヘッドコーチが見てくれていて、戦力として考えてくれたんですね
その当時聞いた話ではトレンド選手という岩手の外国籍選手が、彼が「(小野寺に)ユニフォームをあげてもいいんじゃないか」ということを、桶谷ヘッドコーチに話していただいて、桶谷さんもそうだなということで話しが進んだそうです。
——時を経て、小野寺選手がキャプテンとして桶谷ヘッドコーチと共にEASLに臨むことになりますが、桶谷さんとの出会いからの12年間を含めてどのように感じていますか?
キャプテンとしての重責は感じずにやってほしいという部分は言われていて、僕自身も今まで様々なキャプテンを見てきて分かっているつもりなので、いかに選手とコーチが上手く馴染むようにやっていきたいなと思います。
新人当時に育ててもらったヘッドコーチと、キャプテンとヘッドコーチという関係になり、EASLでも爪痕を残すだけではなく、しっかりと桶谷ヘッドコーチと共に優勝を勝ち取りたいと思います。
EASL 2024-25シーズン 琉球ゴールデンキングス ホームゲームスケジュール ・10月16日(水) 19:40 TIP-OFF vs メラルコ・ボルツ(フィリピン) ・12月4日(水) 19:40 TIP-OFF vs 釜山KCCイージス (韓国) ・12月25日(水) 19:40 TIP-OFF vs ニュータイペイキングス (チャイニーズ・タイペイ)会場:沖縄アリーナ / 観戦チケット販売概要はこちらから |