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『チーム』を感じさせる記者会見

この日の記者会見中、勝利ヘッドコーチである桶谷大は、一度も笑顔を見せなかった。

「1クォーターでガード陣のファウルトラブルがあった中で、セカンドユニットの選手たちが試合を引っ張ってくれた」

「2クォーターで点の取り合いをしてしまったが、ハーフタイムでしっかり反省して、4クォーターはいいディフェンスが出来た」

「本当に自分たちがやるべき事をずっとやり続けることが、このシリーズのキーになったと思っている」

 

最終的に16点差をつけたものの、横浜BCへの警戒は緩めていなかった。

「今季の横浜が怖いなと思うのは、結束力があるというか、リードしていても、そこで終わらせないというのが横浜の強さ。トランジションと3ポイント、セカンドチャンスがあるチームなので、自分たちはそこを怠らずにやる必要がある」

この日、横浜BCにファストブレイクから12得点を許した。その要因を、桶谷HCは冷静に分析した。

「今日はペイントが47.6%(試合後スタッツでは46.5% 20/43)で、レイアップを外しているシーンが目立った。選手からすればファウルだろというのは結構あったとは思うんですが、とはいえそれで走られて負けては意味が無い。レイアップに行った時点でコーナーの選手はパスが来ないと分かった時点でエルボータッチをしっかりして、トランジションを止めるというのは大切かなと感じています」

横浜BCの最大の武器であるファストブレイク。相手の破壊力ある武器にリスペクトを示しつつ、それすら押さえて勝利するという強い意志を感じさせた。

 

 

 

この日キングスで最も輝いたのは、間違いなく背番号15 松脇圭志だった。3ポイント9本中5本成功の15得点。何より出場時間30分27秒は、レギュラーシーズン含めて個人として今季最長だった。

CSセミファイナルは自身初出場だった松脇。だがいつもの松脇らしく飄々とこの日のプレイを振り返った。

「(セミファイナルは)初めてだったんですが別にそこまで緊張しているというか、いつもと違うことをしようとは思わず、自分が出た時間帯に自分の仕事をする、という意識で今日の試合に臨みました。スタートの選手にファウルトラブルがあって、いつもよりは出場時間が長かったんですけど、その中で自分の仕事が出来たことが良かったと思います」

「僕も他のベンチメンバーが活躍することで、このCSを勝ち上がっていけると思っているので、今日は僕がそうやって仕事が出来たことが良かったかなと思います」

 

キングスを支えるセカンドユニット。ひとりに依存する事なく、全員で戦うことを1年間通して積み重ねてきた。CSセミファイナルという大事な舞台で、セカンドユニットのひとりである松脇が活躍したことに、桶谷HCは手応えを語った。

「ゲームの中で誰が一番フィットしているかを見極めるのは(HCである)僕の仕事ですが、今日は松脇が一番フィットしていた」

「牧と松脇をどちらを残そうかというシーンが何回かあったが、(横浜BCは)オーバーヘルプがあるチームなので、牧より松脇を置いていた方が相手にとって怖いと思った」

「松脇を(コートに)置いているとき、周りの選手も松脇のオープンをすごく探してくれているので、シーズン通してずっとやってきた事がいま実っているのかなと思います」

 

松脇自身も、自分の活躍だけではなく『チーム』としての勝利を誇らしそうに語った。

「(キングスは)本当にメンバーが多くて層が厚いチームだと思っています。今日は僕でしたけど、僕じゃなくてもベンチから出てくるようなメンバーが本当に同じようなプレイが出来て、同じように得点も取れて全部出来るプレイヤーが多いと思う」

「皆が信頼しているというか、今日みたいにファウルトラブルになったとしても皆が声を出してやってくれていますし、そういった信頼関係があるから、今日のような『チーム』で試合が出来たんだと思います」

 

 

 

この日が27歳の誕生日だったコー・フリッピン。10得点をあげたスコアリングだけでなく、ターンオーバーが0。爆発力を備えつつ、ポイントガードとしてしっかりと試合を作り上げた。

「毎年の誕生日はセミファイナルを戦っているのですが、家族が愛情を持ってサポートしてくれているので、自分自身もいいメンタルを整えて試合に望めていたと思います」

 

毎年プレイオフの時期になると、より集中力を研ぎ澄ましたプレイを見せるフリッピン。ただ集中力を磨いているのは自分だけではないと胸を張る。

「チャンピオンシップになれば、自分たちのチームロスターに登録している選手の1番目から13番目の選手まで、それぞれがハードワークするプロ意識を持っている。このような大切な試合は、自分たちの名前がいつ呼ばれるか、それぞれがプロ意識高く準備をしています」

 

その強い意志を支えているのは、昨季味わった悔しさ。ファイナルまであと1勝となったことを、フリッピンはこう語った。

「去年の経験も踏まえて、勝ち方というよりも、とにかくどういう形でも勝利を掴みに行くという気持ちでファイナルに登っていきたい」

 

記者会見に出てきたコーチ、選手それぞれが『チーム』を感じさせた記者会見。それこそが今季キングスが積み上げてきたものであり、チーム全員がそれを信じている。

 

キングスが頂点を掴むために必要な勝利は、あと3勝。

 

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