キングス勝利のポイントは守備にあり
レギュラーシーズンでキングスが島根から挙げた3勝のうち注目すべきは4月24日の最後の対戦だ。
この試合キングスのチームFG% 33.3%とシュートが入らない試合だったが、強固なディフェンスで守り勝った。キングス桶谷HCもこの試合後に「チームとして我慢して結果が出せたのは本当に素晴らしいと思う」と振り返ったようにチームとしての成長を感じさせた。
強力な島根オフェンスをどう止めるのか。島根オフェンスの特徴と傾向から、キングスのディフェンスポイントをまとめてみよう。
ペリン・ビュフォードはサイドラインに追いやれ
外国籍ガード/フォワードである#2 ペリン・ビュフォードは、レギュラーシーズンの平均得点19.8、アシスト6.0はともにチーム1位。A東京とのクォーターファイナル第3戦は10アシストをマークしたように、島根オフェンスの実質的なポイントガードとしてチームを引っ張る。
ビュフォードの攻撃の特徴は、コート中央からのドリブルアタックが攻撃パターンの8割以上を占める。フリースローライン付近のペリメーターショットが得意エリアだ。
ビュフォードを完全に抑えるのは強固なキングスディフェンスといえど不可能に近い。彼がドリブルを突いたら中央に行かせない様にサイドライン側へディレクション(相手の進行方向を制限する)、得意なエリアから少しでも遠ざけて、ビュフォードがリズムを掴むのを少しでも遅らせたい。
安藤誓哉はオフボールでプレッシャーをかけ続けろ
#3 安藤 誓哉は強気なプレイでチームを引っ張るキャプテンだ。A東京とのクォーターファイナル第3戦では20得点、3ポイント4/8と素晴らしい活躍をした。
本来のポジションはポイントガードだが、実際の役割はシューティングガードとして得点を取る事に集中している。181cm、84kgと体幹の強さを活かしてインサイドにアタックしてくる。
安藤にはボールを持たせる前から厳しいプレッシャーをかけ続け、彼に気持ちよくプレイさせない事が大事だ。並里、岸本のディナイ(ボールを持たせないディフェンス)が重要になる。
セットプレイの金丸晃輔は見逃すな
#14金丸 晃輔は日本を代表するシューターだ。だが島根での役割はベンチから登場する6thマンであり、今までのようなチームの1stオプションではない。彼を警戒しすぎてオーバーディフェンスになるのは、キングスのチームディフェンスとしては逆効果かもしれない。
しかし、タイムアウト明けやスローイン時のセットプレイでは、金丸にシュートを打たせるためのセットプレイを使ってくる。金丸晃輔のシューティングスイッチが入るタイミングを見逃してはいけない。
白濱・阿部には1本たりとも決めさせない
#15 白濱 僚祐、#13 阿部 諒の役割は3ポイントとディフェンス、まさに”3&D”の選手だ。オフェンスではコーナーに待機、少ないシュートチャンスを待っている。
しかし彼らを侮ってはいけない。彼らの献身的なディフェンスが島根を支えており、もし白濱・阿部が1本でもコーナーから3ポイントを成功させれば、島根はチーム全員で盛り上がるだろう。
CSという短期決戦では、1つのプレイで試合の流れ、シリーズの行方が一気に変わっていく。献身的なプレイを続ける白濱・阿部だけには3ポイントを許してはいけない。
ピック・アンド・ポップをどう守る?
島根の外国籍ビッグマンの#4 ニック・ケイ、#8 リード・トラビスは3ポイントを決めるシュート力を持ち合わせている。ビュフォードや安藤との2メンゲームから外に開いて3ポイントを放つピック・アンド・ポップ(PnP)も大きな攻撃パターンだ。島根vsA東京クォーターファイナル第3戦でのトラビスの3連続3ポイントは、すべてビュフォードが引き付けてからのパスで放たれた。
キングスはこのPnPへの対応を苦手にしている。インサイドの要であるジャック・クーリーの機動力では3ポイントラインまでディフェンスカバーは難しい。後半の勝負どころで必ず使ってくる島根のPnPをどう抑えるのか。桶谷HCの手腕が問われる。
リバウンドを死守してポゼッションゲームに勝利せよ
キングスが島根に大きなアドバンテージを持っているのがリバウンドだ。レギュラーシーズン4試合すべてリバウンド数は島根を上回った。
島根のオフェンスリバウンドを阻止して、ディフェンスリバウンドを死守。ポゼッションゲーム(攻撃回数)で島根を上回ることが勝利に直結してくる。
島根はビュフォードや白濱も積極的にオフェンスリバウンドに絡んでくる。キングスは外国籍ビッグマンだけに頼らず、チーム全員がボックスアウトを怠らずにチームでリバウンドを掴む事が大事だ。
強敵 島根スサノオマジック
島根スサノオマジックはアルバルク東京との死闘を制してさらにチーム力が上がっている。チームの勢いだけならキングスを上回るかもしれない。
強敵である事を認め、どんな泥臭い形でも勝ち切る。その勝利への執念が勝者と敗者を分けるはずだ。