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【試合結果】キングス4連敗、西地区自力優勝が消える 5/4(土)B1リーグ第36節

(文:湧川太陽、写真提供:琉球ゴールデンキングス)

5月4日(土)、琉球ゴールデンキングスはアウェーで広島ドラゴンフライズとGAME1を戦い、69-59で敗れた。

この試合前までキングスは3連敗。特に西地区2位の名古屋D戦と対戦した前節アウェーで2連敗して、ゲーム差1まで肉薄された。キングスが最終節の広島戦を2連勝すれば自力で西地区優勝を決められるものの、名古屋Dが直接対決でキングスを上回っているため、キングスが1敗すると自力優勝が消滅。逆にこの日試合の無い名古屋Dに、自力優勝の可能性が発生する状況だった。広島にとっても、この試合に勝利すれば2年連続のチャンピオンシップ(CS)が決まる重要な試合だった。

 

 

この試合のキングスのスターティングメンバーは、#7 アレン・ダーラム、#14 岸本 隆一、#30 今村 佳太、#34 小野寺 祥太、#45 ジャック・クーリー。

先制点はキングス。岸本が激しいボールプレッシャーでターンオーバーを奪うと、その岸本からゴール下のクーリーにアシスト。キングスも広島も、共にCSを前に絶対に負けられないという強い意志が見えるディフェンス。1クォーター残り4分を切ると両チームともにスリービッグ起用。キングスはダーラム、#53 アレックス・カーク、#4 ヴィック・ロー。広島は#15 河田 チリジ、#24 ニック・メイヨ、#8 ケリー・ブラックシアー・ジュニアを並べる。1クォーター終了時のスコアは9-14でキングス5点リード。

 

2クォーター、広島はクォーター開始から6連続得点で15-14と逆転。しかしキングスも牧の3ポイントで再逆転。だがキングスはローテーションミスで#7 船生 誠也のコーナー3ポイントを許して再び広島リード。キングスは渡邉飛勇のターンオーバーも続き流れを掴めない。残り5分41秒、キングスは4人交代で流れを取り戻そうとする。しかし広島の流れは続き徐々に点差を広げていく。キングスは岸本が必死にボールを追いかけスティール、クーリー、ダーラムと連続オフェンスリバウンドを奪って28-23と5点差に縮めるが、広島は#12 中村 拓人が前半だけで13得点の活躍もあり流れを渡さない。2クォーター終了時のスコアは34-24で広島10点リード。

 

3クォーター、広島はクーリーからスティールすると、メイヨが3ポイントを決めて39-26と広島この日最大の13点リード。しかしキングスは今村、岸本の連続3ポイントで39-34と5点差に迫る。3クォーター終了時のスコアは49-42と広島7点リード。

 

4クォーター、松脇が3ポイントを2本決めて53-50と3点差に。しかし広島はメイヨのドライブからの3ポイントプレー、上澤のコーナー3ポイントで61-53と追い付くことを許さない。松脇のクォーター3本目の3ポイントで61-56にするも、キングスはなかなか連続得点を奪えない。広島はメイヨが2ポイントジャンパーを決めて残り2分11秒で63-56にする。終盤の勝負所、キングスはダーラム、カーク、ローのスリービッグと今村、岸本を並べる。岸本が3ポイントを決めて残り1分48秒で63-59と4点差。

残り1分25秒でショットクロックぎりぎりの場面、広島はブラックシアーが難しいシュートを放つがミス。エアボールのように見えショットクロックブザーが鳴るがそのままプレーが継続。ブラックシアーが自らオフェンスリバウンドを取り、広島ボールでプレー継続。キングスの選手やベンチが猛抗議するが、残り1分14秒でアウトオブバウンズになるまでプレーは継続された。

その後広島は河田がゴール下で粘って得点して、残り1分6秒で65-59。対するキングスは残り53秒でダーラムのシュートはメイヨにブロックされる。ファウルゲームのフリースローを河田が2本決めて67-59と残り43秒で広島8点リード。逆転を狙うキングスは岸本に託すが、#30 山崎 稜が3ポイントシュートをブロック。ここで勝負は決した。

最終スコアは69-59で広島が10点差で勝利した。広島はこの勝利で2年連続のCS出場を決めた。キングスは4連敗となり西地区自力優勝が消滅して、CSホームコート開催は名古屋Dの結果次第となり、崖っぷちに追い込まれた。

試合スタッツBリーグ 2023-24 B1リーグ戦 2024/05/04 広島 VS 琉球 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト

 

 

試合後の記者会見、キングスの桶谷大ヘッドコーチは試合をこう振り返った。

「出だしは悪くなかった。セカンドユニットでスリービッグになった2クォーターで相手にビッグクォーターを作られてしまい、2クォーターの点差がこういう試合にしてしまった。(広島の)スリービッグに対してスリービッグを合わせて、広島のマッチアップゾーンに対してボールが回らなくなった時間帯でターンオーバーをしたり、タフショットを打って走られたりしてこの試合展開になってしまった」

「出だしは皆が気持ちが入って良かったが、プレーオフ、CSに向けてセカンドユニットの安定をしっかりしていかないと、自分たちが良い状態でゲームを作っていたのに、ゲームを1からマイナスにしてしまう。明日もう一度チャレンジして、CSに向けて明日は勝利でレギュラーシーズンを締めくくりたい」

 

今村も、連敗を続けるチーム状況を何とか改善すべきだと語った。

「本当に悔しい負けをしてしまった。自分たちが掴めるものを自分たち自身で離してしまっている状況が続いている。もちろん良い状態ではないが、CS出場は掴んでいて、ここで僕らのシーズンが終わるわけではない。CSに向けて、自分たちはどういったチームになっていかなければいけないのか。それをチームメイトやヘッドコーチとコミュニケーションを取っていきたい。少しバラバラになってしまっている部分の、何が良くて何がいけないのか。それをクリアにしていく必要がある」

「ディフェンスは相手を80点以内に抑えているしそこまで悪くなかった。ただ、良いオフェンスを続けられないストレスが、結果的にディフェンスの綻びや自分たちのバスケットボールを続けられないことに繋がっているし、スリービッグをしたことで重くなってしまったこともあると思うので、そこは自分たちでクリアにしていかなければいけない」

 

岸本は、地区優勝を目の前にしてからの苦戦について、自分自身の考えを語った。

「ここまでそれなりに勝率高く戦ってきて、その『あと少し』がどれだけ大切なのか。僕自身はそれを見に沁みて分かっているつもりなので、その『あと少し』が何なのか。今日のゲームでは自分たち自身でその答えを見つけられなかった。皆頑張っているし、こういう状況の中でもがいている。僕自身こういう状況というのは、今シーズンに限らず、人生にとって必要だと思っている。今が意味のある時期だと思って戦いたい」

 

 

シーズン最終盤で起きた、受け入れ難い判定

この試合は両チームにとってCS進出や順位を賭けた戦いであり、レギュラーシーズンで最も重要な試合だった。その緊迫した試合の最終盤で、キングスにとっては受け入れ難い判定があった。

事前に記載するが、以降の記述はレフェリーのジャッジについて批判する意図ではない。しかし、シーズン最終盤の大事な場面で起こった出来事に対して、Bリーグとして今後に活かして欲しく問題提起したい。

 

 

4クォーター残り1分25秒、ショットクロック残り1秒で広島のブラックシアーが放ったシュートは、中継映像ではリムに当たっていないように見えた。もしリムに当たっていない場合、ショットクロックオーバーでキングスボールとなるはずだった。しかし3名のレフェリーは笛を吹かず、ショットクロックバイオレーションを示す肩を叩くジェスチャーをしなかった。残り1分14秒でアウトオブバウンズになるまでプレーは継続された。もし仮に、実際の現場ではボールがリムをかすっていたとしても、試合を中断してインスタントリプレイ(IRS)で映像を確認して欲しかった場面だ。

 

「JBAプレーコーリング・ガイドライン (20230629)」によると、4クォーター残り2分を切ったこの場面は、たとえ各レフェリーがショットクロックバイオレーションを宣言していない場合でもIRSレビューが可能であると記載がある。

JBAプレーコーリング・ガイドライン (20230629)
第3章 1.IRS(インスタント・リプレー・システム)
(4)第4クォーターや各オーバータイムの残り2:00以下のときにレビュー可能なケース
 ① 成功したショットのボールが⼿から離れるのが、ショットクロックのブザーよりも先だったかどうか。(ショットクロックのバイオレーションを宣していない場合でもレビュー可能)
上記記事内に「JBAプレーコーリング・ガイドライン (20230629)」リンク有り
また同ガイドラインによると、審判によるIRSの項目はヘッドコーチチャレンジの対象になるとの記載がある。
JBAプレーコーリング・ガイドライン (20230629)
第3章 2.HCC(ヘッド・コーチ・チャレンジ)
(2)HCCを請求する場合の⼿順
① 審判によるIRSを使⽤する際に規定されている項⽬のみがチャレンジの対象となる。

 

もし筆者のルール認識が正しければ、レフェリーはショットクロックバイオレーションのブザーが鳴った時点でレフェリー裁量でIRSの確認は出来たはずだし、残り1分14秒でアウトオブバウンズになった時点で、キングスはヘッドコーチチャレンジを請求出来たはずだった。

筆者のルール認識の正誤、そしてこの場面がなぜショットクロックバイオレーションと判断されなかったのか、レフェリーがIRSを使用しなかったのか。それらをリーグに質問したが、リーグからは「各試合におけるレフェリーのジャッジに関する質問の個別回答はしていない」との回答があった。

 

 

繰り返しになるが、これはレフェリーのジャッジについて批判する意図ではない。ただし、シーズン最終盤の大事な試合で起こった、ファンにとって大きな疑問の残るジャッジに対しては、しかるべき立場から何らかのアクションが無ければ、Bリーグの試合の商品価値を貶めることになってしまわないか。

米プロバスケNBAでは、試合後にレフェリーの誤審を認める事例も出ている。もちろんそれで試合結果が覆ることは無いが、Bリーグの今後にとって大いに参考になるのではないか。

参考:76ers対クリッパーズ戦の最終盤で誤審 試合後にレフェリーが認める | NBA Rakuten| 2024年3月29日(金) 13:08

 

 

レフェリーもひとりの人間であり、大事なゲームの一部だ。だからこそ現場だけに任せるのではなく、Bリーグ全体で考えてもらいたいと筆者は考える。

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