2月15日(水)、第98回天皇杯準決勝が沖縄アリーナで開催され、琉球ゴールデンキングスと横浜ビー・コルセアーズが対戦した。
キングスは昨季B1準優勝のためスーパーシードでこの準決勝が天皇杯初戦。対する横浜BCは1月の準々決勝で群馬クレインサンダーズに大逆転勝利で勝ち上がってきた。
今年の天皇杯決勝は東京の有明コロシアムで開催される。bjリーグ決勝の舞台だった有明は、キングスにとって忘れられない場所。
過去最多来場者数となる8,503人が詰めかけた沖縄アリーナ。キングス初の天皇杯決勝へ高まる期待。
だが大観衆は、172cmの小さな日本人選手のプレイに驚愕することになる。
河村勇輝、爆発の予兆
キングスのスターティングメンバーは、#1 ジョシュ・ダンカン、#14 岸本 隆一、#30 今村 佳太、#45 ジャック・クーリー、#88 牧 隼利。
横浜BCのスターティングメンバーは、#5 河村 勇輝、#6 赤穂 雷太、#10 チャールズ・ジャクソン、#15 デビン・オリバー、#30 須藤 昂矢。
注目の河村勇輝に、キングスは今村をマッチアップさせる。桶谷HCが試合後に「(レギュラーシーズンで)千葉ジェッツがヴィック・ロー選手をマッチアップさせていて、河村選手も何度かしんどくなっていた。サイズのある選手を付けて河村選手にサイズを感じて欲しかった」と語ったように、今村は試合開始直後から河村に張り付いて徹底マークする。
試合開始直後こそ河村にトップからの3ポイントを許したが、キングスは冷静に試合を進める。キングスはしっかりボールを回しながら3ポイント攻勢。牧、岸本、ダンカンの連続3ポイント成功で、スコア11-3と試合の流れを掴む。
流れを押し戻したい横浜BCだったが、インサイドの要であるチャールズ・ジャクソンが1クォーター残り6:43で早くも2つ目のファウル。
ジャクソンがベンチに下がると、横浜BCは手薄になったインサイドを意識してディフェンスが内側に傾いてしまう。それをキングスは見逃さず、今村の連続3ポイントが決まり、インサイドでもクーリーを中心に得点を重ねて完全に試合の主導権を握る。
キングスの河村に対するディフェンスコンセプトは『河村自身に確率の低いシュートを打たせる』
河村と外国籍ビッグマンのピックアンドロールに対して、河村にマッチアップする今村や牧はレイトコンテスト(後ろから追いかける)で河村のシュートにプレッシャーをかけて、クーリーやダーラムはドロップ(引いて守る)で河村のドライブを警戒。河村のスピードで切り裂かれてパスを出されるより、河村自身によりタフなシュートを打たせる事で横浜BCにリズムを作らせない作戦だった。
1クォーターの河村のシュート成功率は25%(2/8)にとどまり、アシストもわずか1本だけ。残り1:26には河村は一度ベンチに下がっていった。
1クォーターは29-18、キングス11点リードで終了。キングスの河村対策は成功しているかに思えた。
2クォーターもキングスのリズムで進む。残り8:35には#24 田代 直希が#9 森川 正明からボールを奪うとそのまま速攻。35-21とキングスのリードは14点差に拡がる。
2クォーター残り7:29、河村が再びコートに戻ってくる。
河村がコートの外からゲームを見つめていた時間は、ゲームクロックで3分57秒、実際の時間では約14分間。ここから河村はスイッチが切り替わったかのように『スコアリングモード』に突入していく。
河村は速過ぎるヘジテーションドライブで松脇を置き去り、バスケットカウントワンスローを獲得。さらに河村は横浜BC得意のファストブレイクから小野寺のファウルを誘い、またもやバスケットカウントワンスロー。
河村が徐々に爆発の予兆を見せる中、キングスは冷静さを失わない。今村や牧がパスをコート左右に大きく振って3ポイントを決め、クーリーは2クォーターだけで3つのオフェンスリバウンドを奪う。河村に2クォーターだけで16点を奪われるものの、キングスは横浜BCに試合のリズムを渡さない。
スコア56-44とキングス12点リードで2クォーター終了。キングスは眼前の爆発の予兆にも怯まず、自分たちのプランを信じて全員でプレイし続けた。