ついに始まる「りそなグループ B.LEAGUE SEMIFINALS 2025-26」琉球ゴールデンキングス vs 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ。ともにワイルドカードから勝ち上がってきた両チーム。アウトナンバーの過去記事とともに今季の直接対決を振り返り、この決戦を行方を占っていく。
2025.12.10 キングス 60 – 73 名古屋D

今季初対決となったこの試合、終始主導権を握ったのはアウェーの名古屋Dだった。名古屋Dが変幻自在のプレッシャーディフェンスからスティールを連発。前半終了時には27-43と16点リードを奪う。
後半キングスはジャック・クーリーを中心にペイントエリアを支配して点差を詰めるも、終盤に名古屋Dはディフェンス強度を高め、キングスから3連続で24秒バイオレーションを奪う。キングスのオフェンスはリズムを失い、ホームで西地区のライバルに痛い黒星を喫した。

2026.04.15 名古屋D 80 – 76 キングス

RS終盤のこの対戦、名古屋Dはインサイドの柱スコット・エサトンを怪我で欠く苦しい状況だった。
先に主導権を奪ったのはアウェーのキングス。スタメン起用されたデイミアン・ドットソンの1Q8得点もあり、1Qは12-22、さらに2Q終了時は34-47とキングスが13点リードで折り返す。
しかし、後半に入ると試合の様相は一変。名古屋Dのディフェンスに粘り強さが戻りキングスにタフショットを強いると、じわりじわりと点差が詰まり、4Qに名古屋Dが逆転に成功。オフェンスでは齋藤拓実が縦横無尽に攻め続け4Qだけで11得点の活躍。キングスにとってショックの大きい敗戦となった。

キングス勝利のキーは”Reducing Turnover”
キングス桶谷大HCは、名古屋Dに勝利するキーポイントとして「ターンオーバーをしない」ことを揚げた。2回の直接対決では、ターンオーバーからの失点がともに21失点(総失点の23%)、16失点(総失点の20%)と敗戦に大きく直結している。
しかし「ターンオーバーをしない」ことと「ボールを大事にする」ことはイコールではない。名古屋Dのディフェンスは、前からガンガンプレッシャーを仕掛けてボールを奪うディフェンスではなく、ゾーンディフェンスを織り交ぜながら相手を惑わせ、判断の悪いショットへ仕向けてくる。彼らにとってはショットクロックも「6番目のディフェンダー」だ。
キングスが「ターンオーバーを減らす」ためには、より速くフロントコートへ駆け上がり、より早く相手の陣形を見極め、より良い判断を続けることが重要になる。

ペイントエリアを蹂躙せよ
キングスがクォーターファイナル三河戦を勝利した要因は、ペイントエリアを制圧した点にある。ペイントアタックを起点にオフェンスを組み立てて、強みであるオフェンスリバウンドからの得点を積み重ねた。
平均リバウンド数でキングスを上回る名古屋Dだが「試合ペースを考慮したリバウンド奪取率なら、こちらが上回っているはず」と桶谷HCもペイントエリアの制圧に自信を見せる。
しかし単純なポストアップだけでは、名古屋Dのゾーンディフェンスの網に絡め取られてしまう。
ターンオーバーを減らす事にも繋がってくるが、素早いボールムーブメントから、相手の陣形の隙を見逃さずにペイントアタックでショットまで持っていく。中途半端にキックアウトパスを選択すれば名古屋Dの思う壺だ。岸本隆一は常々「ペイントタッチではなくペイント”アタック”が大事」と繰り返す。綺麗なシュートなんか必要ない。泥臭く力強いショットでペイントエリアを蹂躙せよ。

“No.1 PG” 齋藤拓実をどうするのか?
名古屋D #2 齋藤拓実は、12月の対戦では8アシスト、4月の対戦では22得点と、キングスとの対戦では大活躍してきた。名古屋Dのオフェンスの中心は間違いなく齋藤拓実。日本代表としても成長著しい彼は、すでにBリーグNo.1 PGだ。
斉藤をどうするのか?キングスのディフェンスプランはまずそこから構築される。2度の直接対決では、スタメンPGに脇真大を起用してサイズの優位性を強調してきた。しかし日本人選手だけで齋藤拓実をシャットアウトするのはもはや不可能かもしれない。斎藤はそれほどの存在だ。
かつて千葉Jの富樫勇樹にしたように、ヴィック・ローをマッチアップさせるか。もしくはハードショーやオールスイッチを駆使して、斉藤を一瞬たりともノーマークにさせないか。どちらにしてもキングスにとってはリスクの大きな「賭け」になる。キングスがその賭けに勝つか。それとも斉藤が大きな「代償」を払わせるのか。試合序盤の大きな見どころとなる。

ホームの”熱”こそがアドバンテージ
ヴィック・ローは、セミファイナルで沖縄に戻ってきた喜びをこう語った。「チケットの売れ行きがすごく良いと聞いているので、実際にファンの皆さんがどのような形で盛り上げてくれるのか期待しています。ホームでプレーできることはすごく楽しみですし、我々にとって大きなアドバンテージになると思っています」

沖縄アリーナは2021年の開業後、すべてのチャピオンシップシーズンでホームゲームを行ってきた。プレーオフがどういうもなのか。ホームアリーナでプレーオフを戦うことがどういう意味を持つのか。言葉ではなく、その五感で理解している。
彼らがこのアリーナに灯す情熱は、スタッツシートだけで判断する連中には絶対に分からない。このアリーナで彼らの情熱を感じた人間なら、必ずこのアリーナの力を信じている。
彼らはもう一度、このアリーナに情熱の火を灯してくれた。
本当の勝負、決戦のプレーオフの”熱”を、この沖縄から、このアリーナから日本中に見せつけてやれ。
(文:湧川太陽)


