ーー後半は仲村さんの体験した米大学バスケットボール界の話やお互いの現在のビジョンをお届けします。
□米大学バスケットボール事情
金谷:アメリカでの話を聞かせてください。
仲村:僕がスタッフとして活動した場所がシカゴ大でディビジョン3、勉強に行った場所がミシガン州立大でディビジョン1、あとはNBAですけど、シカゴ大にはコーチが五人いましたね。ヘッドコーチとヘッドアシスタントコーチ、あと三人はボランティアのコーチです。ディビジョン3は長く一人のコーチがその大学に居られるので、安定して指導できるっていう利点があって、シカゴ大のヘッドコーチは指導に携わって、なんと22年だそうです。
金谷:ディビジョン3でもすごい選手いるの?
仲村:ディビジョン3ですけど、ディビジョン1からスカウトが来る選手はいっぱいいますよ。大学で勉強する内容とバスケットの兼ね合いからディビジョン3を選ぶ選手もいて、ディビジョン1でも活躍できる実力の選手はたくさんいます。
金谷:へえ。
仲村:ディビジョン1のミシガンステイトはまた桁違いで、ちょうどザイオンがいたときのデューク大を倒してファイナル4まで行った大学で、それは観に行きました。まずコーチの数が十何人かいてマネージャーが各学年三人、全体で12人いるんですけどその枠をめぐって毎年40人受験してくるっていう。仕事といえば本当に雑用ですけど、選ばれた人しかできないんです。
金谷:この間、湧川太陽さんをお招きしてワールドカップの勉強したんだけど、アメリカで最初にバスケットボールの興業が行われるようになった頃は1930年代の前半で、マディソンスクエアガーデンを使って大学を招待してそこに一万人、五日間で十万人くらい集めたのが始まりとあって、その当時も一万人入る施設があった。沖縄もそれがやっとできる時代に突入したんですけど、アメリカはもう百年以上前にそういう文化が根付いていてその差をかんじたんですけど、でも今後、日本はそういう風に発展していけるなと思いますね。
仲村:個人的な意見ですけどバスケットボールに関してはアメリカ中心っていうのはこれからも変わらないと思うんですけど、NBAに次ぐリーグを目指すっていうのはできると思います。全部を真似しようとは全く思わないんですが。向こうはシビアすぎる位シビアなので。
金谷:どんなところが?
仲村:常に評価されていて、能力が高くて使える子には奨学金もどんどんあげるんですけど、使えないと思ったら平気でスパっと切るので、バスケットボールしたくてもできない子もいて、しんどくないかなあと。ゼビオティルマンという大学生の選手(※下記参照)がミシガン州立大にいるんですけど大学側がチームに良いと判断したら住む場所もサポートしてくれるので、今、奥さんと子供もいるんですけど、だからより頑張るっていうのもあります。
金谷:奥が深い。知れば知るほどどこまでも勉強しなきゃなぁと思いますね。
仲村:はい。他に、行って驚いたのは設備です。
金谷:シカゴ大にも専用のアリーナがあった?
仲村:はい、ありました。館内はロゴもあちこちにあるし、チームカラーで統一されています。
金谷:キャンパス内には大学のグッズも売っているの?
仲村:はい、あります。
金谷:僕はネバダ大学に遊びに行ったことがあるんですけど、そこは二万人収容のトーマス&マックセンターっていうアリーナがあって、キャンパスも広くて売店もいくつかあってグッズも売ってて。シカゴ大学といえばユナイッテッドセンター近いんですか?
仲村:何回か行きました。ワシントン・ウィザーズの試合に招待されたときはウィザーズ側のロッカールームまで行きました。
金谷:すごいね。今後バスケットボールの活動を発信する予定は?
仲村:シカゴでの経験がかなり楽しかったのでそういうのも発信できたらと思っています。
金谷:ぜひ『OUTNUMBER』でも発信していただきたい。今年はWEBも使ってどんどん発信しているのでぜひ一緒に現地の情報も流してほしいし、論文もたくさん書き続けて下さい。
□夢の行き交う風景□
仲村:本音で言うと、指導者の見方とメディア側からの見方はすごく違うので、それを両方知らないでバスケットボールを語っていいのかというのもあって、アメリカでウィザーズの広報のザック生馬さんと話したらやっぱり全然違うと言ってて、いろんな関わり方があるんだと痛感して、自分がどこに進みたいのかまだぼんやりしています。
金谷:僕はメディア側ですけど、楽しいけど悩みもあります。
仲村:悩みというのは?
金谷:例えば今、日本にあるメディアとしてトップを取りたい気持ちもあるし資本の悩みもある、でも本当は取材の最前線に行きたい。大手メディアは全部きっちり行きますよね。Jリーグのメディアで『エルゴラッソ』という雑誌があるんですけど、中心は東京にあって、全クラブに番記者を用意して情報が吸い上がるような仕組みで週三回のタブロイド紙を出している。あんな風にしたくて今年は記事を書いてくれる人を全国に増やしていて、今回の1シーズンを通して何をとらえようかと。人は広がってもチームとして一つのものをどうとらえるのかっていうのはあって、今年はウチナーンチュのBリーガーをとらえてみるつもりです。ホーム30試合はチェックできるけどアウェイ30試合を全部は行けないのをどうカバーしようか、常に考えて、悩んでいます。
仲村:金谷さんは具体的に進んでいるのでいいですね。
金谷:行動を起こしたうえで出てくる課題・問題ですね。
仲村:僕の場合はまだ軸足をどこに置こうかっていう。
金谷:でも行動はスタートしている上での悩みだと思うので、その悩みはすごく面白い材料かもしれない。確かにメディア側の人間とコーチの考え方と選手の考え方、立場によって人って考え方変わるので、考えの違う人々がチームになって一年間、戦っているわけだからすごいですよね。
仲村:ウィザーズにいた時が面白くて、ザック生馬さんとヘッドコーチの役割が全然違うけどそれぞれの目線っていうのがあって、八村塁選手一人で成り立っているのではないとすごくかんじましたね。だからこそ難しい。
金谷:バスケットボールも今シーズンは契約取れても来シーズンは決まっている世界じゃない。プロ選手もコーチも一年一年結果出さないといけないですよね、結局自分がやるしかないっていう。
仲村:そうですね。
金谷:まとめるの大変ですけど、まあ、締め切りは友達ですよ。
仲村:どうやって締め切りを決めているんですか?
金谷:Bリーグのシーズンに合わせています。10/1日1Q発売、12/15日2Q発売、3/15日3Q発売、5月か6月に4Q発売という、おおまかなスケジュールはあって本当はもっと増やしたいんですよ、WEBもやっていますが、人々の日常に『紙』があるっていう事が大事なので年4回で出してますけど、本とか雑誌とかにしていこうと考えていますね。
仲村:やっぱりいろんな世界があるんだ、と勉強になりました。
金谷:大変ですよね卒業論文って。今後もいつでもなんでも聞いてください。僕も勉強中です。
仲村:ありがとうございました。
ーー以上で、二人の対談は幕を閉じました。自らの夢と探求心の赴くままに夢中で歩んできた道のり。自らを信じ、周りを信じ、この先も前進し続ける二人のこの先の未来が、非常に楽しみです。
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