写真・文:大井 聖路
西原 | 小禄 | |
84 | - | 73 |
23 | – 1Q – | 21 |
19 | – 2Q – | 7 |
17 | – 3Q – | 23 |
25 | – 4Q – | 22 |
西原は3年連続7回目の優勝。
ゲームレポート
県高校総体バスケットボール競技の女子決勝戦が7月24日、沖縄市体育館で行われた。決勝の顔合わせは、今年1月の小橋川杯を制した小禄と、現行チームになってからまだ県大会の優勝がない西原の対戦となった。
オールコートディフェンスからのブレイクを得意とする両チームは、序盤から目まぐるしく攻防が入れ替わるトランジションゲームを展開する。1Q残り7分、小禄#6古謝侑佳が速攻からの連続ジャンパーを沈めれば、残り2分、西原#7知名梨里亜が連続バスケットカウントを決め返し、お互いのガードが火花を散らす。流れは行ったり来たりで1Qを23対21で終える。
2Qに入ると、リバウンドボールへの執着で上回る西原が徐々にリードを広げ始める。また、西原は試合の中で相手選手の利き手やシュートレンジを見極め、ディフェンスで対策を打つのがうまいチームだ。トランジションゲームながら2Qの失点をわずか「7」に抑えた西原が、42対28と14点のリードを奪って試合を折り返す。
3Qに入ると、小禄は2-2-1プレスからの2-1-2ゾーンディフェンスを敷き、西原にプレッシャーをかける。攻防はさらに激しくなり、かけっこ勝負の中で小禄が次々と得点を重ねていく。西原のバックコート陣は試合を落ち着かせることができず、3Q開始5分で44対42と小禄が追い上げに成功する。
西原の2年生ガード#7知名は徐々に落ち着きを取り戻し、自分がおとりになってディフェンス2人を引き付けてからパスを出すことで、4対3のアウトナンバーを作り始めた。このアウトナンバーを得点につなげたのが1年生フォワードの#11中村望愛だ。前半はファウルトラブルでベンチを温めていたが、溜まったフラストレーションを後半一気に爆発させ、得点を量産した。3年生の#14仲本茜理は要所で得点とリバウンドにからみ、背中でチームを引っ張った。
その後もリードを保った西原が、最終スコア84対73で勝利を収めた。県高校女子バスケ界は昨年11月の新人大会(糸満)、今年1月の小橋川杯(小禄)、そして高校総体(西原)と、主要大会すべてで優勝チームが変わる異例の事態となった。ウインターカップ予選を兼ねる全沖縄選手権大会から、ますます目が離せない。
試合後、崎浜秀勝監督コメント
「毎年、前から当たりながらカウンターを狙うチーム作りをしているが、今日は小禄高校さんのガードにうまい子がいたので、逆に西原高校がやりたいことをやられた。決勝まで勝ち上がってきた小禄高校さんには力強さがあった。
(1Qは小禄のペースだったことについて)相手(の選手起用)は3年生を中心にツープラトンで、力強く、安定していた。うちは1・2年生が多かったので、不安定な部分があった。目に見えない不安、メンタル面でいつも通りにはいかなかった。そこは高校生ですから。でも1Qの終盤、よく(持ち)返したなと思います。
(監督はベンチから選手へ『狙え』と言っていたが)スティールを狙う足がないと、それを見据えてチームを作っていますので。ただ勝てばいいというのではなく、全国で沖縄県の女子バスケットをどう飛躍させるかということを考えています。沖縄は全国では小柄なチームなので、その中で何ができるか。勝つチームは、勝ちパターンを持っている。今は『ここは入れるところ』という場面で入らない。こういうところを決めていかないと、全国では通用しない。
(3Qに得点が停滞する時間帯があったが)小禄高校さんは前から2-2-1プレスで来て、うちは2年生ガードなので組み立て、声掛け、つなぎができなかったんですよね。『視野を広く、お互いに確認しあいながら、ゆっくりでいいから運びなさい』と言ったら、落ち着いて、(周りが)見えてきて、前が空くようになって、スムーズにパスがつながるようになった。そのへんは子供たちの力です。
(積極的に得点を狙っていた#7知名選手について)1対1はあるんだけど、ガードとしてのゲームメイクが課題。バスケットはガードが試合をコントロールして、ゲームを支配するために監督の分身がコートにいないといけないが、まだ私との意思疎通ができていない。そこはあらためて、お互いにバスケットを勉強しながら、前に進んでいきたい。
今年、全国(インターハイ)がないのは残念で、ウインター(カップ)もあるかどうかわからなくて、3年生は悲しい思いをしているけど、モチベーションを上げてほしい。これはうちのチームだけじゃなくて、全国の高校3年生にがんばってもらいたい。」