写真・文:大井 聖路
豊見城 | 興南 | |
100 | - | 87 |
23 | – 1Q – | 16 |
24 | – 2Q – | 20 |
19 | – 3Q – | 23 |
16 | – 4Q – | 23 |
18 | – OT – | 5 |
豊見城は2年連続2回目の優勝。
ゲームレポート
県高校総体バスケットボール競技の男子決勝戦が7月24日、沖縄市体育館で行われた。決勝の顔合わせは、昨年11月の新人大会と今年1月の小橋川杯を制している興南と、いずれの大会も興南に敗れて2位に甘んじている豊見城の対戦となった。
豊見城は開始早々#7渡久地政睦のレイアップ、#14松田悠之介のジャンプシュート、さらに#4知念拓己の3ポイントシュートと各選手が持ち味を発揮し、開始2分で7対0のラン。その後もミドル~ロングレンジのシュートを小気味よく決めた豊見城が1Qを23対16とリードして終える。インサイドでは#10津田剛大が体を張り、2Q開始直後、興南のビッグマン#5宮城真斗のルーズボールファウルを誘い、宮城は3ファウルでベンチへ下がる。
後半に入っても豊見城の勢いは止まらない。3Q残り4分20秒、#10津田がゴール下のシュートを決めて63対45と点差が18に広がったところで興南タイムアウト。しかしここから、興南の怒涛の反撃が始まる。タイムアウト明け、#5宮城の3ポイントシュートが豊見城のファウルを誘い、バスケットカウントの4点プレーとなる。続くスローインで5秒オーバータイムを取り、興南が一気に流れを引き寄せた。
怒涛の追い上げを見せる興南は4Q残り3分39秒、右45度から3ポイントシュートを決め、遂に76対76の同点に追いつく。その後は両者一進一退の攻防が続き、試合は延長戦に突入する。
延長に入ると、後半やや消極的だった豊見城のエースガード#7渡久地が息を吹き返し、一気に試合を決めにかかった。チェンジオブペースやチェンジオブディレクションといった基本に忠実なテクニックでディフェンスを出し抜き、リングへの最短距離を駆け抜けて得点を量産。最終スコア100対87で熱戦に終止符を打った。
#7渡久地を1年次から辛抱強く試合で起用し続けてきた嘉陽宗紀監督は試合後、「うれしいです。高校生活の中ですごく成長したなと思います」と話し、教え子の成長に目を細めた。
試合後、嘉陽宗紀監督コメント
「バスケットをできる幸せ、感謝を感じながらのスタートでした。2ヶ月の休みの間、LINEで個々にトレーニングメニューや役割を与えてやりとりをしていました。休校期間中の頑張りが今の結果につながっているのかなと思います。ずっと(県大会で)勝てていないチームで、それを覆すのは簡単なことではないので、それをやり遂げたのは3年生の強い思いがあったのではないかなと思います。
(興南との決勝戦について)今までは1Qで大差をつけられてゲームが進んでいたので、前半イーブンか、もしくは5点差以内であれば後半チャンスが来るのではないかということで入ったので、前半は上出来で、彼らがやってきたバスケットができたんですけど、やっぱり相手もうちのエースに厳しくついてきて、後半は体力的な部分でも苦しいゲームになりました。
(引き気味に守ったことについて)体力的な部分で、うちは昨日(準決勝の美来工科戦)も接戦をしているので、オールコートで鼓舞したとして後半まで持つのだろうかという不安がありました。オフェンスでも、攻めるところと休ませるところにはメリハリをつけて、体力面には細心の注意を払いました。なぜかというと、練習が6月からしか始まっていませんし、この暑い中で走り込みをさせちゃうと大会でバテる可能性があったので、外(の走り込み)はさせていないんですよ。筋力トレーニングと、コートの中で走らせました。それでも例年に比べると体力は落ちているだろうというのはあったので、オールコートで守ることは練習ではしましたけど、本番では小さいエリアをしっかり守るということが、ゲームをこなしていく中でできるようになりました。
(高さのある興南に対して)2人、3人がかりで守ることができました。練習で、カバーからローテーションについて、今まではミスが出たプレーをそのままにしておきがちだったんですけど、いま誰が悪かったのか、いま何が悪かったということを明確にするようになりました。1年生の松田(悠之介)くんがそういうビジョンを持っているので、6月の練習開始から計画通りに階段を上がってきてくれました。松田くんは『やれる』とか、『できる』といった声掛けで練習を盛り上げます。また、『注意されたことを再度注意されないようにしよう』と先輩にも物おじせずに言える。これまでチームになかった自信と勇気を持ち込んできてくれました。
(決勝戦の攻撃に関しては)今大会、僕らは中・外のバリエーションと、3ポイントシュートがコンスタントに入って良いリズムでいました。ただ、苦しくなる時はインサイドにボールが入らなくて、良いリズムが止まってしまう。もう少しシンプルにインサイドプレーヤーを信頼できるようになったら安定して点を取れたんじゃないかなと思います。欲を言えば、今日の最後のところはイーブンじゃなくて、速攻を出さなくちゃいけないんですけど、『速攻を出せ』と言っているのに走り切れなかった。最後の4Qまで走り切るようにならないと、沖縄のチームは全国で勝てない。
(延長戦に入る前の指示は)我慢ですね。渡久地くんがボールをさわらない時間帯があったので、最後までボールを持ちきれ。彼のフィニッシュのパスでみんながシュートを打つ。そういうリーダー性、イニシアチブを持ってやってほしいと伝えました。でも、今のチームになってからそういう苦しい経験をしていないんですよね。ガードとして、エースとして、どういうことをしなくちゃいけないか。まだまだ足りないんですけど、すごく成長していると感じています。」