例年より早い決勝ラウンド
2020年12月19日(土)第87回天皇杯全日本バスケットボール選手権のファイナルラウンドの準決勝が国立代々木競技場第二体育館(東京都渋谷区)にて行われた。
例年、天皇杯、皇后杯は年明けにファイナルラウンドが行われるが、今年は皇后杯が12月、天皇杯が来年3月に決勝という日程になっている。
ENEOS vs デンソー
準決勝第一試合、現在開催中のWリーグで現時点(12/19時点)で東1位(ENEOS)とデンソー(西2位)の対戦。昨年の決勝カード。
この日の試合前、前々日の準々決勝の富士通戦で、ENEOS#10渡嘉敷が右膝前十字靱帯断裂が発表された。
ENEOSは#24梅沢も怪我で欠場しており、インサイドが薄くなってしまった。
ENEOS#32宮崎の3Pから試合が始まる。メンバーが変わっても、プレーに対する意識がチームとして徹底しているENEOSに対し、デンソーはどこか固く、残り7:08に#8高田が得点するまでの3分間無得点。1QだけでENEOS#32宮崎が3P2本、2P2本の10得点で20-14とENEOSリードで1Q終了。
差を広げられたくないデンソーだがENEOSにリバウンドを支配され、シュートも外れ加点できない。
残り7:04、シュートがこぼれてからリバウンドを取った#32宮崎が速攻でデンソーDFの隙間をついたレイアップを決めたところで10点差。
ENEOSはプレーにスピードがあり、判断と遂行がスムーズである。一方デンソーはボールを持った時の判断で少し止まる瞬間がある。42-30(22-16)で前半終了。
3Qに入り、デンソーも守備がよくなってきて、攻撃のリズムも出て6点差まで追いついてくる。
しかし残り2:47、ENEOS#32宮崎がこの日5本目の3Pを決められると、またリズムが狂ってきて64-49(22-19)と15点差になる。
勢いを止めないENEOSに対し、デンソーは4Qの早い時間でチームファールがかさむ。最後までエナジーを保ったENEOSが78-62(14-13)で勝利。
ENEOS#25宮崎が25得点(3P5本、2P4本)、DR10、アシスト11とチームを引っ張った。
#10渡嘉敷の不在に#29中村(9リバウンド)、#52宮澤(12リバウンド)が奮闘した。
日立ハイテク vs トヨタ自動車
準決勝第二試合、Wリーグで東3位(日立ハイテク)と西1位(トヨタ自動車)の試合。
昨年準決勝でENEOSに惨敗(48-82)した借りを返したいトヨタ自動車(以下トヨタ)と、今シーズンから内海HC体制となり、力をつけてきている日立ハイテク(以下日立)。
1Qはトヨタ#33ステファニーがリバウンドを支配。高さにまさるトヨタに日立#11谷村が勝負を挑んでいく。
守備から攻撃というトヨタの流れ。18-24でトヨタリード。
しかし日立も堅実に#2白鞘から#11谷村、#1星が得点して、じわじわと追い上げて、残り1:40の日立#1星の得点で35-35の同点に追いつく。35-37(17-13)で前半終了。
後半、トヨタは#0エブリンがこのQだけで6リバウンド、負けじと日立#11谷村も5リバウンド(うちDR4)と対抗するが、日立はこのQで10ファール。
トータルで、このQ終わりで、#9鈴木が4、#11谷村がファールが3つとなり、日立はついていくのがやっと。3Qは52-57(17-20)。
4Q 4点差の均衡を保ち、ゲームが進んで行く。激しい攻守の中、残り6:13で日立#9がファールアウトしてからは、トヨタがエナジーあふれるプレーで勢いをつける。残り4:16で日立が61-63と2点差に迫るが、トヨタ#2長岡の3Pなどで突き放す(長岡はこのQで9得点。)。
残り1分となり日立はファールで止めにいくが、追い上げ及ばず、残り0:05で試合に出ていなかったメンバーを出し、日立#2白鞘のシュートが外れて試合終了。67-78(15-21)でトヨタが決勝に進んだ。
ほぼ固定のメンバーで戦い通した日立に対し、メンバーを入れ替えて(ベンチ入りメンバーが全員出場)フレッシュのまま戦い抜いたトヨタがゲームを制した。
(筆者注、翌日20日に決勝が行われ、87-80でENEOSが8連覇を達成した)
チームを成長させるベテランの力
この日取材をしていて気になったのは、決勝に進んだ2チームのベンチからの声だった。中でもENEOSは#10渡嘉敷、トヨタは#24栗原が、常に声を出し、積極的にアドバイスを送っていた。
ベテランがアドバイスを伝えていくことで、若いメンバーにそれが経験としてインプットされる。強いチームは自然とそういう仕組みができているな。と感じた。