激動のシーズンを終えた琉球ゴールデンキングス、安永淳一GMが大事にする『キングスの文化』とは

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「皆で勝つ」のが『キングスの文化』

何度も何度も心を折られたシーズンでした。でも心を折られる度に、選手もスタッフもチーム全員が這い上がってくれた。あれだけ期待を受け、重圧がかかった中で結果が出せず、それでも何度も這い上がってくれた。本当にメンタルが強いチームでした。

その強さの根底は「なぜ僕らがこの仕事をしているのか」を桶谷ヘッドコーチはじめチーム全員がいつも言ってくれていたからです。「もし僕らが手を抜いたプレーをしてしまったら、見に来てくれるお客さんには僕らの良さは伝わらない。アリーナの最上階で見ているお客さんにも伝わるようなプレーをしよう」「僕らが頑張ることで皆に元気や勇気を与え、沖縄をもっと元気にする。皆で戦い、皆で勝ち、皆で悔しさを分かち合おう」

チームだけではなく、応援してくれるお客さんも一緒に苦しさを分かち合い、『それでも応援したい』と思ってもらい、そして勝利した時の喜びは言葉に表せないような素敵なものになる。その大事な根底を、選手たちも本当に理解してプレーしてくれています。それが僕らの強さに繋がっています。

 

 

──その厳しいチーム状況で戦い続け、そして西地区優勝を逃しても、誰も下を向かず、諦めなかった。そんなチームを見ていて、キングスが長年積み重ねてきた『文化』が本当の意味で根付いているという実感があったのでは?

その通りです。1人で孤立して戦ってしまったら苦しさに耐え切れずにギブアップしてしまうかもしれない。でも皆で戦い、皆で努力しているから諦めずにやれる。皆で励まし合うからこそ切れずに耐えきれると思うんですよね。選手もコーチも、一人ひとりが同じ気持ちになってSamePageで向き合うことで、苦しいシチュエーションも乗り越えることができたと思っています。

 

──昨季ヴィック・ローの新加入時にも安永GMは「ヴィックは凄いプレーを見せてくれるが、それ以上にチームを第一に考えるプレーヤーであり、キングスの文化にもマッチしてくれるはず」と話していましたが、選手を獲得する上でも『キングスの文化』に合致するかを重要視されているんですか?

選手はチームを形成する重要なパズルのピースで、それぞれに凸凹があります。正方形でもなければ長方形でもない。それぞれの凸凹がしっかり嚙み合わないと強固な形にならない。選手やスタッフ全員の凸凹がしっかり嚙み合ってきたら「皆で勝った」と思えるような良い勝ち方が出来る。得点をシェアしたとかプレータイムをシェアしたとかいう話ではなく「皆で勝った」という気持ちが全員に湧いてくる。それがキングスの戦い方です。

 

17年間のキングスの歴史で、得点王になった選手はいません。そしてBリーグ以降はシーズンベスト5に選ばれる選手もいません。地区優勝を6年連続、リーグ決勝は3年連続進出してもです。それくらいキングスは誰か一人に依存するチームではないのです。今チームを引っ張ってくれている選手は、間違いなく岸本隆一選手ですが、彼が試合で調子が出なかったらチームが負けるかと言えばそうではない。キングスは皆で戦い、皆で勝つからこそ、対戦相手からしたら、崩しにくい図太さを持ったチームだと思います。

 

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