気持ちが折れるような戦い方はしていない
試合後の記者会見、キングスの桶谷HCは大事なファイナル初戦を勝ち取った手応えを語った。
「結果も良かったし、内容も選手たちがゲームプラン通り、しっかり千葉のトランジションと3ポイントを抑えてくれた。オフェンスでボールムーブが止まるシーンもあったが、ファイナルは潰し合いなので、その中でも find way、よりベターなオフェンスを選びながらプレイしたところが良かった」
ダブルオーバータイムの激戦を制した要因に、チーム全員で戦うキングスのスタイルがあったのは間違いない。
1年を通して積み上げてきたチームのスタイルが、1年で一番大事な試合で結果に結びついたことに、指揮官は胸を張った。
「ダブルオーバータイムになるとは思ってはいなかったが、レギュラーシーズン通してメンバー全員で productivity(生産性)の高いバスケットボールをすることを心がけてやってきたので、(今日の試合)タイムシェアをわざとやっているというより、本当にチーム一丸となって戦うという意味で普段通りやろう、というところが今日の試合に出たかなと思っています」
このGAME1、キングスは出場した11人中10人が得点を記録。最終的なベンチポイントは45得点。桶谷HCは、チーム総得点の約半分を占めたセカンドユニットの働きをたたえた。
「チームで戦うというところは、ベンチポイントが物語っている。僕たちの強さはここだと思ってます。誰が出ても点数が取れるのが自分たちの強さ。今日はよくやってくれたと思います」
記者会見には、勝利の立役者である今村も登場した。
GAME1の今村の最終スタッツは、14得点、5リバウンド、5アシスト。3クォーターまでは3得点にとどまっていた。4クォーターも残り15秒 74-76の場面で得たフリースローを1本外してしまった。
今村はそのことについて問われると、こう語った。
「本当に今日は何回も情けないプレーをしてしまって、フリースローの部分もそうですし、普段だったらしっかりと決めきらなきゃいけない部分で外してしまったり、全然乗れなかったシチュエーションが多かったんですが、そこで(気持ちが)折れるようなシーズンの戦い方もしてないですし、自分が誰よりもやってきたし、積み重ねてこれたものに自信はあったので、そこで折れることなくプレイできたかなと思います」
今村はその言葉の通り、エースとして、”go-to guy”として、力強く諦めずにチームを牽引した。4クォーター残り9:28にコートに出ると、ダブルオーバータイム終了まで約20分間コートに立ち続けた。
「やっぱり任せてもらっている責任というものがあるので、自分がそれで止めてしまったら、今までの選手の信頼だったりが何になってしまうんだろうと僕には感じたので、その部分をしっかりとプレイで返すことが自分がやってきたことだと思ったので、そういう心境で臨みました」
絶対に折れない。絶対に諦めない。今村の優しくて力強い言葉には『自分がチームを勝利に導く』という強い意志を感じさせた。
戦前予想では圧倒的不利と予想されていた琉球ゴールデンキングス。
そんな状況の中、大事なGAME1を勝利したことは多くの人々にサプライズと映ったかもしれない。しかし、桶谷HCはその先を見据えていた。
「ひとつ勝てた事はすごく重要で、だからこそこのゲームに賭けてきて、このゲームを取れたのはいいんですけど、ただ誰も満足していない。自分たちの獲りたいものはまだまだこの先にあるので、明日もタフゲームになると思うんですけど、明日獲って初めて自分たちがやりたいことが達成できる」
「選手らが一番それを分かっている。このチームは一番分かってると思っているので、明日また彼らがいいゲームをしてくれると思っています」
キングスが頂点を掴むために必要な勝利は、あと1勝。