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Bプレミアのサラリーキャップは8億円 Bリーグが「B.革新」の制度設計を発表

(資料提供:B.LEAGUE)

2月28日、Bリーグは2026-27シーズンからスタートする「B.革新」に関わる制度設計詳細について発表した。

「B.革新」とは、B. PREMIER(以下 Bプレミア)、B.ONE、B.NEXTと3つの階層にクラブを再編成して、単年競技成績による昇降格を廃止して、新たなライセンス基準を満たす事でクラブ数上限を設ける事無くBプレミアを編成するという、リーグ構造の大改革を実施することになる。

 

今回発表されたのは、主にBプレミアにおける以下6つの制度設計について

サラリーキャップ
オンザコート
選手流動性
ドラフト
カーディング
ポストシーズン

本記事では、それぞれの制度設計についての島田慎二Bリーグチェアマンの説明を、Bリーグ提供の資料と合わせて紹介する。またその後に行われたメディアとの質疑応答も、島田チェアマンならびにBリーグ常任理事の増田匡彦氏の回答を掲載する。

島田チェアマンの説明や、質疑応答についての各回答は出来る限り実際の回答と同じように掲載する。また質疑応答については各トピックごとに掲載しているが、実際にはそれぞれのメディアごとの質問順であり、実際の回答順とは異なる。

 

 

サラリーキャップ

 

島田チェアマンによる説明

Bプレミアはサラリーキャップの上限が8億円、下限が5億円と決めました。そしてB.ONEは本ライセンス・仮ライセンスがありますが、本ライセンス上限4億円、下限1.5円、仮ライセンス上限4億円、下限1億円と決定しました。為替をどうするかなど細かい部分はこれから調整が必要なんですが、税込金額で考えています。

サラリーキャップに(報酬種類の)どこまで加えるかも議論の最中です。外国籍選手の海外と日本との渡航費なども含めるのか等を現在調整してますが、LivingCost(居住費)なども含めて入れられるものは入れていこうというのが方向感ですが、そこはまた別で公開していきたいなと思います。

もう1つ、スター選手条項というものを設定しました。選手の中で1人だけ、例えば3億円プレイヤーであっても1.5億円としてカウント出来ます。将来、海外にチャレンジしてる選手が5億円で日本に戻ってきたとしても1.5億円とカウントして、サラリーキャップの8億円の中に含まれます。事業力が高まりスーパースターを取れるようなクラブが出てきた時に、その動きを止める事が無いように、こういう制度を作っています。経営規律と夢のバランスをどうやって整えていくべきかと考えた結果、ラグジュアリータックス(贅沢税)など色々考えたんですけど、このスター選手特別条項という方法を選択しました。

 

 


質疑応答

Q スター選手条項の金額を1.5億円に設定した理由は?現状の契約でこれくらいの金額の契約選手は存在するのか?

A.(島田C) 金額設定1.5億円の明確な根拠があるわけでは無いが、現時点で1億円プレーヤーは日本人・外国籍選手含めて数多く発生しているし、1.5億円クラスの契約選手も徐々に出始めていて、さらに高騰していく流れもある。サラリーキャップの8億円のうち(スター選手条項で)1.5億円を使っても、残りのキャップ枠内で選手構成が出来るだろうという金額のバランスを取った。

 

 

Q. 直近の決算報告において「トップチーム人件費」が8億円を超えているクラブが5クラブ存在する。「トップチーム人件費」が選手年俸のみを示す数字ではない事も理解しているが、そういったクラブにとってサラリーキャップ金額が8億円というのはチーム編成上の影響が大きいと思うが?

A.(島田C) 仰るとおり現決算報告の「トップチーム人件費」は選手総年俸にコーチ・スタッフ人件費等も含む金額であるが、サラリーキャップの対象は「選手総年俸」である。現在のトップオブトップのクラブの選手総年俸と比較しても、8億円という金額はそれ(現トップクラスの総年俸)を許容出来るレベルだとは思っている。今後事業規模が上がっていく中で、サラリーキャップはコントロールしていこうと思っている。金額を上げていく事もそうだし、コロナ禍のような本当に厳しい状況では下げていく事も場合によってはあるかもしれない。まずは現時点のトップオブトップの金額水準に合わせて、選手が不利益を被らない状況を作りたかった。

また戦力均衡の観点から、もし影響のあるクラブがあったとしても、一部のクラブに集中している有力な選手が、サラリーキャップの影響で他クラブに移りエース級の選手になる事で、全体の戦力バランスが取られていくと考えている。選手の不利益をできる限りリスクヘッジしつつ、人気選手が各クラブに分散することで、試合を観たくなる状況を作り出したい意図もある。「トップクラブの選手人件費が今と変わらないのでは夢が無い」と思われるかもしれないが、キャップ下限額のフロアを5億円に設定する事で、リーグ全体の選手人件費は大幅にアップする。現時点でも選手人件費が5億円に届かないクラブは半数はあるのではないか。キャップ下限を設定することで、どのクラブにも有力な選手を獲得する可能性が生まれるし、逆にそれが出来なければそのクラブはBプレミアには残れないという事にもなる。様々な観点があるが、そこはバランスが取れていると思っている。

 

 

Q. サラリーキャップの8億円という金額は、現状と比べても少し夢が無いように感じる。今後上げていく考えはあるのか?

A.(島田C) このB革新の目玉は「しっかりと事業投資をする事で、クラブの経営を健全性かつ成長性を担保していく」事です。それによって地域で必要不可欠なクラブになっていければサスティナブルに存続していけるクラブになれる。今必要なのは、クラブのフロントサイド、広報やセールス、チケットなどのビジネス人材がクラブにどんどん入ってこれる状況を作る事が、次なるBリーグの成長の大きなエンジンだと信じて疑っていない。そこに投資出来る状況を作っていくのは、今のルールでは難しい。なのでB革新で改革していく。8億円が安いか高いかではなく、このくらいの金額に設定してスタートする事で、ビジネスサイドにようやく投資が出来るクラブがこれから出てくる。そしてクラブスタッフにも投資出来る状況までいければ、サラリーキャップの金額を上昇させていくターニングポイントだと思っている。単純にクラブの売上が上がったから、とかだけではなく、実体経済を見ていかなければいけないと思っている。クラブが選手獲得のマネーゲームだけに走るのではなく、長い目でクラブに投資が出来る状況を作れるか否かが大事。売上の中身を見てみると親会社が相当数サポートしないとクラブが回らない。もしくは地域で評価をされて価値を見出して成長しているか。その2軸があると思っている。Bリーグは後者の方で、本当に価値を作り出し、本当に応援してもらって、ビジネスを成功させて、健全な経営をしているクラブは優良な資産であると親会社の株主から評価して頂けるような、産業化しているBリーグを作りたいと思っている。Bリーグ発足以来、選手の報酬はすごく成長した。ここでビジネスとして成功すれば、もう一度選手に循環するようなポジティブなスパイラルを回していく。最初は選手、次はビジネス、そしてまた選手に。このサイクルが無ければどこかで破綻する。それを調整するためにベストな金額はどこかと考えて8億円という金額にしている。今の上昇機運を見て夢が無いと考えるより、もっと深い部分を見て設定しているという事をメディアの皆様にもご理解頂ければと思います。

 

 

Q. サラリーキャップなどの負担増で、クラブが自発的にBプレミアから降格したいと考えた時、すんなりB.ONEに降りられるのか?

A.(増田氏) そういった議論はしていないし、基本的にBプレミアのカーディングは2シーズン前に設計してアリーナの予約をする。大きなアリーナになればBリーグ以外にも音楽ライブの予約も入ってくる。例えば2025-26シーズンのカーディングは2024年8月に設計する。そういう状況で「来年Bプレミアを辞めます」と言われてもカーディングを組んでしまっていて全体のスケジュール管理がある。破綻寸前とかクラブの経営状況を見ながら判断するしかないと思う。

 

 

Q. サラリーキャップ金額を決定する際にどういう議論があったのか?

A.(増田氏) けっこう喧喧諤々と議論を重ねた。下限の5億円(の設定)については、我々としてはクラブ予算の約35~40%くらいが選手人件費になっていれば健全経営が出来るという経験値を持っている。Bプレミア加入条件の売上高12億円を念頭に、そこから逆算して5億円が妥当だろうと決めている。上限の8億円(の設定)については「もっと上げるべき」という議論もあったが、2022-23、2023-24シーズンのほぼ全てのクラブの選手報酬を計算した。正直8億円を超えるクラブもあれば、5億円を下回るクラブも多くあった。そんな中で選手が不利益を被らないようにスター選手条項を設定したり、現状で年俸総額5億円を下回るクラブが5億円に到達する事で、全体の選手年俸が一気に下がる事が無いだろうと判断して8億円に設定した。あとは8億円から5億円の幅の中で、(Bプレミア各クラブの総年俸額が)7億円が平均値だと仮定した場合、2022-23、2023-24シーズンのB1総人件費(の平均値)とそこまで相違無いということも調べた中で、(上限)8億円が妥当だと考えました。

 

 

Q. サラリーキャップの見直し時期についてはどういう方針なのか?

A.(増田氏) 毎年見ていくべきだとは思うが、クラブの経営が(B革新初年度の)2026-27シーズンを経てどれだけのものになるのか、今は正直まったく見えない。我々はクラブ経営の健全化を最優先にすると謳っているので、それが見えない以上は2027-28シーズンからいきなり変えますとは言い切れない。ただ、オーナー会社から多額の支援金を貰うような、(クラブ経営の)筋肉になっていないお金をただ入れただけでサラリーキャップを上げていくのは健全ではないと思う。チケット収入や、地場に根付いたスポンサー様からの協賛金。お金には色は無いが、しっかり「色」を付けて見ていく必要がある。そこをどういうスパンで見ていくべきかは議論している。

 

 

Q. サラリーキャップの金額設定について選手会との折衝はあったのか?もし無ければそれを行う予定はあるか?

A.(増田氏) 現状の選手会は労働組合ではないので、労使交渉が出来る対象団体ではない。なので交渉ではなく「反映できるかどうか保証は出来ないけど」という前置きの上で設定金額を伝え、かなりの頻度で選手会との意見交換、コミュニケーションは取っている。本日発表する前にも当然選手会には内容をお話ししている。選手個々人は分からないが、選手会という団体として何らかの強い意見が出てくる事は無いのではないかと認識している。

 

 

Q. NBAではサラリーキャップ金額を設定する際には、選手会とオーナー会が労使交渉の上でそれぞれの取り分を決める過程でサラリーキャップ金額が決定される。将来的にはBリーグもそのような未来線になると考えているか?

A.(増田氏) 現選手会がどのような労使交渉をしてくるか、そもそもの労働組合化がどういう組織になっていくか全く分からない状況なので何とも言えないが、個人的にはちゃんと契約書を交わしてやっていく方がすごく透明性も高くなるので、選手会が労使交渉の対象になればぜひそういう話し合いをしたいと思う。

 

 

Q. リーグ分配金に関して今後増額したり、ホームタウンの経済規模が小さいクラブに多く分配するような考えはあるか?

A.(増田氏) リーグ分配金に関しては毎年どういう分配にするかを話し合っているのでその中で決定する。ホームタウンの経済規模が小さいクラブへ多く分配することは今のところ考えていない。

 

 

Q. サラリーキャップを運営していく上で、現状非公開となっている選手年俸を公表していくことはあるのか?

A.(増田氏) あると思う。サラリーキャップをやっていく以上「このクラブにはこの選手がいるのに、あの選手も獲れるの?」とかはファンの方々ももちろん興味あると思うので公表はしていきたい。だけどこれ(選手それぞれの年俸)は、選手の個人情報では無いかもしれないがセンシティブな情報なので注意深くやっていく。ただ透明性は高くしないとサラリーキャップ自体が上手くワークしないんじゃないかと考えている。どういう形で情報を出すのか。リーグとかクラブがオフィシャルで出すのか。プロ野球のような推定年俸で出すのか。そこは選手会も含めて話していかなければいけない。

 

 

Q. もしサラリーキャップ上限のチームに怪我人が続出して、インジュアリーリストに怪我人を登録して選手獲得枠を空けてもキャップ制限で選手獲得が出来ない場合はどうするのか?

A.(増田氏) その検討はすでに行なっていて、インジュアリーリスト登録後の代替選手の報酬上限や、8億円を超えた場合のラグジュアリータックスの検討はしています。ただ細かすぎるので今回の発表資料には掲載していませんが、おおよその方針は出来ているのでタイミングを見て発表していきます。

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