100点ゲームに興味は無い 〜第21節 キングスvs広島ドラゴンフライズ戦

笑顔の無い記者会見

試合後のキングス藤田HCはこう言い放った。

100点取ったのは良い事ですけど、そんなに気にもしていないですし、悪く言えばどうでもいいと思ってます」

30点差の100点ゲームで快勝したチームのHCとは思えない程、笑顔の無い記者会見。

「3Qのディフェンスはインテンシティ高くよかったが、3Q以外はインテンシティが落ちて遂行力も下がっていた。3Qのようなハードなディフェンスを試合の最初から出来るようになっていかないと」

 

試合の最終スコアは100−70でキングスの快勝。

しかし、前半終了時のスコアは、キングス 45−37 広島 と僅差。

広島の3Pは3/6で50.0% 2Pは13/20で何と65.0% 、前半キングスのディフェンスが機能していなかったのは明らかだった。

そこで私は、試合終了後にビデオで1、2Qのキングスの失点シーンを再確認してみた。

ディフェンスの原理原則を守れているのか

[1Q 5:13]
アーリーオフェンスから広島#2朝山にウイークサイドから抜かれレイアップを許す。本来のマークマンである並里はエチェニケの早い上がりをカバーした事で朝山のピックアップが遅れた事を狙われる。

このプレイの直前、キングスは広島にスティールされてターンオーバー。切り替えが遅れてエチェニケに走られた事がディフェンス陣形が崩れる要因。

[1Q 4:23]
エバンスが広島#1ケネディに1on1でウイークサイドを抜かれバスケットカウント。

[1Q 1:19]
キングスはオールコートマンツーマンで当たるもキムティリがハーフライン上の中途半端な位置におり、ロングパスでコーナーにいた広島#34佐⼟原へパスを通されレイアップにティリがシュートファウルを犯す。

[1Q 0:40]
PnRからエチェニケのダイブにクーリーがバンプせずそのままパスを通されて簡単にレイアップ。

[2Q 5:04]
広島のダウンスクリーン2枚に対して岸本が広島#21田渡に置いていかれる状況が発生。スイッチが中途半端になり広島#24田中のノーマーク3Pを許す。

[2Q 4:30]
広島のスティールからターンオーバー。直後のディフェンスで岸本が#5マーフィーへギャンブル気味にボールプレッシャー。ゴールラインが開いてしまいマーフィーにノーマークでレイアップを許す。

[2Q 3:54]
広島の中途半端なポジショニングのボールスクリーンの対応で船生がアンダーを選択。田渡にノーマークで3Pを許す。

[2Q 3:20]
コーナーにいるマーフィーに対し田代がディナイ。その瞬間マーフィーがバッククドアカットでノーマークになりレイアップ。

 

キングスは前半の失点ほとんどをノーマークシチュエーションで広島にシュートを許していた。

ディフェンスの基本は相手に難しいシュートを打たせる事。それが原理原則。藤田HCはそれが出来ていないチームに喝を入れたかったのだ。

泥臭いドヤ顔キャプテン ⽥代 直希

チームのスイッチを入れ直したのは、キャプテン⽥代 直希。

2Q終盤、トップからゴールへ切り込むマーフィーへのパスを田代は身体を投げ出してパスカット。

3Q 7:48 にはエンドラインを割りそうなルーズボールへダイブしてマイボールにすると、直後に3Pを決めてみせた。

身体を張ったキャプテンのプレイに呼応して、キングスは3Qインテンシティ高くディフェンスを続け、この3Qのスコアを36−12として試合を決めた。

 

記者会見で藤田HCは田代キャプテンをこう評した。

「キングスはまずディフェンスからスタートするという意思統一をしている中、キャプテンが身体を張ってメッセージを伝えてくれてチームが乗ることが出来た。いいプレイだったと思う」

 

ちょうどその時、記者会見場の横を通り過ぎた田代。

HCの自分に対する評価を立ち聞きすると、満足げなドヤ顔で帰っていった。

 

泥臭いドヤ顔キャプテンに引っ張られて6連勝で西地区首位を守ったキングスは、試練の後半戦のこり25試合を戦っていく。

 

 

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この記事を書いた人

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