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第20節 キングス版デス・ラインナップで大阪に47点差の快勝

(文:湧川太陽、写真:照屋勇人)

2月2日(水)、B1リーグ第20節。琉球ゴールデンキングスは、ホームで大阪エヴェッサと今季初対戦。

キングスは、この試合までBリーグ球団記録の14連勝中。大阪のエースで現在得点ランキングTOPの#25 ディージェイ・ニュービルをどう守るかが焦点だった。

 

試合は、第1クォーターから26-10とスタートダッシュに成功したキングスが、最終スコア 96-49と47点差をつけて快勝。球団記録を更新する15連勝を達成した。

この試合では、外国籍ガードであるニュービルへの厳しいディフェンスはもちろんの事、『キングス版デス・ラインナップ』とも呼べるスモールラインナップの爆発力を見せつけた。本記事では、キングス好調の要因でもあるこの2点を深堀りしたい。

 

外国籍ガードへのキングスディンフェンス

キングスのスターティング5は、#3 並里 成、#7 アレン・ダーラム、#30 今村 佳太、#45 ジャック・クーリー、#88 牧 隼利。

大阪のスターティング5は、#3 エリエット・ドンリー、#10 デイビッド・ドブラス、#20 合田 怜、#25 ディージェイ・ニュービル、#33 アイラ・ブラウン。

 

試合開始直後、ニュービルには牧がマッチアップ。だが牧は第1クォーター残り6分39秒までに2つのファウルを犯してしまう。

しかし層の厚いキングスの日本人バックコート陣。牧に代わり今村がニュービルにマッチアップ。さらにはベンチから出場したコー・フリッピンも、ニュービルを執拗にマークして自由にプレイさせない。

 

ディフェンス開始時にはニュービルに簡単にボールを持たせないディフェンスポジショニング。そしてニュービルがボールを持つと、彼の得意とする右方向へのドライブを遮断、徹底して左方向へ仕向けてチームディフェンスの網に誘い込んだ。

結果、得点ランキングTOPのニュービルを今季最低得点タイの5得点に抑え込んだ。

 

現在のBリーグには得点力のある外国籍ガードを擁するチームが増えたが、キングスはその外国籍ガードを層の厚い日本人バックコート陣で押さえ込んでいる。外国籍ガードの外からの突破を許さない事が、チームディフェンスの安定を生んでいる。

 

 

 

キングス版デス・ラインナップの爆発力

キングスの大黒柱は2シーズン連続でリバウンド王のジャック・クーリー。強力なリバウンド力を武器にセカンドチャンスからの得点を量産。キングスの1試合平均リバウンド数はリーグ1位だ。

 

そして、キングスはもう一つの武器を手に入れつつある。198cmのアレン・ダーラム、201cmのドウェイン・エバンスをインサイドに置いて戦うスモールラインナップ。いわば『キングス版デス・ラインナップ』だ。

 

NBAのゴールデンステイト・ウォリアーズを優勝に導いた、機動力を生かしたディフェンスからのファストブレイクで一気に相手の息の根を止める『デス(Death)・ラインナップ』

『キングス版デス・ラインナップ』も、ダーラムとエバンスの機動力を武器にディフェンスからの早い切り替えでゴールを奪う。

 

ここで注目したいのが、ダーラムとエバンスが確実にディフェンスリバウンドを獲得、リバウンダーである彼ら自身がボールを直接フロントコートに運ぶ点だ。

ガード陣がボール運びを行わないキングスのデス・ラインナップは、ディフェンスリバウンド獲得と同時にガード陣がフロントコートにダッシュして速攻時の数的優位を作り出す。

第3クォーターの残り4分14秒、3分46秒の場面はその象徴的な場面だ。

ダーラムとエバンスは2人とも身長2m前後で、外国籍インサイドとしてはBリーグでも小さいサイズだ。だが彼らの過小評価されているリバウンド力、そしてボールプッシュできるハンドリング能力があるからこそ、キングスのデス・ラインナップは爆発力あるファストブレイクを展開できている。

 

また、このデス・ラインナップはコー・フリッピンの持ち味であるアスレティック能力も最大限に活かす面もある。

今季はポイントガードも担当するフリッピンだが、ゲームコントロール面ではスタメンガードである並里に分がある。

しかし彼をポイントガードとしてディフェンス時にハーフラインに近い位置に配置する事で、逆に速攻時には相手ゴールに最も近い場所からスタートさせる事が出来る。

この試合でも、ニュービルのオフェンス終了時のポジショニングの悪さも相まって、フリッピンがファストブレイクの先頭を走る場面が何度も見られた。

 

貴重なゲームコントロール役であるキャプテン田代を怪我で失ったキングスだが、フリッピンに田代の代役をさせるのではなく、デス・ラインナップによって彼のアスレティック能力をチームに上手く組み込んでいる。

 

小野寺、満原のハードワークこそが自己犠牲を体現している

この試合は、キングスのベンチ入り全選手が得点。小野寺は今季自己最多の12得点、満原も3ポイントや絶妙なアシストでチームの勝利に貢献した。

試合後の記者会見でも、キングス桶谷HCは彼らの活躍を称賛した。

「小野寺、満原は他チームに所属していればもっとプレイタイムを得られる選手。そんな選手達がキングスの『汗かき役』になってくれて、練習でハッスルして、試合で十分なプレイタイムが得られなくても腐らずに自分達の役割を全うしてくれている。本当に彼らこそが自己犠牲を払ってくれる選手です。」

「普段プレイタイムが少ないベンチメンバーが試合に出て活躍する事で、チーム内の競争意識が増えて、それがチームの強さに繋がっていきます。」

 

 

シーホース三河が2017−18シーズンに記録した、B1リーグ連勝記録の17連勝をも視界にとらえたキングス。今シーズンの特徴でもある選手層の厚みを、チームの強さに昇華しつつある。どこまで連勝記録が伸びるか注目だ。

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