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キングスは『スリービッグ』の魅力に抗えるのか

キングスの『スリービッグ』戦術といえば、2021-22シーズンの小寺 ハミルトンゲイリー(現 B2越谷)が思い出される。小寺は206cmの巨体に似合わないパス回しやコートビジョンの広さを持っており、小寺をセンターにして、アレン・ダーラムやドウェイン・エバンス(現 B1広島)を同時にコートに立たせる『スリービッグ』は、キングスに一気に流れを持ってくる切り札的戦術として使われていた。

 

ただ、小寺はそのシーズン56試合出場のうち先発出場はわずか3試合。その3試合もジャック・クーリーやアレン・ダーラムが欠場した試合であり、『スリービッグ』で試合冒頭から押し切るための起用ではなかった。推測ではあるが、小寺の『スリービッグ』起用はシーズン当初からメインプランとして持っていた戦術ではなく、当時機体のルーキーだった渡邉飛勇がシーズン前の怪我により全休した影響によるプランBだったと思われる。

もっと時間を遡ると、キングス初の帰化選手は2017-18シーズンから2018-19シーズンまで所属したアイラ・ブラウン(現 B1千葉J)だったが、ブラウン所属時にも『スリービッグ』戦術を採用することは稀だった。当時のヘッドコーチは桶谷ではなく佐々宜央(現 B1宇都宮HC)だったが、キングスは帰化選手を中心とした『スリービッグ』をチームの中心に据えたことの無いチームだ。

 

 

しかし、今回は少し事情が違うかもしれない。アレックス・カークはアルバルク東京がB1連覇した当時の主力センターであり、ヘルニアを患い以前のような破壊力が衰えたとはいえ今もリーグ有数のビッグセンターだ。さらに今季のキングスには、ヴィック・ローがいる。ローは201cmの身体能力の高いウイングプレーヤーであり、昨季所属した千葉Jがリーグ過去最高勝率を達成する立役者だったと言えるほどのインパクトを残した。

今季のキングスは、ローの個人能力を最大限活用しているとは言い難い現状がある。昨季の千葉Jでは、帰化選手のギャビン・エドワーズ(現 B1宇都宮)がいて、ローとエドワーズを同時にコートに立たせる事で、ローのインサイドでの負担を軽くして、彼の得意なウイングポジションでプレーさせていた。

 

昨季の千葉Jがリーグ最高勝率を達成したからといって、ローを『スリービッグ』で使うことが正解とは断言できない。キングスは個々の能力に頼る事なく、オフェンスもディフェンスもチーム全員で戦う『ポジションレスバスケ』を信条としてる。だが、もしカークを帰化選手として起用しても思うように白星を重ねられない場合、ローの圧倒的な個人能力という"魅力"に取り憑かれないとも限らない。アレックス・カークというチーム史上最も強力な帰化選手を手にしたキングスは、残り半分を切った2023-24シーズンをどう戦っていくのか。興味は尽きない。

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