当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

松脇が活躍するもキングス敗れる 川崎ブレイブサンダースvs琉球ゴールデンキングスGAME2

(文:湧川太陽、写真:Tomohiko Sato)

 

2023年1月22日(日)、川崎ブレイブサンダースvs琉球ゴールデンキングスGAME2が川崎市とどろきアリーナで開催された。

前日のGAME1、キングスは岸本の劇的3ポイントシュートでオーバータイムの末に逆転勝利。中地区首位だった川崎はその敗戦により中地区2位に後退。

キングスにとってはチームでつかんだ価値ある勝利となったが、その差は紙一重だった。ホームで連敗できない川崎はその紙一重を修正してくるはず。キングスはそれを打ち破ってアウェイ2連勝なるか。

 

紙一重を修正してくる川崎ブレイブサンダース

キングスのスターティングメンバーは、#1 ジョシュ・ダンカン、#14 岸本 隆一、#30 今村 佳太、#34 小野寺 祥太、#45 ジャック・クーリー。

川崎のスターティングメンバーは、#0 藤井 祐眞、#2 マイケル・ヤングジュニア、#22 ニック・ファジーカス、#33 長谷川 技、#35 ジョーダン・ヒース。

 

川崎は外国籍スタメンを変更。シュータータイプの#23 マット・ジャニングから、206cmでオールラウンダータイプのマイケル・ヤングジュニアに入れ替えてきた。

マイケル・ヤングジュニアをローポストに立たせて、マッチアップするキングスの日本人選手との高さのミスマッチを作り、そこからキングスディフェンスを崩す作戦だ。

 

川崎の作戦はいきなり成功。マイケル・ヤングジュニアにキングスのディフェンスが集中すると、右コーナーに待機していた長谷川にキックアウトパス。長谷川の3ポイントシュートが決まり川崎が先制。

しかし、キングスも岸本が左45度から軽快に3ポイントを決め返す。

 

そして川崎は、ディフェンスでもGAME1からの修正を見せる。

川崎はフットワークの重いファジーカスの弱点を隠すために、試合を通してゾーンディフェンスを敷いてくる。しかしGAME1ではキングスにそのファジーカスを狙われ、川崎のゾーンをファジーカスが位置する場所(2-3ゾーンの後方)から揺さぶられてしまい、ゾーンの陣形が崩れたところを逆サイドからの3ポイントを多く決められてしまった。

このGAME2で川崎はゾーンの陣形に微調整をかける。キングスがオフェンスを開始した瞬間は2-3ゾーンの陣形だが、ファジーカスがいる位置にボールが落ちると、ボールに向かって3-2ゾーンの陣形にチェンジ。ファジーカスのフットワークの弱点を、ファジーカスが担当する守備エリアを狭めて全員でカバーしてきた。

 

川崎の修正力により試合序盤のペースを握られたキングスは、1クォーター残り6:26 小野寺に代えて#15 松脇 圭志を投入。マイケル・ヤングジュニアのパワーに対抗できる松脇を早めに投入して、ディフェンスの崩壊を防ぐ作戦だ。

さらにキングスはベンチから出てきた#88 牧 隼利、#7 アレン・ダーラムが連続3ポイント成功。そしてダンカンも3ポイントを決めて14-16と逆転。1クォーター終了時のスコアは16-20とキングスが4点リード。

 

松脇の3ポイントでキングスリードで折り返す

2クォーターは#15 松脇 圭志が活躍する。残り9:14に左45度から3ポイント成功。一旦ベンチに戻るも残り5:08にはコートに戻り、残り3:40、2:28と連続で3ポイントを決める。

 

松脇自身がこの試合後に「最近はコーナーの(3ポイントシュート)タッチが良かった」と語ったように、2023年に入ってから3ポイントの確率は40%を超えていた。チームで作ったキャッチ&シュートが好調で、この日の2クォーターで決めた3ポイント3本も全てチームメイトからパスを受けたキャッチ&シュートだった。

チームで作り上げた形で決めた松脇の3ポイントシュートに、キングスベンチも盛り上がる。

 

さらに残り2:49、今村の豪快なブロックが炸裂。2クォーター終了時のスコアは30-34とキングス4点リードと、試合の主導権はキングスが握っているように見えた。

 

ゾーンの"KEY"をめぐる攻防

3クォーターは川崎が先手を取る。残り9:47、川崎は長谷川の左コーナー3ポイントが成功。マイケル・ヤングジュニアからのパスアウトで3ポイントは、1クォーター冒頭と全く同じシチュエーションだ。

次のプレイで、キングスは川崎にオフェンスリバウンドを連続して奪われる。リバウンドはキングスの生命線。嫌な流れが漂い始める。

キングスはオフェンスでも悪いリズムになる。川崎のゾーンに対してボールを中に入れることが出来ず、良い形でシュートを打ちきれない。悪いリズムの要因は『トップ・オブ・ザ・キー』の使い方にあった。

 

ペイントエリアとフリースローサークルを鍵穴に見立て、フリースローサークルの半円部分を『トップ・オブ・ザ・キー』と呼ぶ。ゾーンディフェンスはこのトップ・オブ・ザ・キーにボールを入れて、ゾーンの陣形を収縮させる事でオフェンスが有利に展開する。GAME1そしてこの日の前半も、キングスはトップ・オブ・ザ・キーから外へパスアウトして3ポイントで仕留めていた。

しかし3クォーターは、川崎のゾーンがより3−2ゾーン気味にポジションを修正。トップ・オブ・ザ・キーに陣取るダンカンにボールを簡単に入れさせず、キングスのボール回しが停滞してリズムが悪くなっていった。

 

残り6:20、川崎は長谷川がこの日3本目の3ポイントを決めて41-36、逆に5点差に突き放す。キングスは今村、松脇らが3ポイントを決めるものの、3クォーターはそのまま川崎のペースで進む。

キングスは、ゾーンの"KEY"をめぐる攻防で攻撃のリズムを失ってしまい、3クォーターのスコアを24-14と川崎に10点多く許し、3クォーター終了時スコア54-48と6点リードを奪われてしまう。

 

鎌田、長谷川ら『伏兵』の活躍により川崎が勝利

4クォーター冒頭、悪い流れを断ち切るためにキャプテン田代が奮闘する。残り9:40、細かいフェイクを入れつつインサイドに侵入、自らシュートを放ちバスケットカウントワンスローを獲得。

さらに直後、オールコート2−2−1プレスからトラップを仕掛けて#7 篠山 竜青のトラベリングを誘う。

 

キングスは#88 牧 隼利のフローターショットが決まり54-53と1点差に迫るも、直後に川崎の#18 鎌田 裕也にこの日2本目となる3ポイントを決められて、なかなか良い流れに乗ることが出来ない。

鎌田は大事な4クォーターに6分間コートに立ち続け、キングスの強力なインサイドに身体を張り続けた。試合後に川崎の佐藤HCも「今日の陰のMVPは鎌田」と話したように重要な働きをした。

 

チームを陰ながら支える選手の奮闘に、川崎は#23 マット・ジャニング、ファジーカスらが得点を重ねて、残り4:33には66-57と8点リードまで点差を拡げる。

 

そして4クォーター残り2:39、マイケル・ヤングジュニアがダブルチームを引き寄せてパスアウトすると、左コーナーからまたしても長谷川が価値ある3ポイントを決める。

 

普段は寡黙は長谷川が珍しくガッツポーズを見せた会心の一撃に、川崎ベンチも全員が立ち上がって喜ぶ。

 

強力な帰化選手であるファジーカス、外国籍2人を同時にコートに立たせる『3ビッグ』を多用する川崎だが、それだけで勝利し続けることは難しい。長谷川や鎌田のような陰ながら支える選手、いわゆる『伏兵』が大事な場面でもしっかりと活躍することが大事になる。

試合後の記者会見でキングス桶谷HCも「今日は長谷川選手にやられた。(川崎の)誰に打たれたくないかを絞ってチームとしてプランを立てて、それを選手たちは我慢してプレイしてくれたのでそこはコーチの責任。長谷川選手のところで決め切ったことが今日の点差になってしまった」と、想定外の活躍を認めていた。

 

鎌田、長谷川らの活躍に後押しされ、最後まで集中し続けた川崎が76-72とGAME2を勝利した。

2日間とも互いのプライドをぶつけ合う素晴らしい試合を見せた両チーム。激闘を終えた後、岸本と藤井は笑顔で互いの健闘を讃えた。

試合スタッツ:Bリーグ 2022-23 B1リーグ戦 2023/01/22 川崎 VS 琉球 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事