小橋川杯女子は西原が優勝 那覇商業を最終クォーターに突きはなす 

第39回小橋川寛杯争奪高校生バスケットボール選手権大会 最終日
目次

西原が3戦全勝で小橋川杯を制す

西原 那覇商業
98 TOTAL 79
16 1Q 26
24 2Q 18
26 3Q 17
32 4Q 18
1月16日(土)、17日(日)第39回小橋川寛杯争奪高校生バスケットボール選手権大会の男女決勝が名護21世紀の森体育館で行われた。女子は西原が3戦全勝で2年ぶり8回目の優勝を決めた。
西原と那覇商業はともに2勝で並んだことで、第3戦は優勝決定戦となった。両校は11月の新人大会決勝でも顔合わせており、そのときは77対76で西原が辛勝している。
立ち上がりペースを掴んだのは那覇商業。#7徳永陽夏、#8玉城優姫のスリーポイントが効果的に決まると能力の高い選手が揃う那覇商業は多彩なオフェンスでペースを掴み、26対16と10点リードして1クォーターを終えた。
2クォーターの立ち上がりも那覇商業は#5伊野波の個人技で連続得点でさらにリードを広げる。『1クォーターに26ポイント取られたことは監督としては誤算ではあった。足でかき回されるという不安要素はあったので初めてゾーンを採用した』(西原・崎浜秀勝コーチ)と語ったように、西原はオールコート1-2-1-1からハーフの3-2ゾーンディフェンスで対応すると、これがはまり那覇商業はシュートに至らずにボールを失う場面が散見されるようになる。リバウンドで優位にたつと#7知名梨里亜、#11中村望愛の連続得点などで一気に盛り返し40対44、4点差にまで詰めて前半を終えた。
『インサイドにボールを集めることを集中した』(崎浜コーチ)と3クォーター立ち上がりの西原は#8榮門由華の連続得点ですぐに同点とする。さらに#13宮里綺羅乃も続き逆転に成功する。ボールがスムーズに廻らなくなった那覇商業だが、#5伊野波、#6金城明彩らのシュートで1ポゼッション以内で必死に食らいつく。しかしクォーターの終了ブザーと同時に#11中村がスリーポイントを沈め、66対61と5点差に。
4クォーター、ここまで辛抱強くディフェンスを続けてきた那覇商業だったが、#13宮里ディープスリーが決まり76対69と、この試合最大の7点差に広げられると逆転するだけの余力は残っていなかった。そこから22-10のランを加えた西原が最終スコアは98対79で勝利した。

圧倒的な走力でねじ伏せてきた西原が見せた柔軟な戦いぶり

『脚力がありフィジカル的には那覇商業のほうが上。(スターディングメンバーは)知名梨里亜以外全員一年生、我慢して使いながらゲームの中で自信をつけさせるしかない』『県内ではサイズあるが、まだフットワークが出来ていない』(崎浜コーチ)。ここ数年の沖縄では圧倒的な走力で相手チームをねじ伏せてきた西原だけに、この発言には新鮮さと驚きを感じた。なぜなら西原の代名詞ともいえる走力で、『那覇商業のほうが上』とさらりと言ってのけたからだ。そして『県内では身長が高い』という利点を生かして一年生主体で戦った。ベンチ入り15名のうち実に11名が1年生というのも大胆な采配かつ的確な選手起用といえるだろう。コート上で選手たちが躍動し、コーチの戦術を見事に遂行した。

ペイントエリアで存在感を発揮した#8榮門は17得点

リバウンドとディフェンス、攻守にわたり活躍した#10島袋紘嘉14得点

コート上で問題解決を図る#11中村、#13宮里

1年生がのびのびとプレー それを支える2年生の存在感

『ベンチメンバーが1年生主体となるので、それをどう先輩がコントロールするかを練習から言っている。知名梨里亜さんには、お姉ちゃんを越すくらいにもっともっと努力してほしい』
WJBLの強豪シャンソン化粧品でプレーする2つ上の姉(知名祐里)をもつ#7知名梨里亜へ崎浜コーチからの要求は多い。知名はこの試合でパスの供給役にまわり、味方のパフォーマンスを最大限に引き出した。アシストの集計こそないが、一年生はのびのびとプレーし、#11中村26得点、#13宮里19得点、#8榮門17得点、#10島袋14得点(4人76得点)は驚異的な記録だ。
しかしその数字以上に印象に残ったのは、落ち着きぶりである。周りを生かすプレーに、姉・祐里の姿が重なった。
そしてもうひとりの2年生、キャプテン#4磯本愛思も西原にとって特別な存在だろう。後半のスタートとして起用された磯本は、チームで唯一の本土出身者(和歌山市立紀ノ川中出身)である。2年前のウインターカップで西原のバスケットボールに魅了され、その場で本人から崎浜コーチに進学を申し出たという。県外への人材流出が嘆かれる沖縄の高校バスケットボール界において、この逆パターンはとても明るい事例だ。

いつでもまだまだ まだまだやらなければならない まだまだやれる

それでも崎浜コーチは『まだまだですよ』と、満足など到底あろうはずがない。全国レベルの難しさは全国大会に出る度に痛感させられる。
『九州大会や全国大会で、試合で発揮できなければいくら練習しても意味がない。モチベーションとか集中力とか、いつも言いますけどやっぱりシュート力はどうしても沖縄が勝ち上がるためには欠かせないですから。シュート率を絶対に上げないとね』

キャプテン磯本と知名の2年生コンビ

2nd PLACE  那覇商業 走力とクリエイティブマインドで旋風を巻き起こす

走力と個々のスキルがあり、どこからでも得点が取れる那覇商業が1クォーターに4本のスリーポイントを成功させ10点リードを奪った1クォーター。強烈な先制パンチを浴びせ、少なくとも王者西原を慌てさせた。第2、第3クォーターにはリバウンドで劣勢になり徐々に盛り返されたものの、粘り強く戦い残り5分まで接戦にもちこんだ。これからどのように成長を遂げ、3月の九州大会に挑むのかに注目していきたい。

ドライブからレイアップに持ち込む#7徳永陽夏

躍動感のあるプレーをみせた#5伊野波瑠菜

エナジーと溢れるバスケットをみせた那覇商業

第39回小橋川寛杯争奪高校生バスケットボール選手権大会 競技結果
優勝 西原高校(3勝)2年ぶり8回目
2位 那覇商業高校(2勝1敗)
3位 小禄高校(1勝2敗)
4位 糸満高校(3敗)
上記の4チームは3月上旬に予定している九州大会に派遣される。
決勝リーグ
1月17日(日)
西原98-79那覇商業
(16-26,24-18,26-17,32-18)
小禄61-38糸満
(23-5,6-12,13-11,19-10)
1月16日(土)
西原77-57糸満
(17-24,15-13,22-9,23-11)那覇商業77-35小禄
(22-13,17-10,15-5,23-7)西原73-56小禄
(12-16,18-13,24-11,19-16)那覇商業96-51糸満
(25-8,17-9,24-18,30-16)

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この記事を書いた人

1983年11月5日生。東京都豊島区出身。那覇市在住。母が那覇市出身で2015年に沖縄移住。沖縄バスケットボール情報誌OUTNUMBERゼネラルマネージャー。
中学2年生のウインターカップ(1997年)で、当時圧倒的な強さを誇っていた能代工業を追い詰める北谷高校の勇敢な戦いぶりに衝撃を受け、以来沖縄のバスケットボールを追いかけるようになる。野球やサッカーに並ぶように、バスケットボールのジャーナリズムを発展させていくことを目指し、2018年10月にOUTNUMBERを創刊した。
2020年にはOUTNUMBER WEB、OUTNUMBER YOUTUBEを運用開始した。

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