旅とコーヒーとバスケットボール。

2020年10月1日2020年10月6日

ARKバスケットボールショップのイベント『KINJYO COFFEE 無料試飲会・オリジナルTシャツDiscount』を知り、取材へ出かける。バスケショップでコーヒー？コーヒーショップの店長さん？興味の向くまま訪れた。

雨上がりの空の下、その一角はにぎやかな活気にあふれていた。中心にはエプロン姿の青年の姿。「苦い方が好き？」「さわやかなかんじね！」「カフェインレスもありますよ」一人一人に声をかけながら希望通りの一杯を丁寧に淹れている。

私が彼を思い出すのに時間がかかったのは目の前にいるいかにもコーヒー通らしい風貌の青年と、コート上で激しい戦いを演じていた彼の姿がすぐに結びつかなかったから。沖縄ゼネラルグループ所属#24金城徹選手。約二カ月前、私は彼に決勝戦後のインタビューを受けてもらっていた。

2020年度沖縄県社会人バスケットボール選手権大会

2020年7月26日、天皇杯最終日の準決勝・決勝戦会場。沖縄ゼネラルグループ#24金城徹選手の姿があった。

準決勝、相手チームBulletsの主力選手とペイントエリア内で体を張った勝負を何度も繰り返し、決勝へコマを進める。

迎えた決勝戦、豊見城スポーツを相手に両者一進一退の激しい攻防。金城徹選手はコート内でもコート外でもチームを牽引し続けていたが、惜しくも4Qで振り切られ結果は準優勝で終わる。

チームのブレインでありながら攻守の要として果敢に活躍する金城徹選手。

その後のインタビューでは相手チームの持続した集中力を前に負けを認め、新スポンサーへの感謝の言葉があふれ出ていた。

#24金城徹選手バスケットボール経歴

北中城村立島袋小学校４年生からバスケットボールを始めた金城選手。６年生には沖縄県制覇。北中城中学校３年時には全国中学校バスケットボール大会優勝、その際『全国大会優秀選手賞』を受賞している。さらに興南高校では2007年全国インターハイでベスト８、ウィンターカップでは市立船橋に延長戦の末、98－95で敗れベスト16の成績をおさめた。

大学は日本大学へ進み、各地から進学してきたエース級のプレイヤーがひしめく中、卒業まで活躍を続ける。

金城徹選手と岸本行央さん

ARK代表・岸本行央さんとは興南高校時代の輝かしい成績を創り上げたチームメイトである。きつい練習も声を掛け合い乗り越え、お互いに頼れる選手であった。スターティングファイブで挑んだ全国インターハイ、不調だった金城選手に対し岸本選手から「とおるがエースだから自信持って好きなようにやっていいよ」という言葉に救われたのを今でも覚えているそうだ。

十代の頃から尊敬しあえるチームメイトであり、社会人バスケットボールではライバルでもある存在だからこそ、その関係は続く。三十代となった今、それぞれが蓄えた知恵と経験を重ね合い、アイディアを形に、夢を現実にする最高の同志である。双方の活躍の舞台は時に異なり、時に交わりながらバスケットボールを軸として展開を広げる一方だ。

旅とコーヒー

多趣味な金城選手は旅行も好きでNBA観戦にも出掛けている。

2014年1月

ボストンセルティックスvsオーランドマジック　

マイアミヒートvsボストンセルティックス(レブロン選手を観られて感激！)

2020年1月

ニューヨークニックスvsポートランドトレイルブレイザーズ

もちろん2023年FIBAバスケットボールワールドカップも観戦予定で今から楽しみにしている。

そしてコーヒーのお話。それまでもコーヒー好きではあったが、ハンドドリップのおいしさに目覚めてからの日々は味の探求へ一直線。身の周りにはこまごまとした器具が増え、時間があればコーヒー豆を買い求めに出向き、カフェを巡りながら沖縄中を駆け回る。

そんな日々を過ごしているうちにARKでイベントとしてお客様にコーヒーをふるまう日程が決定。こだわりの一杯を提供するため、豆の選定から研究に余念のない本人の周りではデザイナーの友人たちの手によってオリジナルステッカー、ポストカード、タンブラーなどのグッズも増えていく。「毎日、新しいチャレンジをしています。」と話す彼を見ていると周りも何かせずにはいられなくなるのだろう。着々と準備は整い、イベント当日を迎えたのである。

その日は予想を上回る数のコーヒーをふるまった。あふれる笑顔と会話、途切れることのない行列。コーヒー好きが高じてそのおいしさをまずは友人達と楽しんでいたが今では多くの人々を思い、その一杯の先の幸せを願い、おもてなしを心から楽しんでいる。バスケットボールに対してもそうだが、旅、人との出会い、バスケットボール、全てに真摯に向き合いながら楽しむことも忘れない。そうして得られる数多くの友人達の中で、自身の放つ生き生きとした輝きに彼はあふれていた。