11月6日(水) Bリーグ第7節 琉球ゴールデンキングスvs京都ハンナリーズが沖縄アリーナで行われ、84-78でキングス勝利して連勝を5に伸ばした。
キングスが逃げ切って5連勝
キングスのスターティングメンバーは、#4 ヴィック・ロー、#14 岸本隆一、#18 脇真大、#34 小野寺祥太、#45 ジャック・クーリー。京都のエース#77 岡田 侑大に対しては小野寺と脇がプレッシャーをかける。1クォーターからローが3つのバスケットカウントを決めてチームに流れを引き寄せる。
2クォーターは脇が身体をはってハッスル。京都の#32 アンジェロ・カロイアロ、#10 チャールズ・ジャクソンから3つ目のファウルを引き出して京都の外国籍選手2人のプレータイムを制限させることに成功。キングスはディフェンス強度を高めて、#12 ケヴェ・アルマがスティールから前線のローへパス。そのままアルマがスペースに走り込みローから再びパスを受けるアリウープダンクで会場を沸かせた。キングスが8点リードで試合を折り返す。
3クォーター、試合を決めたいキングスがインサイドを起点に攻める。京都のジャクソンから4つ目のファウルを引き出すが、キングスの得点が止まり、試合を決められずにいると、京都がじりじりと詰め寄ってくる。3クォーター終了間際の残り5秒から岡田にレイアップを決められて、最大17点あったリード点差を10点まで縮められて4クォーターを迎えることになる。
最終クォーターはローの連続3ポイントで再びリードを広げて16点差とするが、京都の#13 前田 悟が3ポイントやアシストで京都の得点をつなぐと、勝負所で岡田やファウルトラブルで休んでいたジャクソンがインサイドで得点。残り50秒で3点差まで追いつかれる。
最後は岸本のフローターショットとローのフリースローで84-78でキングスが逃げ切った形で勝利をおさめた。
ゲームスタッツ:りそなグループ B.LEAGUE 2024-25 B1リーグ戦 2024/11/06 琉球 VS 京都 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト
絶好調のヴィック・ロー
この日はヴィック・ローが攻守で躍動する。
1クォーターから3本のバスケットカウントを奪って11得点をあげて勢いに乗り、2クォーターには速攻からアリウープパスでケヴェ・アルマのダンクを演出。後半は3本の3ポイントを決めて、4クォーターだけで5アシストと大活躍。ディフェンスでは京都のエースの岡田にプレッシャーを与え続けた。
1試合を通して様々なシーンでインパクトを残し、終わってみれば 25得点、9リバウンド、8アシスト、4スティール、1ブロックという素晴らしいスタッツ。キングス勝利の原動力となった。
桶谷 大ヘッドコーチも「今日はヴィック(ロー)が良かった。ヴィックが決めてくれたおかげで勝てた」とローを称賛した。
2得点の脇がチームの勝利に貢献
今シーズン、全試合スタメン出場で平均8得点以上あげている脇 真大。この試合は平均点を下回る2得点に終わったが、この日は別の場面で勝利に貢献した。
脇は京都の日本人エース岡田 侑大をマークし、岡田の強みである1対1の場面でギャップを作らせずにディフェンスで食らいつく。脇のグッディ(グッドディフェンス)に反応した沖縄アリーナの観客は、脇を後押しするように歓声をおくった。
桶谷ヘッドコーチも「脇が岡田君についてから試合が良くなってきた」と脇のディフェンスを評価した。
2クォーターにはルーズボールとリバウンド争いの場面で、京都の外国籍選手のカロイアロとジャクソンから3つ目のファウルを誘発。京都のビッグマン2人をファウルトラブルに追い込むファインプレーを見せた。
脇は、試合を通してディフェンスやリバウンドなどでチームの勝利に貢献。
終盤にターンオーバーが続いたり、シュートが入らなかったり、オフェンスで上手く乗れなかったが、そういった状況でも他の所でチームに貢献できたことは、チームにとっても本人にとっても大きな意味があるはずだ。
スリービッグは機能するが課題も
帰化選手のアレックス・カーク、ケヴェ・アルマとローの3人を同時に起用するスリービッグは効果的だった部分と課題が残る部分を感じられる試合内容となった。
ローが攻守の起点になって、スムーズにプレーしていた場面もあれば、オフェンス全体が停滞してしまい、ディフェンスにも影響して、イージーにやられてしまう場面もあった。
試合後の会見で桶谷ヘッドコーチは「スリービッグは、良い時間もあった。ディフェンスは試合中盤はハマっていたけど、集中力を欠いてしまったシーンもあり、審判に対してフォーカスしてしまった所は良くない」と課題を語った。
それでも良いディフェンスができた時は、オフェンスへの切り替えもスムーズで人とボールが良く動いて迫力あるオフェンスをしていた。
まだ調子の良し悪しの振れ幅が大きいキングスのスリービッグだが、試合をかさねて戦術とコミュニケーションが深まればフロアバランスが改善されてクリアなマインドでプレーできるはず。
今節の課題を改善して、より良いスリービッグに進化することを期待したい。
キングスディフェンス陣vs岡田侑大
京都と対戦する時は、司令塔であり点取り屋の岡田 侑大をどうやって止めるか、が大きなポイントとなってくる。
キングスはその岡田に対して、小野寺、脇、ロー、荒川、をぶつけてきた。なかでも、脇とローが良いディフェンスを見せる。
岡田のユニークなステップに惑わされずに、ディフェンスでプレッシャーをかけ続けた。今シーズンの岡田はコンタクトフィニッシュも向上して、ボディバランスを崩さずにアタックしてくるが、脇とローはギャップを作らせずにクリーンなディフェンスでコンタクトフィニッシュに持ち込ませなかった。
セカンドユニットでは#10 荒川 颯が岡田のマークを担当。拓殖大学の元チームメイトである岡田に対して、持ち前のスピードとアグレッシブさで岡田をストップ。
後半には、#47 平良 彰吾が岡田につく時間もあり、拓殖大学の元チームメイトである岡田に対して荒川、平良省吾が激しくディフェンスにいくシーンも。
最終的に岡田に17得点、6アシストといい仕事をさせてしまったが、マンツーマンディフェンスでは全員がハードに対応できていた。12月にも京都との対戦があるので、次の試合は集中力を保ってキングスのディフェンスで勝ち切りたい。
桶谷HC「悪い時間を短くすることが課題」
桶谷ヘッドコーチ「40分通して集中力を保てず、3クォーターの最後のワンプレーで岡田選手をのせてしまった。それまで良かったのに、ふとした所でディフェンスが集中を欠いてやられてしまうのは、無意識のうちに慢心があったのかなと。悪い時間帯を短くすることが課題」と振り返る。
さらに「ケヴェは今日16得点でしたけど、ディフェンスの部分で試合に入れてない場面があった」とアルマの試合へのフォーカスについて改善を期待した。
荒川は「彰吾(平良)とは一緒にコートに立つことが多いので、アグレッシブに行ってチームに勢いをもたらそうと話している」と話し、拓殖大学の元チームメイト岡田に関しては「入り出すと止まらないのは大学時代から知っている。17点取られたので、もっとアグレッシブにいって、プレッシャーとストレスをかけたかった」とコメントした。
平良は「颯(荒川)とコートに立つときは、自分も頑張ろうと思うし、岡田に関しては京都のエースとしてプレーしていて見習うべきところがある。こういった刺激をくれる大学の元チームメイトがいるので自分ももっと頑張ろうと思える。」と大学時代の元チームメイト達への思いを語った。
京都 ラナHC「岡田の様な個性豊かな選手が日本にいることを世界に知ってほしい」
京都のロイ・ラナ ヘッドコーチは
「今日はヴィック・ローが素晴らしい活躍をした。タフなショットを決められて難しくなった。前半はリバウンドの部分とファウルトラブルで試合が難しくなってしまったが、後半にカムバックすることが出来たチームを誇りに思っている。」
とし、後半の追い上げの要因について、「カロイアロとジャクソンがファウルトラブルでコートに立てない時、岡田の得点で4クォーターにつなぐことが出来た。岡田のような個性豊かなプレイヤーが日本にいることを世界に知ってほしい」と岡田を最大限に評価。
また今季のベテランの加入について「古川はチームのベストプレーヤーのひとり。そして彼のようなベテランプレイヤーたちが全ての若いプレイヤーの助けになっている」と話した。
4クォーターに3本の3ポイントを決めて追い上げのキーマンになった前田 悟も「昨シーズンだったら15点差ついたら、30点差までいってしまっていたと思うが、20点差開いてもカムバックできるようになっているのは、ベテラン選手が折れない様に必ず声をかけてくれているからだと思う。」とベテラン選手のチームへの影響を語った。
12月28日、29日には再び琉球vs京都の試合が沖縄アリーナで行われる。それまでにはチーム戦術も深まり、お互いに怪我人も帰ってくるはず。年末にまた、熱い試合を見せてほしい。
(文 : 新里樹真)
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