チームが一つになる難しさ
試合後、記者会見で桶谷HCは「苦しい前半を我慢して、3クォーターで再び離された時間帯でも我慢強くひとつずつ返す事で、自分達の流れが来た時に自分達のバスケットで逆転することが出来た」とチーム全員の『我慢』を強調した。
その後、桶谷HCは3クォーター以降出番のなかったフリッピンについても言及した。「(フリッピンは)メンタリティがSamePage(同じ方向性)では無かった。どのチームでも一緒だと思うが、同じ方向を向けていない選手がいると、その試合はしんどくなる」
チームが一つとなり戦う。使い古された言葉だが、それを実現するのは簡単なことではない。
昨季の同じ時期、岸本は日本代表活動でチームを離れていた。今季はフリッピンが日本代表に選出され、同じ状況にある。
岸本は自身の経験を踏まえ、代表活動とリーグ戦を両立する難しさの『リアル』を語ってくれた。
「個人的には、代表とチームを両立することは、皆さんが想像するよりずっと難しい大変な作業だと感じました。代表では求められる役割も違うし、常にプレッシャーにさらされる。それは確実に自分の成長につながるし、チームを離れることで見えてくることもある。そんな中でどう自分自身をチームにアジャストさせていくか。」
日本代表選手としてキングスを代表する選手となったフリッピンへ伝えたい事を聞いたところ、岸本はゆっくりと語ってくれた。
「僕は優勝するには必ずコーの力が必要になると感じている。自分自身を信じてプレイして欲しい。」
「バスケットに限らず、人生はうまくいかない時は必ずあって、その時の振る舞い、その時にいかにベストを尽くせるかは今後に大きく影響する。」
「試合後に少し皆の前で話をさせてもらったんですが『試合によって良い時間を過ごせる選手もいれば、もどかしい気持ちになる選手もいる。その中で今この時間を大切に、ベストを尽くす事が絶対に今後に繋がっていく』と伝えました。僕自身はそうやってきて今ここにいる事が出来ていると思っています」
決してバラバラな集団ではない。逆に一人ひとりが勝利への強い意志を持っているからこそ、チームという生き物が一つになる難しさがある。
「チーム=TEAM」の語源は”Together Everyone Achievement More”と言われている。「全員で一緒に、より高みを達成する」
一年間をかけて「チーム=TEAM」となり高みに到達するか。それもプロスポーツの面白さであり、難しさだ。