4クォーター
4クォーターのキングスのスタートは、岸本、荒川、今村、ロー、クーリー。
クォーター開始直後に今村がスミスに4つ目のファウルを奪われ、松脇と交代する。先に得点したのは千葉J。ムーニーがフリースローを2本決めて72-50。キングスは岸本、松脇が3ポイントを放つがミス。逆に千葉Jは金近が左45度から3ポイントを決めて、残り7:47で52-77と点差は25点に広がる。
タイムアウト明け、キングスは岸本、荒川、松脇、ロー、カーク。キングスはカークがバックダウンで仕掛けるが得点を奪えず、逆にスミスに3ポイントプレーを決められてしまう。残り7:13で52-80と28点差、さらに残り6:57にはムーニーのジャンプショットで52-84で点差は32点。
オフィシャルタイムアウト明け、キングスは小野寺、牧、田代、ダーラム、カーク。キングスはターンオーバーが止まらず、残り2:15には57-93とこの日最大の36点差となる。最終スコアは62-95。キングスは33点差でホームでの大事なGAME1を落とした。
試合スタッツ:日本生命 B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2023-24 2024/05/18 琉球 VS 千葉J | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト
3月の天皇杯決勝と同じように、千葉Jに大差をつけられて敗戦したキングス。試合後の記者会見では、どうしても天皇杯決勝とこのGAME1を並べた質問が続く。キングスの桶谷大ヘッドコーチは、チームの精神状態がプレーオフの大舞台に挑むマインドセットになっていなかったと悔やんだ。「(天皇杯決勝の敗戦は)忘れた方がいい。でもどうしても頭にこびりついているのかもしれない。自分たちで悪い方向に持っていっている。忘れなければいけない。関係無い。今やっているのはプレーオフで、今やるべきバスケットに集中しなければいけない。エナジーを出してディフェンスすること。やるべき事にエクスキューション(遂行)する」
苦しんだレギュラーシーズン60試合で、自ら手放してしまったホームでのチャンピオンシップ開催。有明コロシアムでのアルバルク東京との激闘の末、再度掴んだ沖縄アリーナの大観衆の前でのチャンピオンシップ。
33点差という大差での敗戦にも関わらず、8582人の大観衆はほとんど席を立つ事なく試合終了まで応援を続け、試合終了後の選手たちの挨拶のあいだも『GO GO キングス』の大声援は鳴り止まなかった。
試合終了間際、キャプテンである田代直希がハドルを組みながら下を向くチームに対して檄を飛ばした事を、桶谷ヘッドコーチが明かしてくれた。
「試合終了間際のハドルで、田代が『しけた顔してバスケットすんな。積み上げてきたものはこんなんじゃないでしょう!』と言ってくれたんです」
「そういう話だと思うんです。自分たちがやってきた事を信じてやりきる。チームメイトを信頼して、それぞれの責任を持って、ディフェンスをインテンシティー(強度)を上げる。オフェンスでディシジョンメイキング(decision-making、正しい選択)をする。それに尽きる」
3月の天皇杯決勝での大敗。キングスは王者としてのプライドまで粉々に砕かれた。その相手が目の前にいれば、どうしてもあの大敗が眼前にちらつくのは当然だ。
だがファンがあの時失望したのは、大きな点差を前に試合終了を待たずに諦めてしまったチームの姿勢だった。「決して諦めない姿勢。見る者に元気を与えるエナジー」こそがキングスだったはず。それを忘れてコート上に立ち尽くすキングスに失望した。
しかし、そこからキングスはもう一度僕らに『決して諦めない姿勢、見る者に元気を与える情熱』を見せてくれた。4月10日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦。残り13秒で6点差という配色濃厚の状況に、沖縄アリーナの観客は足早に席を立つ人々が多かった。しかしキングスは決して諦めず、身体を投げ出しボールを奪い、6点差を一気に縮めてオーバータイムに持ち込んだ。結局その試合は負けたしまったが、沖縄アリーナの大観衆は惜しみない拍手を送った。勝敗ではない。もっと大事なものがしっかり伝わっているのを感じた。
天皇杯決勝での敗戦から、キングスがもう一度積み上げてきたものは、確実にファンに伝わっていた。ファンはもう一度キングスを信頼し、セミファイナルという大舞台での敗戦にも下を向かず、最後まで声援を送り続けた。
沖縄アリーナを埋め尽くす大観衆全員が信頼している『自分たちが積み上げてきたもの』を、自分たち自身が信じ切ることが出来るか。日曜日を最後の試合にするか、平日の沖縄アリーナを大観衆で熱狂させるのか。それは自分たち自身にかかっている。