第97回天皇杯準決勝 千葉vs琉球 愚直なチャレンジャーとチャンピオンのプライド

写真提供:日本バスケットボール協会

2022年2月9日に開催された第97回天皇杯準決勝、琉球ゴールデンキングスはアウェー船橋アリーナで昨季Bリーグ覇者千葉ジェッツと対戦した。

両者はBリーグのレギュラーシーズンで1月8日、9日に対戦予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期。この天皇杯がリーグ戦を含め今季初対戦。さらに千葉はコロナ対応からチーム活動を停止、試合前日にチーム練習を再開する難しい状況だった。

昨季2020−21シーズン、キングスはCS準決勝で1勝2敗で千葉に敗退。そして千葉はリーグチャンピオンに上り詰めた。いわば千葉ジェッツはキングスがチャンピオンになるための高い壁だ。

リーグ戦17連勝中の勢いがチャンピオンにも通用するのか。今季キングスのCSを占う上でも注目の一戦だ。

 

目次

1Q チャンピオンの手痛いファーストパンチ

キングスのスターティング5は、#3 並里 成、#30 今村 佳太、#88 牧 隼利、#13 ドウェイン・エバンス、#7アレン・ダーラム。

千葉のスターティング5は、#2 富樫 勇樹、#31 原 修太、#14 佐藤 卓磨、#33 ジョン・ムーニー、#1 ジョシュ・ダンカン。

 

先手を取ったのは千葉。残り7:54 スコア 4−4 の場面。エース富樫はマークマンの並里がハイピックスクリーンの下をくぐるアンダーを選択したのを見逃さず、トップの位置からこの日最初のシュートとなる3ポイントを決める。

試合開始直後から千葉のディフェンスが素晴らしい。特にウイングプレイヤーながらフィジカルにも優れる佐藤と原の献身性が光る。

佐藤と原は、ダーラムがインサイドにペネトレイトしてくると中に収縮して、ダーラムが得意とするストップからのターンをさせないようにスペースを消す。ダーラムが苦しくなりボールを外にパスアウトすると、彼らは猛ダッシュして3ポイントラインの今村やフリッピンにクローズアウト。

千葉ディフェンスの前にキングスはタフショットを強いられる。全員が攻撃参加するキングスらしさは影を潜め、ボールが左右に動かない単調なオフェンスに加えてターンオーバーも続く。

千葉はディフェンスからリズムを作りオフェンスも好調。残り5:14、富樫がまたもハイピックからこの日2本目の3ポイントを沈めて、スコア 15-6 と千葉が9点リードしたところでキングスがタイムアウト。

 

キングスは、前の試合で足を負傷して万全ではないクーリーを投入して打開を図るが、自分達のターンオーバーが止まらずリズムを掴めない。

1クォーターはスコア 21−11 で千葉10点リード。キングスはBリーグチャンピオンの手痛い先制パンチを浴びてしまった。

 

2Q 先に仕掛ける千葉 大野HC

2クォーター、キングスは岸本、フリッピン、牧、小寺、クーリーでスタート。

キングスは今村の3ポイントや、ダーラムがディフェンスリバウンドから自分でファストブレイクで得点して残り6:02、スコア 27-18。キングスはほんの僅かではあるがリズムが出てきた。

ここで千葉の大野HC、点差はまだ9点差にも関わらず、早めにキングスのリズムの目を摘み取るタイムアウト。

互いに流れをつかめず残り4:30、クーリーがポジション争いでオフェンスファウル。大黒柱の2回目のファウルにキングス黄色信号が点る。

そして千葉は富樫がハイピックからのこの日3本目の3ポイントを決める。

キングスはダーラムを中心にインサイドを攻めるも、狙い通りレフェリーの笛が鳴ってくれずオフェンスにリズムが生まれない。

千葉は富樫そして外国籍ガードの#34 クリストファー・スミスが、外から切れ込みキングスディフェンスを崩していく。スミスはさらにエバンスからスティールしてそのままダンクを決める。完全に千葉の流れだ。

残り43秒 スコア 36−25 でキングスは立て直しを図るタイムアウト。しかし逆に千葉の大野HCがここで奇襲に出る。

ボールを運ぶ岸本に対して、ハーフラインを超えた瞬間に富樫と佐藤でトラップディフェンス。苦し紛れのパスをスミスにカットされてしまい、キングスはファウルで止めるのがやっと。

2クォーター終了時スコアは36-25。点差以上に千葉の試合巧者ぶりが光った前半だった。

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