ウインターカップ2020 西原100点ゲームで初戦突破

写真提供:日本バスケットボール協会  文:金谷康平 インタビュー:小笠原大介

12月23日(水)「SoftBank ウインターカップ2020 令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」で沖縄県代表の西原は、1回戦で米子南(鳥取県)と対戦し、103対90で快勝した。2回戦は24日(木)9時から東京体育館で聖カタリナと対戦する。

県立西原(沖縄) 県立米子南(鳥取県)
103 TOTAL  90
25 1Q 24
17 2Q 19
32 3Q 28
29 4Q 19

今シーズン最初で最後の全国。スタメンも控えもなく全員で1勝をあげた

我慢の展開の中、後半の勝負所で流れを呼び込んだのはベンチスタートのメンバーたち

前半西原は、#7知名梨里亜のミドルショットや#11中村望愛の1対1などで優勢に試合を進めた。しかし何度か点差を広げられそうな場面で、セカンドチャンスを拾われスリーポイントを効率的に決められて2クォーター終了間際には逆転を許し、42対43と1点ビハインドで前半を折り返した。

3Q立ち上がりは、米子南にペースを握られ47対55とこの試合最大の8点まで広げられる。我慢の展開が続いた西原だったが、ベンチスタートしたメンバーが奮闘する。#16島袋紘嘉がリバウンドと得点でインサイドでの存在感を示すと、さらにこのクォーター途中から出場した#17宮里綺羅乃がチーム最初のスリーポイントを成功させる。#6小渡柚奈もコーナースリーで続いた。クォーター終了間際にも#17宮里が2本のスリーポイントを沈め、このクォーターだけで13得点の活躍をみせ、チームに流れを引き込んだ。74対71と逆転に成功し最終クォーターへ。

西原らしい攻撃的なオールコートディフェンスに、米子南がボール運びに苦労し、ターンオーバーや難しいショットを打たされる場面が目につくようになる。西原はファールトラブルでベンチに下がった#11中村に代わり#12榮門由華がしっかりとリバウンドと得点で貢献した。最終クォーターも最後まで激しいディフェンスを貫いた西原が100点ゲームで1回戦を突破した。

どっこいどっこいの試合をしながら、食らいついていきたいと明日の抱負を語った。

県立西原崎浜秀勝コーチのコメント:
Q、今日振り返って。

予想通りですよ。やっぱり1年生が15人中8人いて、全国経験したのは二人しかいない(#4高江洲祭、#14仲本茜理)。今年はインターハイが無くて、この8人がどう頑張るかがキーポイントだった。やっぱりチームがなかなか乗ってくれない、地に足が付いてないというのが今日のゲームの内容だったと思います。どうのこうのじゃなくて、まずはバスケットをしてくれという感じですよ。

Q、なかなか流れに乗ってこないなかで、どのように修正をしたのか。

修正するためには、今日は全員出した。メンバーを代えたり、戻しながら。代えても力的に変わらない子どもたちがいるので。本当はスターティングメンバーが気持ちを持ってやるべきところだが、地に足が付いてないもので、もう代えるしかないなと。どうにか代えたり戻しながらやっと4クオーターで練習の雰囲気みたいにバスケットをしているような子どもたちがいたので、それまでは上の空ですよ。本来はスターティングメンバーで固めていきたいけど、今日のゲームはズルズルと負けていくケース。1年生ながら信頼してる選手も多いので、チャレンジして出してみようかなと。

Q、1年生の起用に関して。

1年生はまだまだ脚力はないけど、バスケのうまさがある。今日も小さいから押されてシュートまでいけない、リングまでいって押されてる。体ができてない。相手は3年生ですから。それはまあ気持ちで思い切りアタックして、なんとかしてくれるかなと。まあよく勝ちましたね。見てる方は楽しいと思うけど、監督としては死にそうになりましたね。まあ経験がないチームですからね。初戦勝つことで、上までいきたいね。弱いチームですけど、頑張ってるなと言わしめたい。

Q、今日の試合は誰がキーマンでしたか。

きらのさん(#17宮里綺羅乃)ですね。あの子はやっぱりシュートが入る。点差が開きそうな時にシュート決めるんですよ。あの子のシュート精度がもともと高い。チームの身長が低い分、中でやられて守りでは不利な部分があるので、追い付くためにはこの子だなと思いました。

Q、起用が見事にはまりましたね。

はまりましたよね。県の新人戦でもやって見せたので、その辺は信頼がある。あそこでどうにかつないでくれた。

Q、また2回戦が聖カタリナ(愛媛)

また(相手は全国の)経験者が多いので、こっちは挑戦者の気持ちでね。

Q、100点ゲーム、得点を3桁に乗せたことについては

 私のイメージを全て壊してくれてありがとうという感じ。監督としては勝たせることが一番なので。それは選手のおかげですね。

Q、聖カタリナの印象は?

まず身長があるし、しっかりゲームの形を作ってくるので、どっこいどっこいのゲームしながら、どうにかついていきたい。ただ相手にはサイズがあるのでどうオフェンスで工夫するかを準備しています。あとはシュートが入るか。おもしろいゲームになると思います。

20得点と攻撃を牽引した#7知名梨里亜

#7知名梨里亜(2年)選手のコメント

前から守備を当たっていたが、相手に対策をされて全部裏を取られて、うまく機能しませんでした。自分から積極的にドライブに行って、自分が得意としているジャンプシュートを打てれば打って、コースが無ければ回りを見てアシストに切り替えた。3Qまではミスもあって波に乗れなかったけど、4Qは自分達の守備ができるようになって、相手のミスを誘発したことで自分達の流れになったと思います。1年生がかなり頑張ってくれて、特に途中から出てきた#17宮里綺羅乃のスリーポイントやドライブが効いた。今日は体が動いてなくて、序盤の出だしの悪さが守備にも影響したと思います。明日は出だしから守備をしっかりやって守備から流れを作れるようにしたいです。

 

『どこのチームよりも走っている』と語るキャプテン#4高江洲祭

#4高江洲祭(3年)選手のコメント

全国大会経験者が少なくて、皆初戦でかたくなっていた。特に試合の出だしが今までの自分達ではないような感じでした。自分達がしっかりやっていれば前半からリードを奪えて3Qまで競ることはなかったはず。3年生がダメだったところを1、2年生が引っ張ってくれたことで4Qからいつもの守備が機能しはじめた。明日は3年が引っ張っていけるようにしたいです。自分達は日頃の練習からどこのチームよりも走っているので、明日も守備からどんどん走ってプレッシャーをかけて流れをものにしたい。目標はベスト4です。

 

#17宮里綺羅乃(1年)選手のコメント

県大会はプレータイムも少なく、シュートも入らなかった。西原はメンバーのサポートが決まっていて、私は同じ1年生で同じクラスの比嘉萌音(もね)さんにずっと「シュート入らないんだけど」と相談していました。話しを聞いてくれて、練習もずっと朝か晩までリバウンドをずっと拾ってくれて、マッサージもしてもらっていました。そんなみんなのためにも「全国では決める」と思っていました。

監督は「だれが出ようと西原のバスケはディフェンスから勝つ」とチームで決めています。1年だからではなく、だれが出ても1人1人が責任を持って、思いのあるプレーをしている。自分はまだまだ。ファウルが多いことと、サイドステップで相手のドライブを止められなかった。上に行くとスピードが速い選手がたくさんいるので、その人たちを止めるためにサイドステップでディフェンスは勝ちたいです。

スリーポイントは得意です。チームがつないでくれたパスだったので絶対決めてやろうと。(相手と接触して唇を切ったが)気合入れた守備ができたと思います。次は西原らしいバスケで勝てるように、守備から流れをつくって余裕をもって勝ちたいです。

 

明日も“西原らしい”バスケットボールを

2回戦 12月24日(木)東京体育館にて9:00から聖カタリナ(愛媛)と対戦する。

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この記事を書いた人

1983年11月5日生。東京都豊島区出身。那覇市在住。母が那覇市出身で2015年に沖縄移住。沖縄バスケットボール情報誌OUTNUMBERゼネラルマネージャー。
中学2年生のウインターカップ(1997年)で、当時圧倒的な強さを誇っていた能代工業を追い詰める北谷高校の勇敢な戦いぶりに衝撃を受け、以来沖縄のバスケットボールを追いかけるようになる。野球やサッカーに並ぶように、バスケットボールのジャーナリズムを発展させていくことを目指し、2018年10月にOUTNUMBERを創刊した。
2020年にはOUTNUMBER WEB、OUTNUMBER YOUTUBEを運用開始した。

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