試合後 両ヘッドコーチ記者会見
琉球ゴールデンキングス 桶谷大HC
僕らはディフェンスのチームですが、出だしはマカドゥ選手の1on1がなかなか止められなくて、自分たちがディフェンスから走れずに良いリズムに出来ませんでした。それでもオフェンスはアウトサイドも当たっていたし、渋谷のショーディンフェスに対してもターンオーバーせずに良いシュートで終わっていたので、そこで何とか持ち堪えられたと思っています。
前半終わった時点でオフェンスリバウンド9個取られていたので、そこはしっかり修正する。あとは渋谷は3ポイントが当たり出したら止まらないチームで、3ポイントの得点が伸びることで渋谷の得点が伸びるというデータもあったので、簡単にスリーポイントをやらせない事。オフェンスは基本的にはいい判断が出来ているので、偏ったプレイコールするよりも、一番その瞬間ごとにあったコールやプレイをする事。それが後半は出来たと思います。
特に3Qの入りで、前半から続けてきたボールプレッシャーとディナイディフェンスの部分で、渋谷がストレスを感じながらやっていて、ターンオーバーも増えて走れる展開になった。
それはチームとして、誰が出てもサボらずにソリッドにディフェンスをやってくれている事が今日の点数につながっていったと思います。
明日はまた違う展開にはなると思うんですけど、今の僕らのチームには良い選手が多いので、選手のコンディションやパフォーマンスを見ながらゲーム展開をしっかり読み、またチームとして勝ちたいと思います。
––20試合を消化してリーグ戦三分の一が終わりましたが、就任前に考えてたチームと現在のチームを比較して、出来ている事、出来ていない事、これからやらなければいけない事があれば教えて下さい
前半戦は上位陣との試合が多かったので、勝率ではもう少ししんどくなるかなとは思っていた。
ただチームが成長していくためには、勝っても負けても正しい方向に導いていくという事、ちょっとふわっとした言い方ですけど、それが僕の役目だと思っていたので、今のところチームとしてはしっかり成長し続けている。
だけど、まだまだこのチームはポテンシャルもあるし、これからシーズン通して武器もいっぱい出てくると思うんですけど、そこをプレーオフまでにしっかり作っていって、プレーオフでどんなジャンケンポンされても対応できるような、そういうチームにしていきたいと思っています。
まだまだ完成度が低いとは思いますが、それでも勝敗が付いてきているので、このままチームをしっかり強くし続けていけたらと思っています。
––久しぶりに伊佐さんと桶谷さんの戦いを見て、沖縄のファンは凄く感じるものがあると思いますが、久しぶりに対戦してみて感触はどうでしたか?
いやー懐かしかったですよね(笑)
率直に「ムーさん(伊佐HC)こんなバスケットしてたなー」って。色んな手札を持っているので、やっぱり相手にすると「そこまで色んなことやってこんでもー」っていうような策士なんでねムーさんは(笑)。
そういった意味でも、もっともっと明日は出してくるとは思います。
展開ごと、タイムが止まる度に色々な技を出してくるので、そういうのがやっていて、すごいなぁって感心してました。
––前回対戦したのがBリーグ初年度の大阪戦。ムーさんが最後にキングスにいた時でしたが、その時から変化を感じる部分とかありましたか?
ディフェンスの部分はもう少し下がりながら、プレッシャーを今よりももう少し低い位置でやっていた。どっちかって言ったらインサイドをしっかり守るディフェンスが主だったかな。でも今の渋谷は、ハードにプレッシャーかけてショーディフェンスを仕掛けて、という部分は昔よりも変わったかなと思いましたね。
サンロッカーズ渋谷 伊佐勉HC
前半は琉球に何とか付いていけましたが、彼らは後半に強く、こちらの後半最初のミスをあちらは見逃さずに3ポイント3連続、0−9のランをされてしまい、そこから後半は向こうのペースでやってしまった。
今朝のシュートアラウンドでも、先に(気持ちが)切れた方がゲームをおかしくしてしまうという話をしていましたが、後半の早い時間に切れてしまい、そこをカムバックさせられなかったのが結果的にこの点差になったと思います。
––マカドゥ選手のインサイド攻撃、特に後半は連続で決まりましたが、逆に終盤その部分でディフェンスで引かれたりして、相手に狙われたと思いますがどう感じていますか?
周りの選手がしっかり考えて、マック(マカドゥ)の良いところ引き出せたかなと思います。ダーラム選手はあれ(イスを引くようなディフェンス)は上手いので、伝えていたつもりではありますが、上手くやられたかな。ファウルでもないので、凄いスキルだなと思います。
––前半にクーリー選手を3人で囲んで守る場面もありました。今日クーリー選手は10得点でした。ここは抑えるべきポイントでしたか?
得点というよりリバウンドがすごく良い選手。一人で勝てる選手はこのリーグにはいない程の選手です。皆で助け合って守ろうと話しましたが、それでも(リバウンドを)取られている。2個くらいに抑えたかったかなと思っています。
––桶谷さんとのヘッドコーチ対決いかがでしたでしょうか?
そこまで意識はしていなかったんですけれども、すごい手強いチームを作り上げているのでさすがです。スカウティングをしている時も感じましたが、このチームは試合中も絶対に崩れない。一人ひとりのメンタル、遂行レベルはリーグでもトップレベルだ、と改めて感じました。
––桶谷さんは先ほど伊佐さんのことを「策士だな」と仰っていましたが、逆に桶谷さんにどんな印象を持たれていますか?
一緒に仕事していた時もそうなんですが、選手が全然ブレずにやることをしっかり遂行している。
ブレないというのは、桶さん自身からも日頃会話していても感じる部分なので、そこがチームにしっかり浸透しているのかなと思います。
––来年1月は沖縄でオールスターも開催、沖縄アリーナも開場して、キングスも以前より大きくなってきました。伊佐さんはキングス創設初年度から共に過ごしてきて、今のキングスの成長を外から見てどういった印象をお持ちでしょうか?
僕がキングスにいたときにアリーナ構想を聞かせてもらっていて、僕がオフに沖縄に帰った時、日本代表の試合でアリーナに行かせてもらったんですが「本当に(アリーナが)出来上がっているな」という印象でした。
NBAを現地で観戦した事もありますが、本当にNBAさながらのアリーナが出来ているなと思います。
チームは誰がヘッドコーチしても、選手が入れ替わっても、文化が継承されている。そこはブレずに毎年毎年、一つひとつ積み上げてるという実感があります。
今後この状況が落ち着いてアリーナが満員になった時、僕からしたらアウェイのキングス戦というのは、とても脅威になるんじゃないかなと思います。素晴らしいと思います。
––沖縄のファンも、ムーさんが敵として帰ってくる時を心待ちにしていると思います。
それまでクビにならないように頑張りたいと思います(笑)
キングスの文化を積み上げてきた二人
桶さんとムーさん。桶さんは「ムーさんは策士」、ムーさんは「桶さんはブレない人」と互いを表現した。二人が文化を積み上げてきたチームは、日本バスケ界でも大きな輝きを放つ存在になった。
キングスの文化を積み上げてきた二人が、互いの事を語る時。懐かしい相手と戦う喜びが、その表情から溢れていた。