12月10日現在、キングスはわずか3敗でリーグ全体1位。開幕節のアルバルク東京戦に連勝して波に乗ると、途中キャプテン田代直希を今季絶望の大ケガで欠くものの、連敗は一度も無く、好調をキープしている。
しかし、12月は厳しいスケジュールが続いていく。
12月11日(土)、12日(日)と宇都宮ブレックスとのアウェイ戦、さらにその翌週は12月15日(水)にホーム京都ハンナリーズ戦を挟み、12月18日(土)、19日(日)にはサンロッカーズ渋谷とのアウェイ戦と、アウェイでの過密スケジュールが続く。
アウェイで対戦する宇都宮、渋谷は、ともに今季も強敵だ。
宇都宮ブレックスは、長年チームを支えたライアン・ロシター、ジェフ・ギブスが移籍するも、ここまで11勝5敗。平均失点はリーグ1位を誇る。
安齋竜三ヘッドコーチ(以下HC)と、2季前までキングスのHCを務めた佐々宜央アシスタントコーチ(以下AC)の強力なコーチ陣が、ブレックスらしい厳しいディフェンスを作り上げている。
そして、かつてキングスで指揮を執った、伊佐勉HCが率いるサンロッカーズ渋谷。
桶谷大HCと伊佐HCは、bjリーグ時代の2008年から2012年まで、桶谷HCと伊佐ACとしてキングスでコンビを組み、bjリーグ初優勝と2回目の優勝を勝ち取った。いわば、今日まで続くチームの基礎、キングスの文化を作った二人だ。
桶谷HCが2012年にキングスを退任した後、2013年にキングスは伊佐HCが就任。その後、桶谷HCはbjリーグ岩手ビッグブルズ、大阪エヴェッサを率いて、伊佐HC率いるキングスと何度も対戦してきた。
二人が最後にB1で対戦したのは、2017年5月。Bリーグ初年度レギュラーシーズン最終戦の、琉球ゴールデンキングスvs大阪エヴェッサ戦。
キングスはこの最終戦を勝利、大阪に逆転してCS出場を決めた。
この時のキングスは伊佐HC、大阪は桶谷HCだった。
そして今季は互いに立場を逆にして、桶谷HCはキングスのHCとして、伊佐HCは渋谷のHCとして、5季ぶりの対戦となる。
若かりし頃より、共にプロコーチとしてのキャリアを積み上げてきた、桶谷HCと伊佐HC。
12月5日の富山戦後、桶谷HCに、伊佐HC率いる渋谷戦への抱負を聞いた。
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「(アウェイで対戦する宇都宮、渋谷は)強いチームなので、どれだけ自分達が満足できるプレイ、冷静に自分達のパフォーマンスが出来るかが重要になってくる。」
「宇都宮はディフェンスNo1のチームだし、渋谷は僕らがやりたい事をどんどん切ってくるようなチーム。自分達が簡単に得点出来ない、いつも通りのプレイが出来ない状況になると思う。」
「そんな状況で、どれだけ自分達のパターンに持ち込んでいくかが重要で、どこか相手にミスが生じていないか、冷静にしたたかにプレイし続ける事が大事になるはずです。」
「(厳しいスケジュールで)色々な逆境が出てくると思うがそれでも、七転び八起きじゃないですが、常に立ち上がるチーム、立ち上がる人間が、最終的には強いチーム、強い人間だと僕は思っています。」
「そういう強いチームになるための、ひとつのテストだと捉えて、そこにしっかり向き合いながら戦っていきたい。」
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また、富山の浜口炎HCも、同じくプロコーチとしてbjリーグ時代から何度もキングスを苦しめてきた。
浜口HCに、桶谷HCがキングスに復帰して久しぶりに対戦した感想を聞いた。
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「大ちゃん(桶谷HC)がB1に戻ってきてくれたのはとても嬉しいです。彼がキングスの文化を作ってきたと思うし、強いチームを作り上げてきた。彼が戻ってきた事で、選手の顔つき、雰囲気も良い。(ヘッドコーチとして)タレントを上手く使う采配もあり、短い準備期間だったが、負けられない(アルバルク東京との)開幕節を2つ勝った。本当にさすがだなと感じています。」
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Bリーグも今季で6年目、NBL、bjリーグ時代も含めると、選手同様にコーチたちもそれぞれのプロキャリアを重ね、それぞれの歴史を積み重ねてきている。
素晴らしいコーチたちが率いる、素晴らしいチーム同士の対戦。
宇都宮、渋谷とのアウェイ戦は、今季のキングスにとって、自分達の目標を成し遂げる為の重要な「テスト」になる。