生身の人間が戦う”バスケットボール”
試合後、キングス桶谷HCは「ダンカンが試合開始5分でケガをして苦しい展開になったが、チーム全員で同じ方向を向いて戦って勝利に結びつけることができた」と語った。
地区最下位である滋賀に苦しめられたことを「これはダメだ」「こんなこともある」どちらの考えなのか質問すると、桶谷HCは「こんなこともある、ですね」と答えた。「今日は滋賀が良いバスケットボールをしていた。チームとして対策していたが、マーティン選手もいつもの確率以上にシュートを決め、杉浦選手にも3連続3ポイントを決められた。滋賀は僕たち(キングス)のディスアドバンテージをかなり突いてきた」
クーリーの大活躍にも「今日はジャックのディフェンスがすごく良かった。簡単なレイアップを許さず、さらにリバウンドも取る。ジャックでなければ出来ない」と目を細めた。
鬼神ジャック・クーリーも、この日の大活躍に大満足の様子だった。「チームのサイズが劣る中、自分がいかにリバウンドを取るかがカギになると思っていた。チームに貢献できて嬉しい」と笑顔で語った。
ただ、最後のフリースローを外して30得点に届かなかったことを聞くと「あれはAD(アレン・ダーラム)が19ポイントだったから、僕もそれに引っ張られちゃったんだよ。ADのせいだ(笑)。僕のせいじゃない。not my fault」だそうだ。
そして、記者会見にはキングス#24 田代 直希も来てくれた。
田代はこの試合0得点。10月26日の広島戦から3試合連続無得点と、今一つ活躍することが出来ない。「自分の中ではリズムを掴めていない。自分の好不調に一喜一憂しちゃているので、メンタル的にももう少し安定していかなければいけない」と冷静に自身を評価した。
この日の試合1クォーター終盤、田代は左サイドからドライブするも足がスリップしてしまった。酷な質問かと思ったが、ああいう場面でケガをした瞬間を思い出すのか聞いてみた。
田代は実直に答えてくれた。「今日の場面は無かったが、ドライブするときに(ケガをした場面が)一瞬よぎることはあります。僕が前十字靭帯を切ったのは(大学時代含めて)2回目で、大学生時代はトランジションでとにかく突っ込むプレイスタイルでケガをした。いまはトランジションで突っ込むプレイスタイルではなくなりましたが、やはり一瞬よぎったりする。今後はメンタル的なリハビリが続きそうな気がします」
1年をかけて身体だけではなく心も戻していく。田代はその難しさをこう話した。「メンタル的に上回っても身体の調子が上がらないとコンディションも上がってこない。上手い具合に身体とメンタルのバランスを整えながら歩んでいきたい」
地区最下位のチームが気迫を見せて上位チームを追い込む。チームの為に身体をぶつけ合う。身体と心のバランスを整えながらプレイする。すべてバスケットボールの一部だ。
バスケットボールはテレビゲームではない。生身の人間が戦う姿こそ、バスケットボールだ。