プレシーズンらしからぬ迫力でファンを魅了 2022-23プレシーズンゲーム 琉球ゴールデンキングスvs群馬クレインサンダーズ GAME1

(文、写真:湧川太陽、写真:tomo)

9月17日(土)、琉球ゴールデンキングスは群馬クレインサンダーズとプレシーズンゲームGame1を戦った。

群馬は昨季までキングスに在籍した並里成が移籍したチームだが、この日は並里がケガの影響で欠場。キングスもジャック・クーリーが左足首のコンディション調整のため欠場となった。

沖縄アリーナで敵としてプレイする並里が見れなかったのは残念だが、この日は両チーム共にプレシーズンらしからぬプレイ強度でファンを魅了した。

 

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1ビッグのピンチを全員のハードワークで乗り切るキングス

キングスのスタートは、#1ジョシュ・ダンカン、#4 コー・フリッピン、#7 アレン・ダーラム、#24 田代直希、#30 今村佳太。クーリー不在でビッグマンがわずか2人のロスター。

群馬は帰化選手#3 マイケル・パーカーが在籍してインサイドが豊富。得点力に優れる外国籍アウトサイドプレイヤー #4 トレイ・ジョーンズにも対応しなければいけない。この日のキングスはディフェンスに注目だった。

 

キングスは1クォーター残り5分で早くも『1ビッグ』を試してきた。ダンカンを下げてダーラムだけをコートに残す布陣。通常であれば外国籍選手がコートに一人だけという事態は『緊急事態』だが、この日は最初から『1ビッグ』でいかに戦うかをテストしていた。

『1ビッグ』のキングスは、2−3ゾーンや2−2−1オールコートプレスを織り混ぜながら群馬オフェンスのリズムを乱す。

キングスはオフェンスでもボールと人を動かし続けてゴールを狙う。外国籍選手をゴール下に貼り付けず、いわゆる『5アウト』に近い状態になる。

そこからフリッピンや田代が積極的にゴールにペネトレイトして、コーナーで待つダンカンへパスアウトして3ポイントを成功させるなど、昨季までとは明らかに違うパターンも見せた。

 

ルーキー 松本礼太の奮起

前半はキングスのルーキー #11 松本礼太も奮起。2クォーター、松本は目の前が開けば積極的にドライブイン。群馬のマイケル・パーカーを振り切ってレイアップを決めた。

 

松本はディフェンスでも身体の強さを見せる。キングスが『1ビッグ』を敷く時間帯に、松本は4番(パワーフォワード)として群馬のパーカーにマッチアップ。サイズのミスマッチとなりながらも簡単にはポジションを譲らず、インサイドディフェンスを崩壊させない。

 

特別指定選手としてシーズン途中で加入した昨季と比べて、確かな成長がみられる松本。しかし本人は現状に満足していない。

「(今日の自身のプレイには)満足していないです。まだまだ状況判断が適切ではなく、より良い状況判断を身につけていきたい」と試合後に語った松本。「短い時間帯でもハードワークを怠らず、良い形で次の選手に繋げる。」と自身の役割を語った。

桶谷ヘッドコーチも松本の成長を「今日は松本に対するチームメイトの信頼が増すようなプレイが出来たのではないか」と評価した。

 

1ビッグの成果と課題

この日の『1ビッグ』の成果は他にもある。外国籍選手のファウルトラブルを避けられた事だ。

ゲーム終了時点でのファウル数は、ダーラムが2つ、ダンカンが3つ。彼ら以外の日本人選手が豊富な運動量でディフェンスエリアをカバーして、見事に外国籍選手のファウル数をコントロールしてみせた。

 

今季のキングスが取り組んでいるゾーンディフェンスは、通常の『受け身』のゾーンディフェンスとは違い、相手のターンオーバーを誘発させる。2−2−1オールコートプレスでハーフライン付近に罠を仕掛け、ボールマンがハーフラインを超えた瞬間にプレッシャーを強めて相手のターンオーバーを誘い、そのままゴールを奪う。

攻め気のゾーンディフェンスから、フリッピンの豪快なスラムダンクも飛び出した。運動量が豊富な今季のキングスにはピッタリのディフェンスかもしれない。

 

しかし『1ビッグ』での課題も見られた。相手にオフェンスリバウンドを許す場面が多く、群馬のマイケル・パーカーはセカンドチャンスから得点を重ね、チーム最多の25得点を奪われた。

オフェンスリバウンドからの失点について、桶谷ヘッドコーチは「ゾーンはそれなりに機能していたが、マンツーマンディフェンスでパーカー選手のリバウンドに対応出来ていなかった。(パーカーにマッチアップする選手の)ボックスアウトだけではなく、周りの選手達がチームメイトを助けるリバウンドが必要」と語った。

 

キングス惜しくも敗戦するも迫力ある試合で魅せる

試合はキングス 74 – 79 群馬と、後半にセカンドチャンスを確実に得点に繋げた群馬が勝利。キングスは惜しくも敗戦するが、お互いのプレイ強度が高く迫力ある試合となり観客を楽しませた。

 

試合後、勝利した群馬の水野ヘッドコーチは「琉球の強いディフェンスプレッシャーにより自分達のオフェンスがスムーズに進まない場面も多くあったが、その時もしっかり我慢しつつ冷静にプレイ出来た事は、自分達がこの先に進むための大きな一歩となりました」と手応えを口にした。

また水野ヘッドコーチは、群馬クレインサンダーズにおける並里の存在感も話してくれた。

「プレイ面では創造性あふれるプレイで違いを創ってくれる。(群馬に新加入した)ターズースキーとのピックアンドロールから周りの選手も巻き込みながら良い流れをもたらしてくれる。オフコートでも練習や食事面などの日々の準備にかける姿勢は、特に若手選手に大きな影響を与えてくれている」

 

キングスのスターだった並里成が移籍を決断した群馬クレインサンダーズというチーム。強豪揃いの東地区における台風の目となるかもしれない、そう思わせるプレシーズンゲームだった。

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この記事を書いた人

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