伊藤達哉が琉球ゴールデンキングスで取り戻したい「本当の自分」とは #3 伊藤達哉インタビュー

(取材:金谷康平、編集:湧川太陽、写真:Hamataro)

今季、琉球ゴールデンキングスに新加入した伊藤達哉。

伊藤は2017年に京都ハンナリーズでBリーグデビュー。その後大阪エヴェッサ、名古屋ダイヤモンドドルフィンズに在籍。常にキングスの西地区ライバルチームのポイントガードとして、キングスファンにとっては敵として何度も苦しめられた選手だった。

生粋の「ピュアポイントガード」であり、その素早いプレーと負けん気の強いディフェンスで所属するチームでいつも存在感を見せてきた伊藤。

しかし、伊藤がキングスに加入を決めたのは「本当の自分を取り戻すため」だった。常に西地区のライバルだったキングスに、伊藤が加入を決断した真意を聞いた。
(取材日 2024年8月7日)

 

──昨季キングスのライバルである名古屋Dで地区優勝を達成しました。

名古屋Dの昨季はシーズン中盤まで成績が思うように伸びませんでしたが、選手同士で「僕らは何も成し遂げていない。地区優勝を勝ち取ることで未来を切り開こう」と話し合い、その後シーズン後半戦に成績を伸ばして地区優勝を勝ち取ることが出来ました。

 

──名古屋Dでは齋藤拓実というエースガードをサポートするような役割でした。

名古屋Dでは優勝を目指すことの出来る選手が揃っていて、自分自身の選手キャリアとしてタイトルを獲得することを目標にしていました。2023-24シーズンは西地区優勝しましたが、チャンピオンシップは自分たちの思い描く結果にはなりませんでした。なおさらタイトルを獲りたいという気持ちが強くなりました。

──昨季まで対戦相手としてのキングスはどのような印象でしたか?

敵として戦うときのキングスは特別で、チームのエナジーが違ってくるし沖縄アリーナで戦うことは(アウェーだが)力が湧いてきました。

 

──キングス加入時に「自分を取り戻すために」という発言がありました。その言葉の真意は?

京都や大阪に在籍している頃は、僕自身がメインでボールを持ちリングに果敢にアタックして、そこからチームメイトを活かすプレースタイルでした。

名古屋Dではメンバーも揃っているし、同じポジションには齋藤拓実選手もいる。だからこそエゴを捨ててでも相手に勝つためにはどうすればいいか、自分自身が考えすぎてしまう部分もありました。どちらかと言うと周りに気を使い過ぎてバスケをしてしまっている感じがあり、自分らしさは何なのかをシーズンを通して葛藤していました。

選手としての自分の良さは、ディフェンス・オフェンスでもアグレッシブにお客さんを沸かせるプレーをすること。それを発揮できるのが琉球ゴールデンキングスというチームだと思いました。

過去のことに囚われるのは良くないですが「自分はこのまま終わるわけにはいかない」と自分自身に言い聞かせていたので、今季はここ数シーズンの苦しい気持ちを打開するプレーをしたいです。

 

──キングスは個人ではなくチームとして戦うことが特徴です。その中でご自身の良さをどのように発揮したいですか?

自分のストロングポイントであるスピードを活かしたい。ここ数シーズンのキングスはそこまでペースが速いチームでは無かったので、僕がペースを上げることによってヴィック・ロー選手や脇真大選手の走力を活かし、キングスの新たな武器にしていきたいです。

 

──キングスのポイントガード陣である岸本隆一選手、荒川颯選手と共にどのようにプレーしていきますか?

3人ともタイプが真逆のプレーヤーなので、盗めるものは自分のプレーに活かして練習中から切磋琢磨していきたいです。

岸本選手の決定力はBリーグトップクラスで、試合終盤の残り数秒の場面でボールを託されてしっかり決めてきたイメージが強いです。

荒川選手は同じ高校出身(京都・洛南高校)で、世代が離れているので一緒にはプレーしていませんが、荒川がプレーしているときは僕が経験してきたことをアドバイスとして伝えていきたいです。

 

──伊藤選手は千葉県のご出身ですが、昨季までキングス所属の田代直希選手(現・千葉J)も千葉県出身でした。

田代直希さんは一つ年上ですが小学校が一緒で、同じミニバスチームでプレーしていました。プロの舞台で一緒に活躍するのは夢でもありましたし、お互いの活躍が刺激にもなっています。今回琉球に移籍する時もタッシーに色々沖縄のことを教えてもらいました。

 

──沖縄に初めてきたのはいつでした?

沖縄に初めて来たのは、高校1年生の時に出場した2010年の沖縄インターハイでした。以前キングスのホームアリーナだった沖縄市体育館が会場でした。インターハイ開会式が(沖縄県総合運動公園)競技場だったんですが、その時どしゃ降りのスコールでずぶ濡れになって、それが忘れられない沖縄の第一印象です(笑)あと、実は僕の結婚式は沖縄で挙げたんです。それも良い思い出です。

キングスの選手となると沖縄へ引っ越すことになりますが、家族も賛成してくれて嬉しかったです。まだ住み始めて間もないですが過ごしやすいです。いきなり降る雨に濡れないようにしなきゃですね(笑)

 

──最後にキングスでの目標を

年齢では僕と(小野寺)祥太が同い年で、チームの日本人選手では隆一さんの次になるので、オンコートでもオフコートでもチームを引っ張る役割もやっていきます。

今シーズンはチームの勝利を第一に、僕自身はバスケットボールを楽しむことを目標にやっていきたいです。そしてBリーグ優勝を必ず勝ち取ります。

U-NEXT

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