プレーオフの1勝の価値、1敗の意味 CSクォーターファイナル キングス vs 富山 [2021.05.16]

2020−21シーズンB1 CSクォーターファイナル、沖縄アリーナで行われる琉球ゴールデンキングスvs富山グラウジーズは1勝1敗。

4つあるQFの組み合わせで、唯一の第3戦で雌雄を決する事になった。

第1戦は92-75でキングスの勝利

第2戦は74-97で富山の勝利

チャンピオンシップ、つまりプレーオフは2戦先勝方式。

2回勝たなければその日の勝利に価値は無い。

逆に言えば、プレーオフは1敗しても2勝すればいいのだ。

その意味を本当に理解しているのは、キングスと富山のどちらなのか。

目次

富山はやるべき事をやり通している

現在の富山の最大のウイークポイントは外国籍選手がマブンガ、スミスの2人だけという事だ。

外国籍選手のファウルトラブルは、即敗北に直結する。

富山はそのウイークポイントを隠すために第1戦の冒頭から2−3ゾーンを敷いてきた。機動力に劣るスミスをゴール下での役割に限定、外に引き出されて1on1シチュエーションでファウルを重ねるのを防ぐためだ。

富山は不利な状況だからこそ、やるべき事が明確になり戦い方に迷いがないように見える。

キングスの第1戦は本当に “完勝” だったのか

キングスは第1戦の前半、富山の2−3ゾーンに対して手を焼いていた。

しかし後半になるとキングスは積極的にインサイドにアタックを仕掛ける。スミスが動かない事を見越したように、その目の前でフローターショットを連発。今村を中心にそれが面白いように決まりリズムを掴むと、一気に勝利を引き寄せた。

だが、もしそのフローターショットが外れていたら?

中間距離シュートの得点期待値が最も低いのは、現代バスケではもはや常識だ。ましてやフローターショットは難度の高いシュートだ。その確率の低いショットに頼ったキングスの勝利は、本当に “完勝” だったのか。

第1戦のように、フローターショットがあれだけ高確率で決まる事は稀だ。同じ事が次戦も続くと考えると、大きな代償を払うことになる。

愚直にやり続けた富山のバックドアカット

富山の第1戦のオフェンスはスミスをハイポストに置き、日本人選手がインサイドにバックドアカット、そこへハイポストのスミスからパスを供給。

どうしてもスミスを意識せざるを得ないキングス守備陣の裏をつき、さらにスミスをオフェンスリバウンドに集中させる事でスタミナ消耗を抑える作戦だ。

キングスはこの富山の攻撃から何度も失点を許し、スミスにオフェンスリバウンドを支配された。

ただし難度の高いシュートが決まり、試合に勝利した事でキングスからその問題を隠してしまった。

勝利の女神に嫌わるキングスの “バッドパス”

第2戦、富山は試合開始直後マンツーマンディフェンスを敷いてきた。第1戦から戦術を変更して、先に富山が仕掛けてきたのだ。

キングスはその富山に対し、下がる事無く前から当たり、なんと試合開始直後2分間で3スティール。一気に流れはキングスにいくかと思われたが、結果的にはキングスは23点差の大敗。

この大敗の遠因は、試合開始直後2分間の3スティールにあったのではないか。

キングスは第2戦、スティールも10と多かったがターンオーバーも16。

この試合スティールした直後にバッドパスを犯し、逆に富山にターンオーバーから得点されてしまう場面が何と多かったことか。

試合開始2分間しか経っていないのに、ボールが自分たちに転がり込んできた事で『今日も自分たちに流れがある』と思い込んでいなかったか。

大事な試合ほどミスを犯した方が負ける。だがそのミスを見逃さず、自分達のチャンスに繋げなければ、勝利の女神に嫌われてしまう。

1勝の価値を見誤らず、1敗に意味を持たせたのはどっちだ

第2戦の富山オフェンス。第1戦で効果的だったスミスをハイポストに置き日本人選手のドライブで攻める攻撃を、1Qから愚直に繰り返してきた。ただ少しだけアレンジを加えた。

第1戦はベースライン際からのバックドアカットだったが、第2戦はスミスをウイークサイドのエルボーに置き、空いたスペースを使って日本人選手に強気のペネトレイトをさせた。

それが富山の日本人選手にリズムを生み、3Qの岡田侑大の19得点につながった。

逆にキングスは第1戦の残像が残っていたのか、苦しい時間帯に確率の低い中間距離からのシュートを連発、それが確率通りリムに嫌われた。

富山に残るミドルレンジの残像を利用できず、逆に自分達がその残像に引っ張られてしまった。

富山は強敵であり、浜口炎ヘッドコーチは策士だ。

第2戦4Q残り1分51秒、72−95で23点差と敗色濃厚の場面でキングスがタイムアウト。

なんと浜口HCはそのまま続けてタイムアウトを請求した。23点差で勝っているチームがやる事ではない。

第3戦に向けて、この第2戦を完璧な締め方で終わらせる強烈な意思の現れであり、少しもキングスに良いイメージを残させない浜口ヘッドコーチ一流の駆け引きだ。

これぞプレーオフ

繰り返すが、2回勝たなければその日の勝利に価値は無いし、1敗しても2勝すればいいのだ。その意味を本当に理解しているのはどちらのチームか、第3戦に答えが出る。

(取材・文:湧川太陽)

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