3月25日、琉球ゴールデンキングスと仙台89ERSのゲームが沖縄アリーナで行われた。
藤田弘輝 HCをはじめ、金城茂之 AC、#12 寒竹隼人、#2 小寺ハミルトンゲイリーといった過去にキングスで活躍していた選手、スタッフが在籍する仙台。
選手紹介の際には、名前が呼ばれるたびにブースターから大きな拍手が沸き起こり、アリーナは歓迎ムードで満たされる。
しかし試合が始まると一転、意地と意地がぶつかり合う最後までどちらが勝つのかわからない激しいゲームが繰り広げられた。
オーバータイムまでもつれ込む激戦に勝利
1クォーター
キングスのスターティングメンバーは、
#1 ジョシュ・ダンカン、#14 岸本 隆一、#30 今村 佳太、#33 カール・タマヨ、#45 ジャック・クーリー、。
仙台89ersのスターティングメンバーは、
#7 澤邉 圭太、#12 寒竹隼人、#14 青木 保憲、#24ジャスティン・バーレル、#45ネイサン・ブース
立ち上がりから仙台は激しいディフェンスを仕掛けてくる。オフェンスでは#14 青木 保憲のバスケットカウント、#7 澤邉 圭太の3ポイントシュートなどが決まり、0-8のラン。キングスはタイムアウトを要求。
タイムアウト開け、#45クーリーがペイントアタックし、キングス最初の得点。さらに#14 岸本 隆一が1on1からフローターで決める。早い段階で追いつきたいキングスだったが、仙台の激しいディフェンスやキングスのターンオーバーでなかなかリズムに乗り切れない。さらにブースの連続得点もあり、差は縮まらない。
12-18でクォーターエンド。キングスは5つのターンオーバー、さらにターンオーバーから7点奪われ、苦しい立ち上がりとなった。
2クォーター
#15 松脇 圭志がバックステップからエンドコート付近でシュートを決める。しかし、#25 ラショーン・トーマスに1on1から決め返される。さらに仙台に3ポイントシュートを連続で決められ、差を広げられる。
途中で入ってきた#34 小野寺 祥太が、攻撃の起点となる#14 青木に激しい守りを見せる。オフェンスでは#14 岸本 のペイントアタックをきっかけに展開する。キックアウトパスを受けた#34 小野寺 の3ポイントシュート、#45ジャック・クーリーのインサイドアタックで得点を奪い、仙台を追随する。
オフィシャルタイムアウトあけ、ダンカンがボールを奪うと、岸本がボールをコントロール、今村へキックアウトのパスが通り3ポイントを沈め26-30。
だが仙台は崩れない。
キングスは仙台のディフェンスをうまく攻略できず、クォーター終了までの残り4分近く得点できない。
一方の仙台も得点が伸び悩む。お互いに重い時間帯が続き、26-34で前半を終える。
3クォーター
#4 コー・フリッピンと#34 小野寺 祥太が仙台のバックコート陣にプレッシャーをかけチームに勢いをもたらす。
積極的にボールを奪いにいく#34 小野寺 。ルーズボールへの執着心がチームを鼓舞し、キングスブースターの応援のボルテージが上がっていく。
ディフェンスでのいい流れがオフェンスにもいい影響を与える。#34 小野寺が仕掛けたペネトレイトが相手のファウルを誘い、バスケットカウントを決め、チームを盛り上げる。
#4 フリッピンもまたチームに勢いをもたらす。激しいディフェンスからボールを奪うと、リターンのパスにあわせてリングにアタック。このクォーターでは3ポイントシュートも決め、追い上げの原動力となる。
チームでボールがうまくまわりはじめ、キングスがいい形で得点を奪う。さらに#34 小野寺 が相手のパスをカットすると、そのままゴールまでアタック。
42-43で1点差まで詰め寄るとアリーナから大きな歓声が上がる。
その後はお互いに攻守に高い集中力を保ったまま試合が展開し、50-50でクォーターを終える。
4クォーター
このクォーターもシーソーゲームは続く。オフィシャルタイムアウトまでリードが何度も入れ替わる展開。息をのむ展開に沖縄アリーナのブースターは「ゴーゴーキングス」コールと、力強い拍手でチームを後押しする。
#45クーリーのペイントアタック、#14 岸本 のディープスリー、#30 今村 のフローターで得点を伸ばしていくが、すぐさま仙台に点を奪い返される一進一退の展開が続く。
残り3:18で57-62。この試合何度もチームに勢いを与えてきた小野寺選手が再びコートへ。
小野寺がボールにたいして執着心を見せ、ルーズボールにダイブ。
仙台の攻撃のチャンスを潰す。さらに小野寺は相手のカットインに対して、果敢に体を張ってチャージングを奪う。残り1:38で59-64。
その後もキングスは堅い守りを見せ、仙台につけ入る隙を与えない。
残り55.6秒で#1 ジョシュ・ダンカンがこの試合初めてのフィールドゴールとなる3ポイントシュートを決め62-64。
その後のディフェンスもキングスが守り切ると、#7 アレン・ダーラムがボールを運び、#30 今村 へパス。
そこからリターンパスがゴール下への#7 ダーラムに通り、ミスマッチをついてきっちり得点し64-64。
最後#14 青木が3ポイントシュートを打つがリングを外れオーバータイムへと突入する。
オーバータイム
#30 今村 佳太が攻撃で躍動する。ゴールへアタックすることで、自ら得点するだけでなく#1 ダンカンのセカンドチャンスポイントへと結びつく。
71-66とリードを広げるが、仙台は諦めない。#0 小林がスリーポイントを決めると、続けて#24ジャスティン・バーレルがプレッシャーがかかる場面でフリースローをきっちり2本決め71-71の同点。
ここで#14 岸本 隆一が大きな仕事をする。ステップバックからスリーポイントを決め74-71。続けて直後のデフェンスを守り切り、仙台がたまらずファウル。FTを#14 岸本が1本決め75-71。
終了間際に仙台の#45 ブースに決められるも75-73で勝利。最後まで目が離せない展開となったゲームは、ホームの琉球ゴールデンキングスが勝利を収めた。
桶谷 大HCは試合を以下のように振り返った。
「第1クォーターで仙台さんのプレッシャーに対して自分たちはリズムの悪いオフェンスをしてしまったかなーっていうところとちょっと共通理解がないオフェンスが多かったなっていう風に思っています。
その中でもディフェンスが出だしは結構ソフトに入ってしまって、仙台さんの気持ちよくプレイさせてしまった。
特にブース選手のところで最初ジャンパーをポンポンと決められたりしてたところはまあ本当に最初自分たちがしんどくなったところの要因かなというふうに思います。」
「3クォーターから小野寺が入ってかなりハードにディフェンスしてくれましたし、フリッピンは11分しか出てないですけど、それでもハードにやってくれてこういうところですごくいい流れが作れたかなという風に思ってます。」
「ジャックがいなくなってインサイドがタフだったんですけども、最後みんなでオフェンスもディフェンスも力を尽くして頑張ってくれたなというふうに思います」
一方の藤田弘輝 HCは「本当に本当に悔しい」と感じたものの、試合内容に関しては手ごたえもあったようだ。
「選手たちが45分間本当に全部出し尽くしてファイトしてくれたと思いますし、自分たちのペースでほぼ試合運びもできました。チームとしてのディフェンスもできていました。ただキングスさんの後半のインテンシティは本当にすごかったと感じました」
「明日しっかりもう一度ファイトしてチーム一丸となって立ち向かいたいなと思います」
勝利への原動力
今日の試合で勝利の原動力となった#34 小野寺 祥太。
自身も「ディフェンスでチームにインテンシティを与えたり、ゲームの流れを変えたい」と考えているようで、タイトなディフェンスとボールへの執念を見せ、ゲームチェンジャーとしての役割を果たすことができた。
この試合の#34 小野寺 はオフェンスでも素晴らしい仕事ぶりを見せた。
11得点決め、フィールドゴール%は100%。シュートアテンプトが多かったわけではないが、確実にリングにシュートを沈めていった。
シーズン終盤を迎えて、#34 小野寺がディフェンスだけでなくオフェンスでもチームにとって欠かせないプレイヤーとなってきているのは間違いないだろう。
そしてもう一つ、キングスにとって今まで以上に重要性が増している存在がある。それはブースターの応援だ。
重要な局面で自然と発生する「ゴーゴー!キングス!」コールや、ナイスプレーに対しての拍手と歓声、アウェーチームへの容赦ないブーイング。
沖縄アリーナでのマスク着用での声出し応援が解禁されたことで、応援がよりキングスの力になり、相手チームにはますますプレッシャーへとなっているはずだ。
2年ぶりの沖縄アリーナで、アウェー側のHCとして戻ってきた藤田弘輝 HCは
「沖縄の皆さんの感性って素晴らしいなと思いますし、キングスがインテンシティ出してる時やディフェンスで盛り上がるというのは健在だったし、本当にすごいなと思います。沖縄のバスケット文化ってやっぱり素敵だなって思いますし、沖縄は素敵な場所で僕にとってはスペシャルな場所です。」
と語った。
残りレギュラーシーズン16試合で一つでも多く白星を積み上げていき、この「スペシャルな場所」でチャンピオンシップクォーターファイナル、セミファイナルに挑むことができれば、キングスの初の栄冠へとグッと近づくだろう。