
2021年1月13日(水)第96回天皇杯全日本バスケットボール選手権の3次ラウンド(準々決勝)、アルバルク東京対サンロッカーズ渋谷が立川立飛アリーナ(東京都)にて行われた。
3回戦から登場の前回優勝のサンロッカーズ渋谷(以下、渋谷)は東京エクセレンスに勝利し、この試合からの登場となるアルバルク東京(以下、A東京)との対戦となる。

対象的な12月を終えて
試合前の時点での両チームの状況は対照的である。
12月を4勝6敗、年が明けての大阪戦を1勝1敗で来ているA東京(東地区7位)。現在A東京は12敗しているが、12月以降で7敗と負けがこんでおり、苦戦している。
片や12月を10勝1敗(天皇杯含む)で終え、年始の三遠戦も連勝と勢いが出てきた渋谷(東地区3位)(なお1敗はA東京戦のGAME2)。
12月の直接対決では1勝1敗だったが、渋谷はGAME2で104-80と守備を崩されている。以前渋谷伊佐HCはA東京戦について「(12/13に100点ゲームで敗れている事に触れ)もう一回自分たちのチームディフェンスを強固なものにし、リベンジしたい」と発言している。
天皇杯のベスト4をかけた戦いが、今年初の「東京ダービー」となる。
2回めの緊急事態宣言の後で、来場に不安のある方のために、チケットの払い戻しも行われた。席は3割ほどの埋まり具合ではあったが、多くの人が中継でこの試合に注目していたと思われる。
A東京は選手にPCR検査の陽性判定による、欠場者も出ており、試合とは別のところでの緊張感が会場を覆っていた。

ダービーの名のもとに
19時10分、ティップオフ。出だしから、張り詰めた重い空気。
両チーム激しいデフェンスを受け、シュートが入らず、4-4の状態が3分ほど続く。
残り3:37の#34ケリーの3Pから渋谷が点差を広げて行き、13-19でクォーター終了。

2Q、渋谷は出だしからプレッシャーでパスミスを誘発。
渋谷はクォーターの最初のディフェンスで仕掛け、そのまま勢いに乗ることが多い。
渋谷が少しづつ差を広げて、残り5:36#10ジャクソンがオフェンスリバウンドを拾ってのダンクを決め、試合を通して最大の9点差がつく。

対して、A東京#75小酒部がここのところの勢いそのままにシュート、アシストと躍動する。
A東京は中に切り込むことが増えた結果、得点も増えていく。
#75小酒部、#10バランスキーの連続3Pが決まり38-40(25-21)で前半が終了。

白熱するデッドヒート
後半。渋谷はハードなディフェンスを続けていくが、その反動でファールも多くなってしまう。
東京は前半の勢いをそのままに、残り8:38にA東京#3安藤のシュートで同点。

ボールが回るようになったA東京とオフェンスの形がなかなか作れない渋谷。
渋谷も#34ケリーが安定して点を取ることで点差が付くことを許さない。
同点以降は両チームが激しい競り合いで50-54(12-14)で最終クォーターへ。

4Qに入り、競り合いは激しさを増していく。
渋谷はこのクォーターだけでファールが9とA東京を止めるのに苦労している。
それでも離されず、残り4:09に#27石井のスティールからの#14マカドゥが豪快なダンクを決め61-65。
いつもの渋谷ならこういうプレーから勢いにのるのだが、A東京はそれを許さない。
激しいやり合いが続いて残り1分台に入る。

残り1分間の濃密な攻防
この試合の結末については、いろいろな記事で取り上げられているのだが、残り1分の攻防がバスケットというものの魅力を凝縮したようなものだったので、後日映像を見ながら書き起こして見た。
ーーー
残り59秒、68-69。
渋谷#9ベンドラメがオフェンスファールしたところで、A東京が後半最後のTO。
A東京#24田中のパスを受けた#75小酒部が切り込み70-69。残り50秒。
渋谷、後半2回目のTO。
渋谷はライアンが自らのシュートのリバウンドを沈め70-71、残り37秒。
A東京は安藤の3Pが外れるが、#53カークが身を投げて取ったリバウンドが安藤に渡り、そのまま中に切り込んで得点、72−71。
残り15秒。渋谷が最後のTO。
ここでA東京は#3安藤に変わり、#10バランスキーがコートイン。
渋谷はケリーが難しい体勢のシュートを決め 72-71、残り5秒。
このままA東京がエンドからボールを出して、というところでブザーが鳴る。一瞬、無いはずのタイムアウトがコールされたのか、という空気になったが、これは#3安藤が戻る交代のブザー。
試合が再開されエンドからのパスを受けた#24田中がそのままドリブルで持ち込む。

フリースローラインを超えたあたりでマークに付いていた渋谷#9ベンドラメがコンタクトで転倒、と同時にA東京#24田中が放ったシュートはブザーが鳴る中リングに吸い込まれ、74-73(24-19)でA東京が劇的な逆転勝ちを収めた。
この日徹底的にマークされた#24田中が決めたシュートは2本。そのうちの1本を試合の最後に決めた。

| アルバルク東京 | サンロッカーズ渋谷 | |
| 74 | TOTAL | 73 |
| 13 | 1Q | 19 |
| 25 | 2Q | 21 |
| 12 | 3Q | 14 |
| 24 | 4Q | 19 |
ローラーコースターのようなゲーム」(A東京ルカHC)
試合後のインタヴューでA東京のルカHCは「ローラーコースターのようなゲームだった」とコメントしたが、ゲームを通して両チームは一進一退の攻防を繰り広げた。

最終的な1点の差が勝敗を分け、トーナメントを勝ち進むA東京、ここで終戦となった昨年覇者の渋谷という差になった。
しかし、会場だったり、中継を見ていた人たちの心には、両チームが競い合った素晴らしいゲームだと記憶されたはずである。

再びコロナ禍で、緊急事態宣言が出る中、このような熱戦を繰り広げた両チームを讃えたいと思う。
次戦は、中止になってしまったがオールスターによる、一週間のブレークを挟む。
その後、A東京はアウェイで島根戦。渋谷はアウェイで滋賀戦とリーグ戦が続いていく。
天皇杯はこの日に行われた他会場の結果をもって、3/12にA東京-宇都宮、川崎-三河で準決勝。
翌3/13に決勝戦がさいたまスーパーアリーナ(埼玉県さいたま市)で行われる。


(取材・to-shi)

